東アジア歴史文化研究会

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ユネスコの現実、慰安婦登録の危険性 (櫻井よしこ)

2016-10-14 | 歴史の真実

『週刊新潮』2016年10月13日号より転載

明星大学特別教授の高橋史朗氏から1枚の写真が送られてきた。ソウルで開催された、慰安婦問題の関連資料をユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界記憶遺産に登録するための「第3回準備会合」の様子を写したものだ。歴史情報戦における日本の決定的な立ち遅れを示すと共に、昨年、「南京大虐殺」関連資料を記憶遺産として登録されてしまったあの悲惨な敗北の再来も予見させる。

準備会合で中央に陣取る白髪の西洋人はオーストラリア国籍のレイ・エドモンドソン氏、氏の左横には日本人の渡辺美奈氏の姿もある。

エドモンドソン氏こそユネスコ記憶遺産問題のキーマンである。氏は1996年からユネスコ記憶遺産登録に関わり、その考え方や制度を作り上げてきた。各国のNGO(非政府組織)からユネスコに登録申請がなされると、事案は登録小委員会に回され、小委員会が結論をまとめて、国際諮問委員会に勧告する。国際諮問委員会は各案件について何も知らない人たちで構成されるため、小委員会の結論が事実上の決定となる。同委員会の委員長を氏は長年務めた。

昨年の「南京大虐殺文書」記憶遺産登録に関して、日本はいわれなき非難を浴びている当事国でありながら、登録資料の内容を全く把握できず、訳がわからない内に極悪非道の虐殺を行った国として登録された。取り返しのつかない失態だった。その反省から、提出された資料の真実性、評価の妥当性などを当事国を交えて議論すべきだとして、日本は制度改革をユネスコに働きかけてきた。

一方、今年5月には中国をはじめとする8か国14団体に大英帝国戦争博物館が加わって、2700点の慰安婦関連資料の登録が申請された。登録小委員会の会合は来年1月だ。時間が切迫しており、2700点の資料のひとつひとつに反論することは不可能だ。そのため外務省は、制度改革への働きかけを強め、成果をあげたと説明する。本当にそうか。前述のエドモンドソン氏は現在、制度改革小委員会の「コーディネーター」なのである。

ユネスコの不公正

彼は9月9日、東京・千代田区の「韓国YMCA」で開催されたシンポジウム「ユネスコ記憶遺産はなぜ作られたのか」で基調講演を行い、その後の質疑応答で、制度改革小委員会は、日本政府が要請している当事国の主張にも耳を傾けるという普遍的制度改革を、現在進行中の慰安婦資料登録には適用しない、と明言した。

制度改革で、不当な慰安婦資料登録を阻止するという外務省の戦略はすでに破綻しているではないか。このまま行けば慰安婦問題も、南京大虐殺問題同様、その関連資料がほぼ確実に登録されるであろう。

高橋氏は、強く懸念する。

「先に示した写真から、こうしたことは読みとれるのです。写真はユネスコ記憶遺産登録を目指す日中韓の民間団体による準備会合です。そこにユネスコの制度改革小委員会の調整役が出席していたことの意味を考えて下 さい。

日本からはユネスコ慰安婦登録日本委員会代表の渡辺美奈氏が出席 していますが、彼女をはじめソウルに集った人々は、何としてでも慰安婦問 題をユネスコ記憶遺産に登録すべく、私たちから見れば決して公正とは思えない戦術で、準備してきた人たちです。そこに公正中立のはずの調整役がコミットしている。ユネスコの公正さは、この時点で明確に否定されています。そのことを念頭に置いた厳しい対策が必要でしょう」

事実、先述したようにエドモンドソン氏は、日本政府の提唱する制度改革を慰安婦資料登録に関しては明確に否定した。氏と共に会を盛り上げた渡辺氏は「女たちの戦争と平和資料館」(WAM)事務局長、「女たちの戦争と平和人権基金」理事でもある。

前衆議院議員の杉田水脈氏が、東京・西早稲田のWAMを訪れた。

「中国・朝鮮半島の慰安婦の写真がパネルで展示され、女性国際戦犯法廷関連の資料や写真、少なからぬ量のイラストもありました。ハングルで書かれたものや、昭和天皇と見られる男性が目隠しされて木に縛りつけられ、複数の銃口がつきつけられている絵が目につきました」

女性国際戦犯法廷は朝日新聞の故松井やより元記者らが中心になって2000年に開催された。崩御後のことであり弁明もできない昭和天皇を被告として弁護人不在で行われ、法廷と呼ぶことなど到底できないが、このイベント関連資料が展示されているのである。加えて『松井やより全仕事』と題する書籍も販売されている。『全仕事』の内容について杉田氏が語った。

「酷いと思いました。韓国の民主化運動のために思いつくことは何でもやったということが書かれ、シンガポールの特派員時代のものも含めて多数の記事が載っています。全体として、よくもこれだけ日本が悪かったということを記事にできたなというのが私の印象です」

更迭を求めよ

松井氏と同期入社の元朝日新聞記者、長谷川?氏も『崩壊朝日新聞』(WAC)で、松井氏はシンガポール特派員時代にマレーシアの山岳地帯を訪れて、そこで長年続く現地部族同士の争いで殺害された住民も全て、日本軍が殺害したことにしておきなさい、それで構わないと現地の人々に言っていた、と書いている。松井氏の日本批判は理由は分からないが強い反日思想ゆえの、事実歪曲や捏造に満ちた、不条理なものだ。

WAM事務局長の渡辺氏もそのような松井氏の遺志を継いでおり、松井氏の人脈に連なると見てよいだろう。

渡辺氏らと連帯しているのがシンポジウムに参加した韓国の申恵秀、韓恵仁の両氏であり、中国の蘇智良氏らである。申氏は韓国挺身隊問題対策協議会の前常任共同代表、韓氏は「日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会」「親日反民族行為真相糾明委員会」の調査官を歴任した人物だ。

中国代表の蘇氏は上海師範大学教授で、中国慰安婦問題研究センター主任、「慰安婦資料館」館長である。氏は『中国人慰安婦』という徹頭徹尾、反日の虚構に満ちた本の著者でもある。

そのような人々と共同行動をとっているのがエドモンドソン氏だ。ユネスコにおける対日包囲の動きがどれ程周到に準備されていることか。

全力で毅然と立ち向かわなければ、わが国はまたもや煮え湯を飲まされる。まず、双方の主張が激しく対立する課題で一方に完全に与するような人物は調整役の資格がない。氏の更迭を、日本政府はユネスコに求めよ。そのうえで登録するか否かは来年4月に出る予定の制度改革の結論を踏まえて行うよう強く働きかけよ。


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