東アジア歴史文化研究会

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金正日総書記死去-北朝鮮崩壊はありえるのか

2012-01-07 | 北朝鮮関係
Kim_jongil_on_august_24_20112011年12月19日、突然の北朝鮮の金正日総書記死去が伝えられました。東アジア情勢がこれからどのように変動するのか、と誰しも不安に思ったのではないかと思います。いよいよ北朝鮮は崩壊するのかと!

以前にも、2008年8月に脳卒中で倒れ、半身不随になったという報道がありました。金正日は脳卒中で倒れた後も四肢に障害が残っている状態であり、回復には相当な期間の静養とリハビリが必要。といった内容です。この時も、これから朝鮮半島情勢はどうなるのか、みんな関心をもったものです。

これに先立ち、重村智計氏(早稲田大学教授)は金正日死亡説・影武者説を発表しておられましたので、2010年初め研究会にお呼びし、その真意をお聞きしたことがありました。

重村氏は『北朝鮮はなぜ潰れないのか』(ベスト新書 2007年)、『金正日の正体』(講談社現代新書 2008年)、『金正日の後継者』(ベスト新書 2009年)と毎年出版していました。これら3冊を読みながら、北朝鮮情勢を的確に分析し、しかも本当か嘘かを見抜く力をもって書かれたものであることを感じたからです。

1974年毎日新聞記者時代から本格的に北朝鮮取材に取り組んでこられた経験から、持ち込まれる情報の90%以上(ほとんど)がガセネタであったということを強調しておられます。しかも北朝鮮にパイプがあると売り込む人々の90%以上が詐欺的な人物であったと。必然的にそれらの北朝鮮情報に騙されず、本当のことを見抜くことからはじまったということです。

また、北朝鮮に関する本当の記事を書くと朝鮮総連の大規模な組織的抗議、脅し、誹謗中傷は日常茶飯事であったということです。特に北朝鮮の手先になった新聞記者、学者、政治家から攻撃されることもしばしばであったということです。

『北朝鮮はなぜ潰れないのか』(ベスト新書 2007年)の中に、北朝鮮に関する興味深い内容として以下のようなことを主張しています。
1.北朝鮮はいずれ崩壊するが、早期崩壊はまずない。
2.朝鮮半島で戦争が起きる可能性はゼロに近い。
3.核開発は死んでも手放さない。
4.北朝鮮は改革解放政策を採用できない。
5.金正日総書記には複数の影武者がいる。
6.長男の金正男は後継者になれない。
7.後継者になれる可能性のある人物が浮上している。
8.北朝鮮は極めて小さな国(島根県以下の国力)である。過大評価し過ぎる。
9.多くの拉致被害者は生きている。
10.北朝鮮情報や報道、専門家の発言に騙されてはならない。

詳しく読んでみると、非常に北朝鮮問題を的確に考察していると思いました。特に2007年の段階でこの10項目は極めてするどい内容ではないでしょうか。ただし、5番目の影武者説は可能性としてありえるかもしれないと思ったものです。

そして、『金正日の正体』(講談社現代新書)は今までの30年の取材を結集して金正日死亡説の真偽、影武者説などが書かれており、その勇気に敬意を表したいと思ったぐらいです。マスコミは金正日死亡説を過剰に面白く取り上げたため、重村氏はうんざりしておられました。あくまでも説にすぎないのですが・・・。私の感想では重村氏はプリンセス天功の情報を信じすぎているのではないかと思いました。

『金正日の後継者』(ベスト新書)にはまだ金正恩という名前は出ていませんでした。

しかし、かなりの精度をもって書かれていますので、あわせて3冊一読されれば参考になると思います。

菅沼光弘氏(元公安調査庁第二部長)は、公安関係者として北朝鮮研究のスペシャリストですが、菅沼氏は重村氏も北朝鮮の情報機関の偽情報、トリックにそれでも引っかかっていると言っておられました。それだけ北朝鮮の秘密は保たれているということです。だからそう簡単に北朝鮮は崩壊しないと断言しておられました。たいへん説得力あると確信しました。




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