東アジア歴史文化研究会

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中国共産党大会に向けて「ハッタリ数字」を作り込む習近平(黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」)

2017-04-19 | 中国事情・中国情勢

◎<中国GDP>6.9%成長…1〜3月期 下げ止まり鮮明
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170417-00000028-mai-bus_all


中国の1~3月のGDPが発表されました。物価変動の影響を除いた実質値で、前年同期比6.9%増となり、中国政府が目標としている6.5%前後を第1四半期では大きく上回ったことになります。また、2四半期連続で前年同期を上回りました。

上記の毎日新聞では「下げ止まりが鮮明になった」と評していますが、その要因として政府や国有企業による設備投資が前年同期比で13.6%増(2016年実績18.7%増)と高水準を維持したため、それが呼び水となって民間投資が7.7%増(同3.2%)に伸び、それらを合わせた固定資産投資が9.2%増(同8.1%)となったと分析しています。

つまり、国や国有企業のインフラ投資によって景気が刺激されて、民間の投資意欲が改善し、それが経済を牽引したというのです。

また、工業生産は6.8%増(同6.0%)と堅調で、輸出の回復傾向も見えているとしています。

しかし、これは本当なのでしょうか。記事も指摘しているように、今年の秋には5年に1度の共産党大会が開かれ、重要な人事が決定されます。注目されるのは、習近平の任期の問題とチャイナ7と言われる党中央政治局常務委員の人事です。

秋の党大会では、習近平の唱える「習近平思想」が党規約の行動指針に明記されると噂されています。これは中国にとってこれまで最重要だった「毛沢東思想」と並ぶことを意味します。つまり、習近平の神格化と絶対権力化が進むということです。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032200764&g=int


これまで、党規約に中国指導者の名前が入っているのは、毛沢東思想とトウ小平理論(改革開放と共産党領導)だけです。江沢民は「三つの代表的重要思想」(学習、政治、正しい気風を重んじる)を唱え、胡錦濤は「科学的発展観」を唱えましたが、この2人の名前は入っていません。
http://japanese.joins.com/article/605/197605.html


これまで中国共産党は、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、トウ小平理論、三つの代表的重要思想、科学的発展観の5つを行動指針としてきましたが、これに「習近平思想」が加わるわけです。明らかに習近平は毛沢東やトウ小平と同列に自分を引き上げようとしています。

加えて、習近平は2期10年と定められている国家主席の任期期限を撤廃し、終生にわたり権力の地位を保持する野心を持っているともされています。そのためにも党中央政治局常務委員に自分の息のかかった者を多く選出し、権力固めを行いたいと思っているのです。

そして、こうした重要事項は7月末から8月にかけて行われる北戴河会議で行われます。それまでに習近平は、何が何でも自分の政権の「成果」をアピールしなくてはならないのです。

先週のメルマガでも述べましたが、先の米中首脳会談では、その会談期間中にトランプ大統領からシリア攻撃を聞かされ、また中国の貿易黒字削減を100日間で行なえと要求される一方、習近平がこれまでオバマ政権に求めてきた「新型大国関係」の話はまったく出なかったなど、中国にとっては散々な内容でしたが、それでも中国国内では「大成功」としているのは、ひとえに北戴河会議に向けて成果をアピールしたいからです。

そのために、中国政府は金融緩和とインフラ投資、不動産開発を再び急加速させてきました。2016年の不動産投資は前年比6.9%増だったものが、2017年1~3月には前年同期比9.1%にまで膨らんでいます。
http://www.stats.gov.cn/tjsj/zxfb/201704/t20170417_1484946.html


そして1~3月にはマンションなどの販売面積は前年同期比19.5%増にもなっています。その一方で、個人消費の伸び率は2016年の10.4%増から10%増へと縮小しています。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM15H1X_X10C17A4MM0000/


また、輸出が回復したとはいうものの、公共投資の拡大により輸入も24%増となり、純輸出は減少しています。

加えて、中国経済の回復を牽引したというインフラ投資や企業の設備投資を含めた固定資産投資ですが、先に掲げた9.2%増という数字には、農村が含まれていないのです。なぜ農村を除くのか。考えられるのは、農村はほとんど固定資産投資するだけの余裕がなく、農村の投資を含めると数値が低下し、実際のGDP成長率の説明がつかなくなるからだということです。
http://www.stats.gov.cn/tjsj/zxfb/201704/t20170417_1484976.html


中国国家統計局は、その一方で農村部の収入の増加については発表しています。それによれば第1四半期では実質7.2%の伸びだったということです(都市部の収入は実質6.3%)。
http://www.stats.gov.cn/tjsj/zxfb/201704/t20170417_1484943.html


中国では「三農問題」といわれ、農村の貧困と都市部との格差拡大を中国最大の問題と位置づけています。もともと少ない農村部の収入が7.2%上昇したといっても、額としては小さいものです。公式数字でも、農村部と都市部の平均収入は3倍近い開きがあります(都市部9986元、農村部3880元)。

また、農村部を除いた全国の固定資産投資の内訳も、大きな偏りがあります。東部沿海部の伸び率は9.9%、中部は8.9%、西部は5%の増加だったのに対して、東北地区は27.5%ものマイナスになっています。見方によっては、習近平が党委書記を務めた福州市、浙江省、上海市といった東部沿海部へのインフラ投資は盛んですが、李克強首相が党委書記を務め知己も多い遼寧省などはインフラ投資が衰退しており、李克強をはじめとする共産党青年団への嫌がらせの結果とも見て取れます。

2016年9月には、遼寧省代表の7割が汚職摘発で資格停止となったことがありました。このときも、習近平の李克強に対する権力闘争の結果だと指摘されていました。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM18H2Y_Y6A910C1FF8000/


また、全国の固定資産投資に投じられた資金についても不明な点が多く、たとえば国家予算(前年同期比−7.1%)、国内借款(同−2%)、外資(同−5.3%)、自己金融(同−9.8%)のいずれも前年同期比でマイナスとなっていますが、「その他の資金」だけが24.5%と大幅増であり、これが固定資産投資9.2%増を支えていることになっています。しかし「その他の資金」とは何であるかの説明はありません。

中国の統計が不明瞭なのはいまに始まったことではありません。それは古代から伝統となっています。もっとも、人類史から見て、アラビア数字が使用され始めたのは近代になってからです。それまでの古代人は目測によることが多かったので、概数しか出ませんでした。

しかし中国では、近代になっても人口は国家機密の一つとされ、清の時代以降は政府機構でさえ中国の人口は1億〜3億までの差が出ていました。

そして人民中国になってからも、毛沢東の大躍進時代には、全国の鉄鋼目標生産量を、一地方がたった1カ月だけで達成したという「奇跡」も起きました。言うまでもなく、それは地方政府が成果を水増しして報告していたからですが、同様のことは現在でも行われています。だから各地方のGDPの合計額と、中央政府の全国GDP統計に大きな齟齬が出てしまうのです。

ちなみに、2016年の地方のGDPの合算額は、中央政府のGDP統計より47兆円も超過していました。
http://www.sankei.com/world/news/170209/wor1702090003-n1.html


このように、中国においては統計数字がまったくあてにならないことはすでに常識となっていますが、今回も極めて恣意的な数字が発表されていることは間違いないでしょう。

とはいえ、中国の動向については、数字だけではまったく分からないというのが実情です。文革の実態や林彪失脚についても、日本のチャイナウォッチャーや専門家は一人としてその事実を見抜くことはできませんでした。これは私が言っているのではなく、中国学の重鎮の一人、衛藤瀋吉教授の言葉です。

中国の今後は、経済学からではなく、政治経済学、文化人類学から読み解くほうがむしろ分かりやすいのです。なぜなら、「中国経済学」というものは存在せず、中国経済はすべてが超経済学的な手法で動くからです。

今後も夏の北戴河、そして秋の党大会に向けて、習近平政権の「成果」を強調するようなさまざまな超経済学的な指標などが発表されていくはずです。
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