安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

しあわせのピース

2017年05月19日 | 月刊ブログ

 日差しが強くても、吹く風はひんやりとさわやかです。新緑の季節になりました。山々には薄黄緑色とそれより少しだけ濃い緑との濃淡が、油絵のように春の日差しに光っています。

 学校では、5月病になることもなく、みんな元気に勉強に励んでいます。月曜日のボランティア清掃にもたくさん参加してくれるようになりました。

 

 ここ西九州は陶器の里がいくつかあり、ゴールデンウィークには、毎年、市が開催されます。地元の三川内では、かの豊臣秀吉の朝鮮出兵の折、朝鮮の陶工が連れてこられ、平戸で最初の窯入れをしたのが始まりと言われています。のち、白磁の陶石を求めて三川内に行きついたということです。この三川内焼きが有田焼や波佐見焼ほど知名度が高くないのは、献上品としてのみ製作されていた高級品だからだといいます。また、輸出品としても19世紀のヨーロッパを魅了しました。魅せる器、ジャポニズムです。

 

 三川内焼きの代表的な作品に、子供たちが戯れている「唐子」模様、香炉などに用いられる「透かし彫り」などがあります。とても陶器で作られているとは思えないほど精巧で美しく、400年の間、受け継がれた技術の高さと伝統を感じます。唐子絵は、地元である我が家でも小さい時から食卓におかれて日常に使っていましたが、今はその芸術が進化し、同じ唐子でも丸みを帯びた可愛らしい子供絵に変わりました。当初はその唐子の人数によって格が決められていました。もちろん7人唐子が最上級です。透き通るような白磁に、一つ一つ筆書きされた藍色の染付は、ハッとするような清楚な美しさと気品を感じます。

 

 芸術に触れて心が洗われるということは、いくつかあります。

 今、私が一番興味があるのは、これも日本の伝統文化の一つ、「俳句」です。5,7,5の17文字の中に韻律を踏みながら、季節、情景、心の動きを入れていきます。私の父も、晩年、地域の句会に参加して、時々その機関誌に名前が載ることもありました。短い文字の中にいかに心の動きを読み込むか、その心の豊かさと語彙力が問われます。江戸時代の松尾芭蕉と近代文芸として成立させた正岡子規が一番の先駆者です。私はうまく詠むことができませんが、この清々しい立夏の風を表現できればと思うばかりです。

 

 最近、欠かさず見ているテレビドラマがあります。NHKで放送されている「ツバキ文具店」です。ここでは、私の身近ではあまり聞いたことがなかった「代書屋」という仕事が取り上げられています。他人に代わって「手紙」をしたためるには、その人の現在の境遇や心情を理解して初めてペンが動き出します。しかも美しい文字での代書です。若い女性の主人公は、依頼者の、どうしても言葉に表せない、心の奥底の思いを、文字をとおして、最高の形で伝えるのが仕事なのです。すでに4回見終わったのですが、その時間は、古都鎌倉が舞台とあってか、時間がゆっくりと流れて海や山の景色に、依頼者の心情が映し出され、いつの間にか引き込まれてしまいます。静かにひっそりと一人で見たいドラマです。

 自分自身で手紙を書くことは、今はとんと回数が減っています。携帯のメールやLINEでのやり取りが便利すぎて、便せんや封筒を用意して、あれこれ考えて時間を使うのが億劫になってきています。しかし、ドラマでは、その依頼者と用件に応じて、便せんやペンの種類をも入念にしかも楽しみながら選び、文字の書体や筆致も考えながら書いています。その選んでいる時間もその人のことを考えていることを思うと、手紙の本当の役割もわかってくるようでした。

 そして、誰かに手紙を書きたくなりました。その時間は、きっと私のささやかな幸せの時間になるに違いありません。

 

 心豊かに、普段ではできないことに触れると、そのわずかな時間は幸せのピースになります。たくさん集めてみんなに分けてあげられたらと思います。

 単調な日々であっても、ちょっとだけ視点を変えて、周りに目を向けてみると、小さな感動や喜びを発見できることでしょう。何気ない毎日でも、何か自分の興味が持てることを見つけることができれば、幸せのピースがもう一つ増えていくのではないかと、最近思っています。

photo by mizutani

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