認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

発病の原因である廃用性の機能低下の機序を示す証拠としての脳機能データ(B-70)

2016-11-01 | 器質的な病態でなく廃...

  

   見過ごされ 気にもかけずに 生きる意味

        身体が持てば それで良いのか  By kinukototadao

&  廃用性の機能低下が原因であるからこそ、脳の機能の衰えに厳密な順番があるのです

生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもないナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続されている生活状況の下で、「前頭葉」を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてきて、それが進行していくとき、私たちの意識的な世界を構築し、支配し、コントロールしていて脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」(「前頭前野」を言うものとする。以下、同じ)の機能が最初に廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしていくことが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです(※最も高度な脳機能から順番に衰えていくのです。「三頭立ての馬車」の例で言うと、前頭葉、左脳、右脳、運動の脳の順番に衰えていくのです。「三本柱の機能」の例でいうと、注意の分配力、注意の集中力、意欲の順番に衰えていくのです。MMSEが判定する「下位項目の機能」についても、後述のように衰えていく順番があるのです。この一事をとってみても、「アミロイドベータの蓄積」や「タウ蛋白の蓄積」や「脳の萎縮」が発病の原因ではないことが分かるのです)。ちなみに(私たちの「脳機能データ」の解析によると)、皆さんが日常的に体験し気にかかっている例の「物忘れ」の症状の発現は、「注意の分配力」の機能の「加齢による衰え」と密接不可分の関係にあるのです。認知症の専門医だとか名医だとか言いながら、「前頭葉」のことにも、「前頭葉」の「三本柱」の機能のことにも、無知で居て、「物忘れ」の症状が増えてきていると、「軽度認知障害」(MCI)だとか訳の分からない基準を持ち出して、「アルツハイマー型認知症」の発病の危険が高いとか言って騒いでいるのです。物忘れはボケの始まりというのは誤解に基づく単なる仮説にすぎないのです「アルツハイマー型認知症」の中核的な症状であり、最初に発現が確認されるのは、記憶の障害に起因した症状ではなくて、「前頭葉」の機能障害に起因した症状なのですから(ここを「クリック」してください)。知りもしないのに、「権威だ」けで平気で間違ったことをテレビに出てきてしゃべったり、本まで出版する人たちが余りにも多いのを嘆くのです。

 認知症全体の90%以上の割合を占めていて、世界中の認知症の専門家とされる人達から、発病の原因も、重症化する原因も分からないし、治す方法が分からないし、予防することができないと言われ続けてきている「アルツハイマー型認知症」を発病させるその仕組みは、一部の学者が主張しているような、アミロイドベータの蓄積とも、タウ蛋白の蓄積とも、脳の顕著な萎縮と言った「器質的な病変」とは無関係の世界なのです。器質的な病変が発病の原因となっているのではなくて、単なる機能の低下、脳の使い方としての「生活習慣」に起因した、廃用性の加速度的で異常な機能低下が発病の真の犯人、本当の原因なのです。

「アルツハイマー型認知症」を発症したその最初の段階であって、「家庭」の枠の外に出ていき人と交わりながら、何等かの共通のテーマをこなすことが要求される「社会生活」面での様々な支障が出てくるのが私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階であり、小ボケの段階では、左脳も右脳も運動の脳も未だ正常な機能レベルにあるのです。従って、「小ボケ」の段階の症状の特徴として、「前頭葉」の機能だけが異常なレベルにあり、そのことに直接に起因した症状としての「前頭葉」の機能障害の症状を示すのです(小ボケ、中ボケ及び大ボケの三段階の症状の類型については、ここを「クリック」してください)。

     

「小ボケ」の段階では、上述したように、脳全体の機能が異常なレベルに衰えてきている訳ではないのですが(「前頭葉」は異常なレベルに衰えてきてはいるものの、左脳も右脳も運動の脳もその機能が未だ正常なレベルにあることに注意)、全ての症状は、必ず「前頭葉」による意識的な世界の構築、支配及びコントロールという関与を経てアウト・プットされてくるので、「前頭葉」の機能が異常なレベルにある下での脳全体の機能レベルのアウト・プットである症状自体も異常な症状(認知症としての症状)となるということなのです。

上述の(クリック部分の)「小ボケ」の段階の症状をつぶさに観察し、検討を加えてみれば分かるように「小ボケ」の段階での発現が確認される「アルツハイマー型認知症」の症状の特徴として特筆すべきことは、「記憶障害の症状」、或いは、「記憶障害に起因する症状」は、その欠片さえも観測されないということなのです

私たちの「二段階方式」の手技のように、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルとそれに厳密にリンクした症状、すなわち「小ボケ」の段階の症状、次いで、「中ボケ」の段階の症状及び末期の段階である「大ボケ」の段階の症状という形で、連続した脳の機能レベルとそれに厳密にリンクした症状としての「脳機能データ」を集積し、解析することにより初めて、「記憶障害の症状」、或いは「記憶障害に起因した症状」が、「アルツハイマー型認知症」の中核となる症状ではないことが理解できるのです世界中の医師達が世界最高の権威あるものとして崇め、診断時に依拠している規定、米国精神医学会が策定した「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の規定の「第二の要件」として定められ、診断に際して症状の確認が要求されている「失語、失認又は失行」と言った症状は、「第一の要件」で確認が要求されている「記憶の障害」とは無関係なのです。それらの症状が発現する仕組みとは、記憶の障害に起因して発現してきているのではなくて、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続されている状況下で、私たちが意識的に何かのテーマを実行しようとする際に不可欠の機能である「前頭葉」の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきて殆ど機能しないレベルにまで衰えてきていることが、そうした症状が発現する核心的な基礎となっているのです服を着ようとして袖に頭を通そうとするのは、服の着方を忘れているための行為ではないのです。服を着るという目的、行為の内容自体を理解できなくなっているせいなのです。意識的に服を着ようとしているのに、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により、「前頭葉」の機能が「大ボケ」の後半の段階にまで衰えてきていること(MMSEの得点が一桁しか取れないまでに「前頭葉」を含む脳全体の機能が衰えてきている段階)が真の原因で、実行すべき「テーマ」(ここでは、服を着ること)についての発想が湧いてこないだけなのです。状況や実行すべき行為について必要なレベルでの理解や判断が出来なくて、闇雲に支離滅裂の動作をやっているだけなのです。その結果として、「服を着る」という行為の実行の仕方を組み立てることが出来ないのです。何をどうしたら良いのかが理解できないし、判断できないので、ただ闇雲に、袖に頭を突っ込んでみたというだけの行為でしかないのです。器質的な原因で起きてきている失語や失認や失行の症状とは本質的に異なるものなのです。

たとえ自慢げにアルツハイマー・マウスを使用していようとも、「前頭葉」と言う脳機能がないマウスの行動、檻の中で単に餌を求めて走り回っているだけのマウスの行動を研究していたのでは、何時まで経っても、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを解明することは出来ない、アミロイド・ベータの蓄積との間の因果関係を証明することも出来ない、無駄な研究に終わるだけだということを指摘しておきたいのです。何故あなた達は、生きた人間の、「前頭葉」と言う脳機能の、「廃用性の機能低下」という視点に気づかないで居るのですか。勿体ないというべきか、嘆かわしいと言うべきか。

            

& 「アルツハイマー型認知症」を発病した場合に確認される脳機能の衰えの順番とその根拠となる「脳機能データ」

「二段階方式」の手技を活用して、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルとそれに厳密にリンクした症状並びに症状の発現及び重症化の基礎となる「生活歴」(脳の使い方としての生活習慣の具体的な過去歴の把握に基づく評価)について、私達が集積してきた14689例にも及ぶ精緻な「脳機能データ」の解析によると、認知症全体の90%以上の割合を占めていて、発病の原因(メカニズム)が未だに不明とされている「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症の場合は、廃用性の加速度的で異常な機能低下により脳の機能が衰えていくとき、その「衰え方」に、以下に示す4つの特徴があるのです。

1.脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能だけが、廃用性の加速度的で異常な機能低下を最初に起こしてきて異常なレベルに衰えていった結果、「社会生活」面での様々なレベルの支障が起きてくることになるのです。「社会生活」面に支障が出てくる段階を、私たちは「軽度認知症」(小ボケ)の段階と定義しているのですが、この段階では、左脳、右脳及び運動の脳は全てが未だ正常な機能レベルにあるのです;このことを言い換えると「小ボケ」の段階の症状というのは、「前頭葉」の機能障害に起因した症状だけが発現してくるということなのです。

2.「小ボケ」の段階の症状が発現してきてもナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されていると、「前頭葉」が廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行を継続しつつ、同時に並行して、「左脳」、「右脳」及び運動の脳がその順番に廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことになります。その結果として、「家庭生活」面でも様々な支障が起きてくるようになります。「家庭生活」面にも支障が出てくるようになった段階を、私たちは、「中等度認知症」(中ボケ)の段階と定義しています。

3.そして、「中ボケ」の段階の症状が確認されるようになってもなお、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されていると、「前頭葉」並びに左脳、右脳及び運動の脳が更なる廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていく結果、 最後は、「セルフケア」にも支障をきたす段階、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状が発現してくることになるのです。

4.並びに、MMSEによる判定の対象となる「下位項目」の機能について、出来なくなっていく順番(脳の機能が衰えていく順番)に厳密な「規則性」が認められるのです(「下位項目」が出来なくなっていく順番とそのパターンが存在する:「規則性の存在」)。

5.「前頭葉」を含む脳全体の機能について起きてくる、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が原因で発病し、症状が重症化していく特徴を有する「アルツハイマー型認知症」の場合には、「前頭葉」の機能レベルを判定し評価する「かなひろいテスト」並びに左脳と右脳の機能レベルを判定し評価するMMSEテストという二種類の「神経心理機能」テスト、更には、上記「4つの特徴」を客観的な指標として活用することにより、「アルツハイマー型認知症」の診断(判定)に際しては、他の種類の認知症との鑑別並びに認知症と紛らわしい病気との的確な鑑別が極めて容易に行えるのです

ⅰ)  以下の中央のグラフは、「かなひろい」テスト(前頭葉の機能テスト)とMMSE(左脳と右脳の機能テスト)を同時に施行した、14689人分の成績分布を示しています。

  

ⅱ)上出のグラフでは、右に行くほど「かなひろい」テストの成績が良くなり、上に行くほどMMSEの成績が良くなることを示しています。

グラフの分布から、「かなひろい」テストの成績良好群(「前頭葉」の機能が正常なレベル)には、MMSEテストの成績が悪い(不合格)ケースは存在しないことが分かります。「かなひろい」テストが合格する人達は、MMSEテストの成績も合格するのです。

一方、「かなひろい」テストの成績が悪くなっていくと(合否の基準点を下回るようになると)、MMSEテストの成績には満点から0点まで大きな幅が見られます。このグラフから直接には見え難いのですが、MMSEテストが30点満点でも、「かなひろい」テストが0点のケースが相当数みられるのです。

このことはとても重要なことなのです。なぜなら、医療現場で通常使われているMMSE(或いは、長谷川式)のようなテストだけでは、「前頭葉」の機能の衰えは発見できないことを意味しているからです。「前頭葉」の機能テストを実施しないと、脳機能の老化が加速されて社会生活に支障が出てきている「アルツハイマー型認知症」の最初の段階(「脳のリハビリ」により回復させることが容易な小ボケ」の段階)をキャッチすることができないのです(見過ごしてしまうことになるのです)。

   

& 「前頭葉」機能の加齢による衰えの基礎となるものとは

○ 「かなひろい」テストのテスト目的

(1)「かなひろいテスト」は、全部ひらがなで書かれた「おとぎ話」を2分間という時間の制約のもとで、①テストの課題を保持しつつ、②文を読んでいきながら、③あらすじを理解していき、その内容をイメージ化して覚えていく作業と④「あ、い、う、え、お」が出てくる度にそれに○を付けていくという複数の異なった作業同時に並行して行うことが要求されているものなのです。

(2)このテストの意図は、いくつか同時進行する異なった仕事注意力を分配させながら、その複数の異なった課題を忘れないよう記憶を保持しつつ、複数の異なった課題を一定の時間内に、いかにテキパキとさばけるか(「注意の分配機能」の発揮度)、「注意の集中力」の発揮の度合い及び課題の遂行継続の意欲(「意欲」の継続的な発揮度)を個々に観察した上で、三者の総合的な機能の発揮度(発揮能力)を評価することにあります。理解、判断、企画、計画、創造、推理、観察、洞察、シミュレーション、修正、抑制、決定や感動や共感等、私たちが意識的に何かの「テーマ」を発想し、実行していく世界、意識的な世界の構築と実行のために不可欠の機能である「前頭葉」の個別認知機能の発揮度を左右している「前頭葉」の「三本柱の機能」の機能の発揮度を評価し、判定することにより、左脳、右脳及び運動の脳という各馬を操る、三頭立ての馬車の御者の役割を担っている「前頭葉」という脳機能の働き具合を評価し判定できるのです。「前頭葉」の個別認知機能と「三本柱の機能」との間に存在する機能発揮上の「二重構造の関係」に着目した評価方法としてのテストなのです。物忘れの回数が減ったとか、程度が良くなったとか言った程度のことで、脳の機能が向上したとか回復したとか言って騒いでいる人たちとはレベルが異次元なのです。その人達は、「前頭葉」という脳機能について無知であり、「意識」を構築する脳機能の構造についても無知というしかないのです。前頭葉」という脳機能は、脳の使い方としての「生活習慣」自体が改善されないと、その機能レベルは向上しないということさえ知らない人たちなのです。歩きながら足し算や引き算をしたり、シリトリをしたりすると、「物忘れ」が減るとか言って騒いでいる学者がいますが、それをもって脳機能が改善されたというのは言い過ぎなのです。「木を見て森を見ず」の類に過ぎないのです。脳機能が改善されたというためには、「前頭葉」という脳機能の機能レベルが改善されたことが必要条件だからなのです。「前頭葉」という脳機能についてもう少し研究していただきたいのです。

(3)このテストは、「前頭葉」の個別認知機能の発揮度を左右している三本柱の機能である、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の発揮度に基づいて、それらの総合的な能力としての機能レベルを判定し評価するものなのです。「前頭葉」の個別認知機能を発揮する上での基礎となる三本柱の機能であり、社会生活や家庭生活やセルフ・ケアを行う上で不可欠の機能である意欲、注意の集中力(特定の目的に添った行為を集中して行うときに必要となる機能)及び注意の分配力(異なった複数のテーマを同時に並行して処理するときに必要となる機能)について、それら個々の働き具合がどの程度であるかを測定し、同時に、三本柱の機能の総体としての機能レベルを判定し、評価することを目的とするものなのです。

○ 「かなひろいテスト」のテスト結果が示すもの

「かなひろいテスト」のテスト結果は、加齢による脳機能の老化を示す「正常老化の曲線」の存在を示しているのです。私たちが意識的に何かの「テーマ」を実行していく上で不可欠の機能であり、左脳、右脳及び運動の脳という三頭立ての馬車の御者、私たちの意識的な世界を支配し、コントロールしている脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」と言う機能の個別の認知機能の発揮度を左右している三本柱の機能には、日々の脳の使い方としての生活習慣のいかんにかかわらず、加齢とともに徐々に緩やかに衰えていくという性質、私たちが「正常老化の曲線」と名付けている性質が生来的に内在していることが示されているのです。そのカーブはというと、20歳代の前半が機能の最高値を示していて、65歳ころになると最高値の半分くらいに衰えてきていて、その後は、70歳代、80歳代、90歳代と年を取っていくにつれて緩やかなカーブを描きながら、100歳に向かって、徐々に衰えていくのが特徴なのです。その正常値の推移を示す曲線が、上出の「前頭葉の老化曲線」のデータなのです(下記、右側のグラフを参照)。

     

「前頭葉」の個別認知機能の発揮度を支える「二重構造」の問題

 ○「意欲、注意集中力と注意分配力」の加齢による老化のカーブ

 私たちの意識的な世界を構築し、支配し、コントロールしていて、脳全体の司令塔の役割を担っている脳機能、自分が置かれている状況を理解し、判断したり、何かのテーマを思いついたり、実行のための計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、最終的な実行の内容、程度及びその態様を選択して、決定したり、各種の高度な働きを担当している「前頭葉」の機能、中でも、その個別の認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要な「認知度」を左右する三本柱の機能としての意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力の機能には、上出した「意欲、注意集中力と注意分配力 」のグラフにみられるように、脳の使い方としての「生活習慣」の内容の良し悪しとは無関係に、加齢と共に老化し衰えていくという重要な、然し脳科学者や認知症の専門家達から見過ごされている性質があるということを、ここで問題提起しておきたいと思うのです。

20歳代の半ばまでがピークで、20歳代の半ばを過ぎるころから100歳に向かって、緩やかではあるけれど、直線的に衰えていくという性質のことなのです。「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が急に多くなってくる60代後半にもなると、「前頭葉」の働き具合は、ピーク時の20歳代の半ば頃に比べて、「働き」具合が半分以下に衰えてきているのです。70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と、年をとればとるほど、「前頭葉」の三本柱の働きが更に衰えていき、正常な機能レベルを保ちつつも、どんどん「低空飛行」の状態になっていくのが特徴なのです。

認知症の大多数90%以上を占めていて、皆さんが普段よく目にしていて、専門家達からは原因も分からないし治らないと言われている「アルツハイマー型認知症」の正体は、加齢による脳の老化という問題が基本にあるのです。私たちが「正常老化の性質」と名付けている性質、誰にでも生来的に「前頭葉」の三本柱の機能に内在する性質、すなわち、「加齢による脳の老化」という問題が基本にあるが為に、「アルツハイマー型認知症」は、若者には関係なくて、60歳代以降のお年寄りだけが発病の対象になる」のです。

コーヒー・ブレイク)数日前のことなのですが、或る新聞に「アルツハイマー型認知症」の特集記事が載っていました。6人のパネラーによる討論会の記事で、2面全体を使うほどの大々的な記事でした。内容を読んでみて失望したのは、6人全員が「アルツハイマー型認知症」について無知であることでした。「若年性アルツハイマー病」と診断された人が一人パネラーに加わっていたのですが、紙面で読んで知り得たその人の症状とその人の発言の内容とから判断して、その人は若年性の「アルツハイマー病で」はなくて、ましてや老年性の「アルツハイマー型認知症」でもなくて、恐らくは極めて高い確度で「側頭葉性健忘症」だと思われるのです。重度の「記憶障害」の症状さえ確認されるとすぐに若年性「アルツハイマー病」とか「アルツハイマー型認知症」と診断してしまう、診断のずさんさにはただあきれるばかりなのです。とにかく、これだけの人数のパネラーがいながら、誰もが「アルツハイマー病」についても、「アルツハイマー型認知症」についても、「側頭葉性健忘症」についても無知と言うしかないのです。私たちの意識的な世界を構築し、支配し、コントロールしていて、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能のことも知らないのです。「前頭葉」の機能が正常なレベルにあって認知症の症状を発現してくるような「アルツハイマー病」とか、「アルツハイマー型認知症」というものは存在しないのです。この新聞記事を読んだ読者は、この内容を信じてしまうのではないかと恐れるのです。重度の記憶障害の症状を示しながら、それでいて「前頭葉」の機能が正常なレベルにあるのは、「側頭葉性健忘症」なのです。医師とみられるパネラー達はその上、例によって、効きもしない薬を褒めていたり、アミロイド・ベータ説が正しいものであるかのような発言の内容なのです。自己体験ではなくて他人の説の受け売り程度の内容であり、然も自分自身が良く分かってもいないことを、物知り顔にこうした場で話す人達。その人達の「前頭葉」に内在する「評価の物差し」の機能が、そうさせていることなのですが。

   

&「前頭葉」の個別認知機能の発揮度と二重構造の仕組みの問題

「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、実態面から見るとき、極めて例外的なごく少数のケース事例を除いて、60歳を超える年齢の「高齢のお年寄り」だけが発病の対象となっているという特徴があります。「高齢のお年寄り」だけが対象となる為には、脳の機能面から見たとき、次のような理由が存在することがその根拠となるのです。

私達が開発した「二段階方式」と呼ばれる神経心理機能テストを活用して、「前頭葉」の機能レベルの年齢別の推移を調べたのです。その脳機能データの解析によって、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」基礎的機能(私たちは、三本柱の機能と呼んでいます)である意欲注意の集中力及び注意の分配力という「三本柱」の機能には、脳の使い方としての良し悪しに関わらず(脳の使い方としての「生活習慣」の如何に関わらず)「加齢とともに働きが老化していく」という性質があることが判明したのです。自分なりの「生き甲斐」や「目的」や「目標」がある生活、趣味や遊びや人付き合いや運動等を楽しんでいる「生活習慣」の下で日々を過ごしていようとも、20歳代の半ばにピークを打ったその先は、年を重ねていくにつれて「前頭葉」の「三本柱」の機能レベルが正常な機能レベルを保ちつつも、100歳に向かって緩やかに直線的に低下していくという性質が生来的な性質として「前頭葉」の三本柱の機能に内在しているのです(「正常老化」の性質の存在)。

私達が意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするに際して、その実行内容が複雑で高度なものであればあるほど、そうした場面で要求される「前頭葉」のさまざまな個別の認知機能の「発揮度」(様々な程度態様からなる情報の認知とその処理にかかわる「前頭葉」の各種個別認知機能の発揮にかかわる「認知度」と密接不可分の関係を有する)を左右する「前頭葉」の「三本柱」の機能である、「意欲、注意の集中力と注意の分配力」からなる機能に、「正常老化の性質」が生来的に内在していることが、「前頭葉」全体の機能の正常老化の性質及び廃用性の機能低下が進んでいく下での、総合的な脳機能の「発揮度の低下」の問題(廃用性の機能低下の問題)に直接的に繋がっていると考えているのです(『二重構造の仕組み』)。

 状況の理解と判断に対応する内容の「テーマ」を発想し、発想した「テーマ」の実行内容を計画し、実行結果をシミュレーションした上で修正を加えた上で最終的な実行内容と実行の仕方及び態様を選択して、決定し、左脳や右脳や運動の脳に対して実行の指令を出す過程では、情報の「認知度」と情報の処理にかかわる「前頭葉」の各種個別認知機能の「発揮度」が高いレベル、正常なレベルで要求されることになる訳なのです。「前頭葉」全体の構成要素である各種の個別認知機能、例えば自発性、発想、計画、理解、考察、洞察、推理、機転、修正、創造、感動、抑制、判断などの個別の認知機能の認知度も発揮度も、「前頭葉」の「三本柱」の機能のレベルが異常なレベルに機能低下してきたときには、共に揺らいでしまうと考えられるのです。人生での様々な「体験」、「学習の積み重ね」及びそれらの組み合わせにより、それら個別の「認知機能」自体は機能範囲を拡大していくのですがそれら個別の認知機能の発揮度を下支えしている関係にある「前頭葉」の「三本柱」の機能が廃用性の機能低下により、その働き具合が異常なレベルに低下したとき、「前頭葉」の構成要素としての個別認知機能も同時に機能の発揮度が低下してくると考えているのです。これが、14689例にも及ぶ精緻な「脳機能データ」の解析により私たちがその存在を確認した「前頭葉」全体を構成する構成要素としての各種個別認知機能の機能発揮面における二重構造の仕組み』という問題なのです

  

&  「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム(発病の仕組み)

○「高齢者」だけが「アルツハイマー型認知症」を発病する理由

私達がこれまでに集積してきた極めて多数の症例に基づく脳機能「データ」によると、「正常な老化」の場合でも、「高齢者」と呼ばれる年代の65歳頃になると誰でも、その働き具合がピーク時である20歳代の半ば頃に比べて「半分程度」にまで衰えてきているのです。このことが、加齢による前頭葉の「正常老化」の性質の重要な点でもあるのです。つまり、この「60歳を超えた年齢の高齢者である」という条件こそが、「アルツハイマー型認知症」を発病する「第一の要件」なのです。そして、加齢による前頭葉の「正常老化」のカーブは、その先70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と年をとるにつれて、「直線的」ではあるが緩やかなカーブを描きながら、更なる「低空飛行」の状態に入っていくのです。それ故に、実態面を見るとき、「アルツハイマー型認知症」を発病する対象は60歳を超える年齢の「高齢者」だけということになるのです。更に言えば、60歳代よりも70歳代、70歳代よりも80歳代、80歳代よりも90歳代、90歳代よりも100歳代と、年齢が増せば増すほど「アルツハイマー型認知症」を発病する人達の「同年代での発病率」が大きくなっていくのです(年をとればとるほど、「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りの割合を示す数値が大きくなる)。北海道から九州まで、日本全国どこでも、この特徴的な「実態」が確認されているのです。

○ 脳の使い方としての「生活習慣」が発病の引き金に

「正常な老化」のカーブを辿りつつ年をとっていく過程にあるとはいえ、「前頭葉」の機能が「低空飛行」の状態に入ってきている「60歳を超えた高齢者と呼ばれる年齢のお年寄り」が(上述した、発病の「第一の要件」の充足)、脳を積極的に使おうとはしない「単調な生活」、キャッチ・コピー的な表現を借りて言えば、「生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない」というナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていると私たちが定義する発病の「第二の要件の充足、出番が極端に少ないために使われる機会が極端に減った「前頭葉」が廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてくるのです。

つまり、「第一の要件」と「第二の要件」とが重なり合う(二つの要件が同時に充足される)ことの相乗効果によって、「前頭葉」の機能の老化が加速度的に進んでいくことになるのです。「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくことにより、脳の働き具合(機能レベル)が異常なレベルに衰えてくるその先に、「アルツハイマー型認知症」(晩発型、或いは老年性「アルツハイマー病」と呼称されることもあります)の発病が待っているのです(その最初の段階が、私たちの区分でいう「軽度認知症」(小ボケ)の段階なのです)。

     

(コーヒー・ブレイク) 私たちが規定する「発病の第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足されることによる相乗効果により、「前頭葉」を含む脳全体の機能について、「廃用性の機能低下」が進むときは、上掲の図が示すカーブに見られるように、直線的ではなくて放物線を描いて「加速度的」に脳の機能が衰えていくことを、私たちが集積してきた多数の症例の「データ」が示しているのです(右端の図は、それを立体的に表示したもの)。

& MMSE「下位項目」の項目困難度が示す指標

「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足されることの「相乗的な効果」により、「廃用性の機能低下」が加速度的に進行していくとき、「前頭葉」を含む脳の機能に「衰えていく順番がある」ことが、「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。「三頭立ての馬車」の御者の役割をしている「前頭葉」が最初に異常なレベルに衰えていき、次いで、馬の役割をしている「左脳」や「右脳」や「運動の脳」が異常なレベルに衰えていくのです。更には、「アルツハイマー型認知症」の場合には、MMSEで測定される「左脳」及び「右脳」の衰え方自体にも「規則性」がある(衰えていく厳蜜な「順番」がある)ことがとても重要な特徴なのです。「前頭葉」と「左脳」及び「右脳」のそれぞれの衰え方、或いはその組み合わせでの働き方の衰え具合と症状の発現(三段階に区分して定義される「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの直接の反映としてのアウト・プットが、三段階に区分される「認知症の症状」となる)とが、他の種類の認知症あるいは認知症と紛らわしい病気(側頭葉性健忘症、感覚性失語症、一過性全健忘、老年期うつ病、緩徐進行性失行等)との鑑別の上で、極めて重要且つ客観的な指標としての役割を果たしてくれるのです。

(1) 下の左のグラフは、MMSE各下位項目の「項目困難度」を示す指標である完全正答率50%(各下位項目について、満点をとる人が50%になる時のMMSの総得点)のグラフを示します。

 

50%の横軸とクロスする点が、右に行くほどその項目は難しく、左に行くほどその項目は易しいことになります。上記のデータは、14689例の「脳機能データ」を解析したものなのです。

 (2) 上に示したMMSE下位項目の「項目困難度」のグラフを整理し表示方法を変えたのが、右の表です。上述の「 項目困難度の順番」は、上の表のようになります。その意味するところは、「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳の機能がこの項目の順番に衰えていく(項目が、この順番にできなくなっていく)という厳密な「規則性」を示すということなのです。アミロイドベータ説、タウ蛋白説又は脳の萎縮説のいづれの仮説も、「前頭葉」を含む脳機能に衰えていく順番があるという事実を説明することが出来ないのです。

      

(3)私たちが開発した二段階方式の手技では、「前頭葉」の機能レベルを「かなひろいテスト」により、左脳及び右脳の機能レベルを「MMSE」によって判定します。「MMSE」で判定するとき、左脳と右脳の機能については、MMSEで判定される項目(「下位項目」)について、衰えていく厳密な順番があるということなのです。

 廃用性の機能低下を本質とする「アルツハイマー型認知症」の場合には、必ず高度な機能から順番に衰えていくことになるのが特徴なのです。従って、この順番に衰えていかないときは、「アルツハイマー型認知症」ではないのです。その場合は、「アルツハイマー型認知症」以外の「認知症」であるか、或は、認知症と紛らわしい「病気」ということになるのです。

(4)それ程この順番、「前頭葉」だけが最初に衰えていき、次いで、「左脳、右脳、運動の脳」の順番に衰えていくことが極めて重要な診断基準となるのです。更には、MMSEで判定される下位項目の衰え方にも、「想起、計算、三段階口頭命令、時の見当識、所の見当識、、、、命名の順番に衰えていく 」という「衰え方の規則性」があるのですMMSE「下位項目」の項目困難度に関する資料は、私たちだけが有する極めて重要な資料なのです)。

(5)衰え方の規則性というこの指標は、廃用症候群に属する「生活習慣病」を本質とするのものである「アルツハイマー型認知症」の場合、極めて厳密であり、上述のように、他の種類の「認知症」との鑑別及び認知症と紛らわしい「他の病気」との鑑別(例えば、重度の記憶障害の症状を示していても、「アルツハイマー型認知症」ではなくて、「側頭葉性健忘症」であることの鑑別、或いは、「緩徐進行性失語」であることの鑑別等)に極めて有効な指標となるのです。

 注)本著作物(Bー70に記載され表現された内容)に係る著作権は、 (有)エイジングライフ研究所に帰属しています。   

    エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

    脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

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