to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

IS(アイエス)~男でも女でもない性~

2011-09-21 23:41:46 | TV dorama
第31回講談社漫画賞を受賞した六花チヨのコミック「IS~男でも女でもない性~」のドラマ化。
「IS(アイエス=インターセックス)」とは性器、卵巣・精巣など性腺、染色体などが男性型・女性型のいずれかに統一されていないか、あるいは曖昧な状態である先天的疾患の総称。偏見が壁となり、当人や家族が公表することは少なく、メディアや医療でもタブー視されてきたため、その存在は一般ではあまり認識されていない。本作はドラマとして初めてISに取り組む意欲作。ISとして性を受けた子どもとその周囲の人々の成長と葛藤を描いていく物語。

脚本 寺田敏雄/岩村匡子
演出 藤隆/池澤辰也/森田昇(テレビ東京)/岡田寧
オープニングテーマ 九州男「想色コーディネイト」
エンディングテーマ ヒルクライム「パーソナルCOLOR」
出演 福田沙紀/剛力彩芽/井上正大/西田尚美/西村雅彦/高橋ジョージ大杉漣/南果歩

考えてみれば社会は、というより私たちの人生のスタートは、性別を明確にすることから始まっている。
出生届け~戸籍、それはその後の就学、免許、就職といずれも第一に明記しなければ始まらない。
つまり、このドラマの2人のように、どちらにも成りえまた変動している性などというIS という欄はない。
どちらかでなくては存在を証明できないようになっているのが現実だ。

出産して直ぐに親は選択を迫られる。
「直ぐに手術をしてどちらかにしましょう」
"手術をするのか?""どちらの性にするのか―?"出生届は14日のうちに届け出なければならない・・。

現実には「男でも女でもない」というより「男でもアリ、女でもアル」人もいれば
どちらかにより近い人もいて、簡単ではない。
最近ようやく世間的に認知されてきている「性同一性障害」は精神の問題であり、
ISと大きく違うのは、まさに「身体の機能」の問題が色んなケースがあり幅広いこと。
殆どの親が、生まれて直ぐにどちらかに決めても、
その決定が心とかけ離れていったり、
成長と共に活発になるホルモンのバランスをとる為に、通院を続けることを余儀なくされたりと、
心の問題に留まらない現実もあるようです。
なにしろ、この社会では男か女、のどちらかに属して生きていかざるをえないから。

この物語の主人公2人は、思春期を迎え、心も身体も大きく変わる時期に、
まさにどちらとも言えない性を持つ身体に、思うに任せない変調が現れ、心の問題と共に
周りとどう生きていくかという現実に晒される「オレ」と「私」の日々を描いています。

  

戸籍は女。心はずっと男だった―。このまま男として生きていたいのに身体の女性化が始まって戸惑う春・・。
戸籍も女。心はずっと女だった・・・。ずっと女でいたいのに身体は男性化していく美和子・・。

本人の心の成長を待って、しかし、ISという事実を理解させて、最終的には本人に決めさせようと
オープンに育てた春の両親。
対照的なのが美和子の両親という描き方。現実にはこちらが多数派であると思う。
しかし、この両者に是非はない。一般的には医師の勧めもあり、早い段階で施術をし、
本人にも知らせないケースがほとんどなのだから。
でも、それでその後に心の問題が出てこないわけではなく、現実には思春期以降それは自分ひとりの閉ざされた問題となってしまい、
違和感に悩んで苦しむケースが、当事者のコメントとしてこのサイトに寄せられている。

春のように大事な友人や好きな人にウソをついているような罪悪感と決別し、
周りの人に事実を知ってもらい、隠すことのない自分として触れ合いたいと感じている多くのISの方に
それによって生じるであろう周辺の人たちの態度も、変化も、
ドラマだからと思わせる感はあったにしても、およそ想像できる範囲を超えていない。
多分、現実には想像も出来ない傷を負うかも知れない、コレでは甘いかも知れない。

でも、盛り上がりに欠けるストーリー展開にかなり甘めなラストであったとしても
これはこれでいいと思う。この物語に終止符はないのだから。

       
               

重くなりがちのテーマを星野一家の誠実で真っ直ぐなキャラが明るくし、
爽やかでポジティブな春のことを
男でも女でもない、とせず男と女の両方を併せ持つ性とした、教師の言葉が光る最終回。
スタッフ、キャストの誠意が感じられるドラマとなっていました

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