to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

愛する人

2011-01-25 23:18:23 | the cinema (ア行)
私も愛をつないでゆきたい、母のように──。
原題 MOTHER AND CHILD
製作年度 2009年
製作国・地域 アメリカ/スペイン
上映時間 126分 映倫 PG12
監督・脚本 ロドリゴ・ガルシア
出演 ナオミ・ワッツ/アネット・ベニング/ケリー・ワシントン/ジミー・スミッツ/デヴィッド・モース/サミュエル・L・ジャクソン

37年間互いを知らずに生きてきた母と娘の運命のドラマを繊細かつ力強くつづったヒューマン・ストーリー。生まれたばかりの娘を手放した母を、『華麗なる恋の舞台で』のアネット・ベニング、母を知らずに育った娘を、『イースタン・プロミス』のナオミ・ワッツが演じる。製作総指揮は『バベル』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。
カレンは14歳で妊娠してしまい、母親によって強制的に赤ちゃんを養子に出されてしまう。それから37年、今ではその母親を介護しながらも、我が子を奪われたことへのわだかまりを捨てきれず、37歳になった実の娘に想いを馳せる日々。一方、生まれてすぐに養子に出され、母の愛情を知らずに育ったエリザベスは、弁護士として成功はしたものの、他人に心を許すことができず、男に対しても肉体の関係以上に深入りすることはなく、このまま孤独に年を取っていくと考えていた。ところが…。

若過ぎたゆえに産後すぐに、我が子を手放さなければならなかった37年前の未婚の母、カレン
おそらくその事を、ある時期から後悔し続けてきたであろう老いたカレンの母・・・。
子宝に恵まれず、養子を貰う決心をした母になりたい黒人の妻、ルーシー
おそらく、何かにつけ娘を案じ、世話を焼くことが止まらないその母
そして―、
養父母と別れ、一人で生きてきた37年前のカレンの娘、エリザベス

これは様々な理由から子供を取り上げられた女性や、
自分の子を持てない女性を軸に描かれる、
出産、子育て、という女性にとって人生を大きく変える出来事に焦点を当てた作品でした。



恋愛を経て結婚し、出産―。
そうならなかったカレンや、ルーシー、カレンの家のメイド、エリザベスの、
その時々の判断に、おそらく正解は無かったと思う。

さまざまな形の母と娘の関係はそうして生れるのだけれど、
時が経ち、カレンの母は老い、シングルマザーであるメイドの子供に失った何かをみる。。。
片や、会った事もない娘に出さない手紙を書き続けるカレン・・・
これはあまりに残酷で悲しい時の流れ。
しかし、
自分の人生から娘を奪った大人(=母)を心のどこかで許せないまま母を亡くしたカレンに、
もう一度転機はやってきて・・・・・・


男を誘い、奪い(笑)、与える。
ナオミ・ワッツがカッコイイです。男前です!
弁護士としての華やかな貌とは裏腹な、辛らつに隣人に向ける目線や男を誘う口元に、
キリキリと疼く孤独や痛みや渇きが内包されていて、、目頭が熱くなります。

37年前の悲劇を胸に、すっかり気難しい内向的な人生を生きてきたカレンが、
トシをとった娘の立場から、母の死をきっかけに娘を思う母の立場になる―アネット・ベニングが愛しいです。

終盤、カレンとエリザベスを繋ぐキーパーソンとなるルーシー役のケリー・ワシントンは、どこか見覚えがあると思ったら「ラスト・キング・オブ・スコットランド」で、アミンの第2夫人を演じていた人でした。
今回も可哀想なシーンに胸が痛くなりました。

誰もがもちろん男女の恋愛の果ての出産なのだけれど、
結婚は脇に置いておいて、出産、子育て、母性に焦点を当てて展開していくストーリーは、
やはり世代を問わず、女性に観て欲しい作品でした

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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
人は (rose_chocolat)
2011-01-26 03:09:14
やり直すことができるのかもしれない、と、
この映画を観て考えさせられますね。
今までずーっと、こういう風にして生きてきた、
これが私のスタイル、そう思っていても、
それを覆す出来事が、人生に訪れることがあるかもしれない。
それが出産であり子育てなのかもしれません。
それだけ大きく心を動かされてますよね。 この登場人物の皆様は。

孤独に絡めとられていても、そこから再生ができると思えた部分も、この映画に深く共感した理由です。
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沁みた… (オリーブリー)
2011-01-26 12:33:29
kiraたん、おはよう~寒いね、風邪ひかないようにね。

そうそう、アミンの第何夫人だったよね。
マカちゃんとラブっちゃって、最後に酷い目にあった…(汗)
彼女、喜怒哀楽とか上手だったよね。
ここのママがまた良かったわ♪

妖艶で刹那なナオミも呪縛から解放されたアネットも凄く良かった!!
アネットがレズになる「キッズ・オールライト」は、GGに次いでアカデミーでも主演女優にノミネートされ、こちらもまた楽しみです♪
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母と娘 (ノルウェーまだ~む)
2011-01-26 17:35:33
kiraさん、こんにちは☆
様々な形の母と娘が描かれていますよね~
そしてなかなか思うように気持ちを伝えられないのも事実。
ルーシー親子は何でも言い合えて、いい関係なのでしょうね。
ナオミは男前!ですね(笑)
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rose_chocolatさん* (kira)
2011-01-26 20:23:34
キャストはみんな良かったですよね。
そのココロの内が伝わってきました。
弁護士としての表向きの貌は、人生に挑んでいるようなエリザベスも、
プライベートではちょっと捨ててるような、危なさを感じましたねぇ。

この作品の感想、roseさんと一番近かったような気がしました。

>孤独に絡めとられていても、そこから再生ができると思えた
序盤の丁寧さがグッと生きてきたラストでしたね
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オリブリたん* (kira)
2011-01-26 20:38:23
アメリカで暮らしたことが無いし、
ブラピ・アンジー夫妻のように、何人も養子をとるとか、
アチラで養子は珍しくない、という現実ですが、
まずそこからしてカレン14歳の出産にしても、きっと日本の母σ(^_^;)でもきっと意見の分かれるところでしょう。
ジュノの時も感じました。
エリザベスの養子先については暗にぼかしてありましたが、
ルーシーに幾度も面会をする相手の少女(20歳だっけ?)の行動のわけが
想像できるような気がしますよね~。

私は多分、一番目頭がやばかったのは、少女の心変わりに、ルーシーが泣き叫ぶシーンかな。
なので、余計にラストはよかったです。
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ノルウェーまだ~む* (kira)
2011-01-26 20:52:17
ここぞという時の、母親の強引さ、強さ、
それは夫や、父親の比ではないものを感じましたね~。
見方を変えればそれは、子供の私物化とも取られそうですが、
なりふり構わない母の姿(世間体よりムスメ)、それって、同じ母親として共感できますよね。

私もそれほどハンカチは必要ないぐらいでしたが、
どちらかというとカレン目線で観ていましたね
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kiraさんおはよう☆ (mig)
2011-01-27 10:19:10
よかったよね☆

とにかく脚本ってより私は俳優たちがすごく良かったのでもらい泣きという感じでした~

アネットベニング、オスカーくるかな!?
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いろんな形。 (きらり+)
2011-01-27 12:01:17
kiraさんはじめまして。

すごくいい映画でしたよね。
語られるストーリーはとてもダイナミックなのに、流れる空気はとても透明で切なくて。
ガリシア監督、男性なのにどうしてこういつも女性心理の描き方がうまいんでしょう!
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migさ~ん* (kira)
2011-01-28 00:01:35
ナオミもアネットも、静かな熱演でしたよね♪

私もストーリーよりも彼女達の演技で惹かれて観ていた感じです。
泣き虫の私が、そんなに泣きはしなかったけど、引き込まれました。
アネットベニング、ノミネートの作品、どうなんでしょうね~
楽しみですね!
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こんばんは♪ (ひろちゃん)
2011-01-28 00:55:17
エンタメ大好きな私ですが、こういう作品も
ちゃんと観るんですよ(笑)
まさしく母と娘の、それぞれの母と娘の
お話でした。地味なんですが、心に沁みました
(T^T)かなり泣かされました(T^T)
男前ナオミも良かったですが、アネットベニング、良かったなあ・・・オスカー獲って
欲しいな♪ほんと、いろいろな世代の女性に
観て欲しい、そして感じて欲しい作品でした!
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