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「雨族」 断片44-「うぶ」:kipple

2010-01-18 23:51:00 | 雨族(不連続kipple小説)

ようこそRAIN PEOPLES!超バラバラ妄想小説『雨族』の世界へ! since1970年代


               「雨族」
     断片44-「うぶ」


 「うぶ」なものについて。

 「うぶ」とは何か。

 僕は「うぶ」が好きだ。「うぶ」の仮面は憎む。

 飛び交う「うぶ」の群れは、ゾッとする。

 「うぶ」は群集の片隅でひっそりとベンチに座って何かを待っている。

 「うぶ」とは、「うぶ」を解放しようと望みながら、解放についてのポイントと、その後を想像力で補い、現実のプレッシャーに対して、びくびくしている状態だ。

 解放されてしまった「うぶ」は、どうなるのか?

 「うぶ」は以前と違う「うぶ」に変容していくか、極小の「うぶ」になり、殆んど消え入りそうになって、その後の存続を図る。

 「うぶ」は質と量を変える。

 僕らの「うぶ」は、僕らのものだ。

 僕は「うぶ」は出来たら質量とも変わらずに残されていけばいいなと思う。

 が、経験というものは「うぶ」を解体し、定着させる。

 「うぶ」は、僕らの人生において、心の疲れに関わる重大な要素である。

 僕たちは少なくとも、未経験状態の「うぶ」を感触として、又、幻想として、内部に留めておくべきなのだ。


 何故ならば、僕らは昆虫とは違うからだ。






断片44     終


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)



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