認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

単調な生活が始まるキッカケとその類型(その一)(B-59)

2016-05-01 | 「キッカケ」になるか否かは、その人次第

    

  覚えなし 今日は幾日か 人に聞く

  趣味も無ければ 友達も無し By kinukototadao

 

& アルツハイマー型認知症の本質について、専門家達が無知

本来の「アルツハイマー病」は、遺伝子の異常に起因する病気

「アルツハイマー病」は、もともとはドイツの精神科医アルツハイマー博士が世界で初めて発見した認知症の種類の一つであり、「遺伝子の異常」に起因する認知症であって、生まれつき特定の遺伝子に異常が認められる人だけが発病するものを言うのです(複数の「原因遺伝子」が特定されている)。特定の遺伝子の異常が認められない人(「原因遺伝子」の存在の確認が出来ない人)が、この「アルツハイマー病」を発病することは絶対に無いのです。今日のメインテーマである「アルツハイマー型認知症」とは、発病の原因(メカニズム)が、全く異なるものなのです。

ところが現在の我が国では、「アルツハイマー病」と「アルツハイマー型認知症」とをまとめて「アルツハイマー病」と呼ぶ人達が極めて多いのです。認知症の専門家とされ権威があるとされる人達、著名なテレビ局の特集番組に出てきて認知症に関する名医(迷医の誤りか?)とか呼ばれ紹介される人達が多いのです。その人達は、「アルツハイマー型認知症」については、実は、無知なのです。無知とはいえ、権威がある人達の言うことなので、我が国では、まかり通ってしまうのです。テレビに出てきて発言している人達が語っている内容とこのブログで公開している内容とを比較してみてください。その余りの出鱈目ぶりに、耳を疑うばかりなのです。その人達の発言内容の特徴はと言うと、やたらと「DSM」とか「MCI」とか言った横文字を並べ立てるのです。実は、このブログでたびたび指摘しているような「DSM-4」の規定の重大な誤りに気づいてもいないで居て(「第一の要件」も、「第二の要件」も、ともに極めて重大な誤り、誤解に基づく規定内容となっている)、或いは「MCI」の規定の誤りや問題点に気づかないで居て(「記憶の障害」の症状が、「アルツハイマー型認知症」の早期の段階での中核症状だとの誤解に基づく規定であり、且つ、その規定内容自体が極めて曖昧な表現による基準であって、医療現場での混乱をもたらしている)、他人の権威を借りている人達でもあるのです。

両者の発現のメカニズムや段階的に発現してくる症状の性質の差異を知らない人達(明確に指摘すると、「アルツハイマー型認知症」の発現のメカニズムについても、或いは症状の進行のメカニズムについても、更には治す方法も、発病自体を予防する方法も知らない、言い換えると「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症について無知な人達)が、「アルツハイマー病」を発病した人の死後の脳の解剖所見と「アルツハイマー型認知症」を発病して末期の段階にまで症状が進行した人の死後の脳の解剖所見という、両者の脳の「解剖所見」の比較上の共通点、「老人斑」、「神経原線維変化」、「脳の顕著な萎縮」等の共通項がみられるというだけの理由で、「両者を同一視」するという極めて重大な誤りを犯しているのです。

   

「アルツハイマー型認知症」の本質は、廃用性の「生活習慣病」

色々な種類が数ある認知症全体の90%以上の割合を占めていて、発病する年齢が60歳以降(50歳代での発病は、極めて稀)となる「アルツハイマー型認知症」と認知症全体のわずか4~5%を占めるに過ぎず、発病する年齢が50歳代以下(60歳代での発病は、極めて稀)となる「アルツハイマー病」とをまとめて「アルツハイマー病」と呼んでいるのです。しかもその人達は、「アルツハイマー病」の発病は遺伝子の異常に起因するとし、「アルツハイマー型認知症」は発病の原因(発病のメカニズム)が不明としつつ、両者をまとめて「アルツハイマー病」と呼んでいるのです。その無神経さに驚くほかないのです。

発病のメカニズムも、発病後の症状の進行のメカニズムも、発病後の症状の進行速度も、発病自体の予防及び治療の可能性と言う面でも、更には、発病者の対象年齢の面でも、両者は全く異なるものなのです。何故このようなことになっているのか、不思議でならないのです。主張内容の正しさよりも、主張者の権威の方が重視されるという、我が国独特の文化を反映したものと言うべきなのでしょうか。

「アルツハイマー病」は、生まれつき存在した異常遺伝子の発動が認知症の症状発現の原因であり、発病する人は、生まれつき特定の遺伝子に異常がある人だけに限定されるのです。そのため、現代の医療技術では治すことも、発病を予防することも出来ないのです。発病後の症状の進行の具合が極めて速く、現職で高度な技術職に従事し働けていた人が、脳の機能の喪失により僅か数年で寝たきりになるほどなのです。

これにたいし、「アルツハイマー型認知症」は、世界中の認知症の専門家達から、発病の原因(メカニズム)が分からないし、治すことが出来ないし、発病を予防することが出来ないタイプの認知症とされているのです。発病の原因が分からないとされているため、色々な仮説が横行してもいるのです。アミロイドベータ説は、世界的には否定された説であるにも拘らず、我が国では、有力な東西の国立大学が主張しているがために(但し、その両校ともに、仮説と発病との間の因果関係を未だに立証できてはいないのですが)我が国では有力な学説とされていて、大事な税金がその研究PRJに投入されているのです。私たちは、「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」だと主張しているのです。その本質は、廃用症候群に属する「生活習慣病」(脳の使い方と言う視点での生活習慣病)であり、発病後の症状の進行(重症化)は、生活習慣の内容(程度及び態様)に準拠していて、極めて緩やかであって、何年もかけて緩やかにしか進行していかないのが特徴なのです。その上、本当の意味での早期の段階、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階及び「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つけて、「脳のリハビリ」(脳の使い方としての生活改善)に努めることにより、下記に示す区分に見るとおり、治すことが出来るのです。認知症が専門の医師達から、治すことが出来ないとされているのは、発病を見つけている段階が遅すぎる、末期の段階であり私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階で見つけているせいで治すことが出来ないだけなのです。「アルツハイマー型認知症」は、治すことが出来ない認知症だというのは、医療の現場での医師達の診断基準とされている、米国精神医学会の基準である「DSM-4」の規定の誤りに気づいていないがための誤った判断、誤解に基づく確信に過ぎないのです。

   「小ボケ」の段階  治すことが容易

   「中ボケ」の段階  治すことが未だ可能

   「大ボケ」の段階  治すことは困難

「DSM-4」の「第二の要件」が確認を要求し、限定列挙している「失語や失認や失行」と言った症状は、「大ボケ」の更に後半の段階(30点が満点であるMMSEの得点が一桁の得点になるまでに、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが低下してきた段階)にならないと発現がみられない極めて重い症状なのです。更にいうと、「前頭葉」を含む脳全体を活性化させる「生活習慣」の構築により、発病自体を予防することも出来る、それが「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症の特徴なのです。

    

& 私たちが規定するアルツハイマー型認知症発病の「第一要件」

〇「前頭葉」の諸認知機能と機能発揮面での二重構造

左脳、右脳及び運動の脳と言う「三頭の馬」を手足として支配し、管理し、コントロールしている三頭立ての馬車の「御者」、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」には、自分独自の「評価の物差し」に基づき行う自分が置かれている「状況の判断」、自らの意思により様々なことに取り組むための「自発性」、色々なテーマを思いつくための「発想」、実行しようとする内容を組み立てる上で必要な「理解」、「企画」、「計画」や「工夫」、実行内容をシミュレーションする上で必要な「考察」、「分析」や「予見」、実行した場合の結果の推測に必要な「推理」、「想像」や「洞察」、予期しない状況に対応するための「機転」や「修正」、状況や実行内容の「判断」、感情の高ぶりを抑えるための「抑制」、実施を指令するための「決断」と「指示」、その他、「創造」、「感動」といった機能等、私たち人間だけに備わる高度で様々な個別の「認知機能」が詰まっているのです。

他の動物には例がないこうした極めて高度な脳の認知機能は、チンパンジーやゴリラにさえも備わっていないのです。ましてや、「マウス」などに備わっているはずもないのです。マウスの行動を分析して、人間の「記憶」にかかわるメカニズム等を研究している人達がいますが、「本能」に基づくマウスの行動と二種類のニューロンだけの活性化に基づくその記憶に比べ、「前頭葉」の指令に基づく人間の行動とその記憶は、脳の構造とその機能面から見て異次元のものなのです。そうした、極めて単純な構造のマウス(たとえ、それがアミロイド・ベータを注入されたアルツハイマー・マウスとかいう代物であろうとも)の行動範囲の記憶のデータを基本にして組み立てていたのでは、「アルツハイマー型認知症」の発病後に発現してくる様々な程度及び態様から成る私達人間の「小ボケ」及び「中ボケ」前半での「前頭葉」の機能障害に起因する中核的な症状或いは、「中ボケ」の後半から「大ボケ」の段階にかけて見られる「記憶障害」の症状の発現や、ましてや「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムを解明することは出来ないのです。

私達人間だけに特有な脳機能である「前頭葉」の機能は、そんな単純なものではないのです。意欲、注意の集中力、注意の分配力と言う、私たちが「前頭葉」の三本柱と名付ける脳機能に潜む「正常老化」の性質、或いは、「前頭葉」の個別認知機能の認知度及び発揮度を左右している三本柱の機能が関わる「二重構造」の関係等のメカニズムを知らない限り、「アルツハイマー型認知症」の症状が進行する(重症化)のメカニズムにも、或いは、回復させることが可能な本当の意味での「早期の段階」の区分に気づくことさえもできないのです。「DSM」の規定に代わるものとして「MCI」(軽度認知障害)と言う概念を持ち出そうとも、本当の意味での早期の段階、私たちの区分で言うところの回復させることが可能な早期の段階である「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)の段階を見つけるための客観的な基準とはなり得ないのです。

     

〇「前頭葉」の三本柱の機能に潜む正常老化の性質

 脳全体の「司令塔の役割」を担っていて、自分の置かれている状況を「判断」したり、実行する「テーマ」を思いついたり、実行する「計画」を立てたり、実行の内容や仕方を「工夫」したり、実行結果の「シミュレーション」をしたり、状況の変化に対応して「機転」を利かせたり、各種の高度な働きを内包している「前頭葉」の機能、中でも、その個別認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要な「認知度」及び「発揮度」を左右している「前頭葉」の三本柱の機能、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の働きには日々の「生活習慣」の如何にかかわらず、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要な性質、しかし専門家達からは見過ごされている性質(「正常老化」の性質 )があるのです。

この「三本柱」の機能の「働き具合」(機能レベル)は、18歳から20歳代半ばまでがピークで、20歳代半ばを過ぎるころから100歳に向かって、緩やかではあるけれど、一直線に衰えていくと言う性質、私たちが「正常老化の性質」と名付ける性質が、人であれば誰でも例外なく、生来的な性質として内在しているのです。

 「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が急に多くなってくる60歳代の半ばにもなると、「前頭葉」の三本柱の働き具合は、ピーク時である18歳から20歳代半ばまでの頃に比べて、「働き」具合が半分以下に衰えてきているのです。70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と、年をとればとるほど、「前頭葉」の三本柱の働きが緩やかではあるが直線的に更に衰えていって、正常な機能レベルを保ちつつも、どんどん低空飛行になっていくのです「アルツハイマー型認知症」の年齢別の発病率が、年齢が上がるにつれて高くなっていくのは、この「正常老化の曲線」と密接な関係があるのであって、アミロイド・ベータの蓄積量などとは無関係の関係にあるのです。

 認知症の大多数90%以上の割合を占めていて、皆さんが普段よく目にしていて、認知症の専門家達からは「発病の原因が分からないし、治すことが出来ないし、発病を予防することもできない」と言われている「アルツハイマー型認知症」の正体は、「正常老化の性質」が絡んだ「加齢による脳の老化」という問題が基本にあるのです加齢による「脳の正常老化」という問題が基本にあるから、「アルツハイマー型認知症」は、若者には関係なくて、「60歳代以降のお年寄りだけが対象になる」のです。

但し、年を取れば誰でもが「アルツハイマー型認知症」を発病する訳ではないのも事実です。そのことを区分けるのが、私たちが発病の「第二の要件」として規定している脳の使い方としての「生活習慣」、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続と言う条件なのです。そのナイナイ尽くしの「単調な生活」に陥る「キッカケ」が今日のテーマなのです。

    

私たちが規定する発病の「第一の要件」及び「第二の要件」

「アルツハイマー型認知症」発病の原因の(「第一の要件」)とは、上述した「正常老化の性質」に起因する状況の達成、言い換えると、「加齢による脳の正常老化」に起因する「前頭葉」の三本柱の機能の一定レベルまでへの低下と言う条件を充足することなのです。この「正常老化」のカーブによると、65歳頃になると、全盛期である20歳代の半ばの頃に比べて、「前頭葉」の三本柱の機能レベルが半分くらいに衰えてきていることが重要なのです。従って、発病の「第一の要件」の具体的な条件としては、「アルツハイマー型認知症」を発病する対象である60歳以降の「高齢者」ということになるのです。

 その「第一の要件」を充足する年齢の「高齢者」が、「第二の要件」である、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続(生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない「単調な生活」の継続のことを言う)という要件を充足するとき、「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足されることによるその「相乗効果」によって、「前頭葉」を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能の低下を進行させていくこととなり、その先に、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているということなのです。「アルツハイマー型認知症」は、「第一の要件」を充足する人達である「60歳を超える年齢の高齢者」だけが発病の対象となり、且つ「第二の要件」を充足する生活習慣である「脳の使い方が足りない」生活習慣が原因で、キャッチコピー的な表現で言うと「脳の運動不足」が原因で、発病する認知症なのです「第一の要件」と「第二の要件」とを同時に充足することが、発病の条件となるということなのです。

逆に言えば、30代や40代の年齢の若い人達が、脳の使い方と言う視点でのどんなにぐうたらな生活、或いはナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々送っていたところで、「アルツハイマー型認知症」を発病すると言う事態は絶対に起きてこないのです。50歳代になってきても、「アルツハイマー型認知症」を発病する人はいない、居たとしても極めて稀なケースと言うことになるのです。

   

(コーヒー・ブレイク )某テレビ局が得意とする(50歳代の働き盛りの若い年齢の人達の間で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達が増えてきている)と言う特番がありますが、「アルツハイマー型認知症」ではなくて、「側頭葉性健忘症」を取り違えているだけのことなのです。「重度の記憶障害の症状」は、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階の症状と「側頭葉性健忘症」の症状の両者に共通に確認されるものなのですが、「アルツハイマー型認知症」の発病者であれば、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能が異常なレベルに低下しているのが特徴であるのに対して、「側頭葉性健忘症」の発病者の場合は、「前頭葉」の機能レベルが正常なレベルに在るのが特徴なのです。この程度の知識も持っていないで、特番を組むのですかと詰問してみたくもなるのです。「前頭葉」の機能レベルが異常なレベルにあるか/「前頭葉」の機能レベルが正常なレベルにあるか、そのことが両者を区分ける厳密なメルクマールであることをここに指摘しておきたいのです。

  

発病の「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足されること、つまり両者の「相乗効果」により、「前頭葉」を含む脳全体の機能低下が加速されていき、異常なレベルに機能が衰えてきたとき、初めて「アルツハイマー型認知症」を発病することになるということなのです。

その最初の段階が、「小ボケ」の段階(治すことが容易)であり、次いで「中ボケ」の段階(治すことが未だ可能)があり、最後に末期の段階である「大ボケ」の段階(治すことは困難)があるのです。これこそが、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化のメカニズムなのです。アミロイド・ベータやタウ・蛋白が脳内に蓄積することが、「アルツハイマー型認知症」の発病を惹き起こす訳でも、症状の重症化の原因でもないのです。「記憶の障害」の症状が、「アルツハイマー型認知症」の発病により発現してくる「中核的な症状」でもないのです。認知症の専門家とされる人達(医師や研究者や学者達)は、このことに早く気付いて欲しいと、切に願うばかりなのです。

    

& ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」

 発病する人としない人とを区分けるものとは

人には誰でも生来的な性質として、「前頭葉」の三本柱の機能に、「正常老化の性質」が内在しています。それでは、60歳を超える年齢になると誰でも「アルツハイマー型認知症」を発病するかと言うとそうではないのです。「アルツハイマー型認知症」の発病者の全数、小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の「三つの段階」のいづれかに在るお年寄り達の年齢別の発病率はと言うと、60歳代で12%、70歳代で30%、80歳代で50%、90歳代では75%にもなるのです。その残りの数値は、「アルツハイマー型認知症」を発病しない人達もいるということを示してもいるのです。発病する人と発病しない人、その両者を区分ける要因とは一体何なのか。それが、以下に述べる発病の「キッカケ」と言う要因の存在なのです。廃用性の機能低下を惹き起こす原因であるナイナイ尽くしの「単調な生活」に陥っていき、「アルツハイマー型認知症」を発病する人には、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる為の「キッカケ」となる要因、誘因が、必ず、存在するのです。

    

「単調な生活」が始まる誘因となる「キッカケ」とは

世界に比類がないほどの超高齢化社会を達成している今日のわが国では、「第一の人生」を自分なりに頑張って生きてきて、60歳前後から「第二の人生」に入っていきます。「第二の人生」が始まって気づく一番大きな変化は何かというと、左脳が主役の「仕事」と言うテーマとは無縁になるということなのです。廃用症候群に属する生活習慣病を本質とする「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてくるのが特徴なのです。その場合、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能が最初に異常なレベルに低下していくことから始まるのです。廃用性の機能低下を本質とする為、高度な機能から順に衰えていくのが特徴である「アルツハイマー型認知症」の場合は、最初の段階の「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、左脳も右脳も運動の脳も全てが正常な機能レベルにあって、「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに在るのです。左脳、右脳、運動の脳を含む脳全体の機能が異常なレベルに低下するのは、「中等度認知症」(中ボケ}の段階からなのです。言い換えると、「アルツハイマー型認知症」を発病しない(発病を予防する)為には、「前頭葉」が活性化するような「生活習慣」の継続が不可欠と言うことになるのです。

「アルツハイマー型認知症」の発病を予防するために不可欠の条件である「前頭葉」を含む脳全体の活性化を図る為には、右脳が主役のテーマ、「趣味や遊びや人付き合いや社会活動」と言ったテーマ及び/又は「運動」と言うテーマを軸にした「生活習慣」の構築とその継続が要求されることとなるのです。そうした「生活習慣」の継続の下で、自分なりの「テーマ」を見つけて、自分なりの「目標」を設定し、自分なりの「生き甲斐や喜び」を覚える「生活習慣」を継続させていくことが出来てさえいれば、(年齢なりに緩やかな下降が進行しつつも)「前頭葉」が正常な機能レベルを保ったままで維持されていくことになるのです。そうした日々の生活の継続の下で、「前頭葉」を含む脳全体の活性化に何事も起きてこなければ、(脳は「正常な老化のカーブ」を描きながら)「アルツハイマー型認知症」の発病とは無縁で、「第二の人生」が静かに過ぎて行くはずなのです。

そうした平穏で安定した日々を過ごしているお年寄りが、(知らず、知らずのうちに)脳の老化を加速させていき、「アルツハイマー型認知症」を発病する訳ではないのです。この点がとても重要なことなのです。

「加齢による脳の老化」という「アルツハイマー型認知症」発病の(「第一の要件」)は「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の高齢者たるお年寄り全員に共通のものなのですが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という発病の(「第二の要件」)は、「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りだけに特有なものなのです。ここが天下分け目の関ケ原と言うことになるのです。

「二段階方式」を活用して私たちが集積してきた14689例にも及ぶ「脳機能データ」に確認される条件、それは「アルツハイマー型認知症」を発病したお年寄りには、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる為の明確な「キッカケ」が必ず存在するということなのです。

私たちの「二段階方式」を活用するときは、「アルツハイマー型認知症」を発病した「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」レベルの、被験者となったお年寄り達全員を対象として、発病の前後の期間の数年間についてどのような脳の使い方をしてきたのか、このことを言い換えると、どのような「生活習慣」の下で日々を過ごしてきたのかという脳の使い方としての「生活習慣」と言う「生活歴」を、本人とその家族から必ず聞き取ることが様式化されているのです。なお、「アルツハイマー型認知症」を発病する「キッカケ」となった「生活状況」の発生時期と単調な生活が継続した期間については、本人の現在の脳の機能レベル及びMMSEの下位項目のデータ並びに「脳の老化のスピード差」(ここを「クリック」してください)の指標から明確に特定されるので、それを基礎として、詳細に聞き取りを行うのです。この場合、脳の機能レベルが「中ボケ」以下だと、現在の自分の状況(「中ボケ」/「大ボケ」レベルの生活の自立度)に対する認識さえないので、家族(又は、日常生活の介護者)からの聞き取りが不可欠となります。

    

 単調な生活が始まる「キッカケ」の類型

「前頭葉」の機能が、正常な老化のカーブを描いて緩やかに下降していきながら、自分なりの目標や生き甲斐や喜びがある生活を日々送る中で、「第二の人生」が静かに過ぎて行く。そんな「第二の人生」を過ごしている60歳を超える年齢の「高齢者」であるお年寄りにとって、脳の老化を速める原因となるナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」となる「生活状況」の発生に遭遇することになるのです

「アルツハイマー型認知症」を発病した極めて多数のお年寄りを対象とする「生活歴」の聞き取りの結果、脳の老化を加速させる原因となるナイナイ尽くしの「単調な生活」(生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない「単調な生活」のこと)が始まるには、「アルツハイマー型認知症」を発病したお年寄りの全員について、「キッカケ」となる「生活状況」の発生が必ず存在することが確認されたのです。但し、或る「生活状況」の発生(遭遇)が「アルツハイマー型認知症」の発病を誘発することになる条件(発病の「第二の条件」)である「ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」となるのかどうかは、発生(遭遇)した「生活状況」に対する「本人の受け止め方次第」だということにも注意が必要です。

   世間でよく言われる事例で言うと、「夫を亡くしたおばあさんは、半年も経つと元気を取り戻して、独身生活を楽しくエンジョイするようになる」ことが多いのに対し、「妻を亡くしたお爺さんは、独身生活をエンジョイするどころか、元気をなくしていき、外出する機会も減っていく」ことが多いのです。

以下に列挙する「生活状況」が発生した場合に、その状況に対応することが出来なくて、「前頭葉」の三本柱の機能が元気をなくしていき、ナイナイ尽くしの単調な生活に陥っていく人と新たなテーマと目標とを見つけて、それなりに生き甲斐や喜びが得られる生活を求めて頑張って生きていく人との違いを生じさせる要因となるのは、「発生した生活状況を当の本人がどのように受け止めたのか」と言うことに尽きるのです。

「第二の人生」を送る上での、「人生の大きな出来事の発生(遭遇)」や「生活環境の大きな変化」という「生活状況」の発生や変化に対して:  「大きく且つ重大な障害」と受け止めてしまい、そのことに負けてしまって、心が折れてしまい、何事に対しても「意欲」をなくしてしまい、第二の人生を楽しむ為の「テーマ」や「目標」となるものがなくなり、「前頭葉」を含む脳全体の機能を使う場面が極端に減った生活、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するように変わってしまった人(「キッカケ」となってしまった人)が、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。意欲を喪失してしまい、「前頭葉」の三本柱の機能が使われる機会が、極端に少ない「生活習慣」(脳の使い方としての「生活習慣」であることに注意する)が始まることになるのです。「生活状況」の発生や変化に遭遇したとき、それに負けた人が(ナイナイ尽くしの「単調な生活」に陥っていくので)発病することとなり、打ち克った人は(「前頭葉」の出番がそれなりにある従来の「生活習慣」を維持していけるので)発病しないということなのです。

     

「単調な生活」開始の「キッカケ」となる生活状況の例示

脳の老化を速める原因となるナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」となる「生活状況」の発生とは、どんなことを言うのか。それらが、誰にでも起こってくる可能性があるものばかりだということに気づいて、皆さん驚かれることと思うのです。

要約すると、次の2点に集約されます。分かりやすくするために、ここでは典型的な事例をとりあえず5例ずつ挙げておきます。

1. 自分が自分なりの「テーマ」を遂行する中で、 生きる意欲を支えてきた「核となる生活」が継続できなくなってしまうこと

○ 趣味や遊びや交遊、或いは運動を楽しむことなくなく、「仕事一筋の人生」を送ってきた人にとっての「定年退職」

○ 「趣味や遊びや交遊」を楽しむ生活の継続が生き甲斐や喜びや目標がある生活の源泉となってき人にとって、その「趣味や遊びや交遊」を中止せざるを得なくなる状況が発生すること

○ 子や孫、親や兄弟、伴侶、友人、ペットなど大事な人や動物などとの「死別」或いは「離別」

2. それまでの生活を支えてきた「生きる意欲」を失くしてしまうような「問題や状況」が発生し継続されること

○ 自身の重い病気や大きなけがなど肉体的精神的に「困難な状況」

○ 子供の失業や借金問題、孫の不登校など家庭内の「重大な問題」

○ 夫(妻)が重度の認知症や重い病気を患い、「介護に追われるだけ」の毎日

     

○生活状況の発生時の本人の受け止め方が重要         

「定年退職」で仕事を取り上げられてすることもなくなり、3年もたつと見る影もなく衰えボケてしまう人もいれば(この段階では、未だ「小ボケ」)、「定年退職」で自由な時間がいっぱいできたのをきっかけに、自分なりに趣味や遊びや人づきあいを楽しんで、生き生きと生活していく人もいます。或いは、上述のように、「夫を亡くしたおばあさん」は半年もたつと楽しげに生活をエンジョイするようになることが多いのに対し、同じように「妻を亡くしたおじいさん」の多くは次第に元気をなくしていきます。

上述の「生活状況」が発生しても従来どおり生活をそれなりに楽しめて元気を失わない人と、「生活状況」の発生を契機に生活を楽しめなくなり元気をなくしていく人との違いを生じさせる「理由」を理解するためには、「生活状況」が発生した前後数年間のその人の「生活習慣」(脳の使い方)を、その人の目線に沿って、具体的にチェックしてみる必要があります。前者と後者とを分けるキーポイントは、発生した「生活状況」を当の本人がどのように「受け止めたのか」にあるからです。どのような「受け止め方」が、それなりに「生き甲斐や目標」があって楽しめる生活から、ナイナイ尽くしの「単調な生活」へと「生活習慣」を変化させることになったのかを理解することが、指導する「生活改善」の内容を組み立てる上で極めて大切なのです。

注)本著作物(Bー59に記載され表現された内容)に係る著作権は、 (有)エイジングライフ研究所に帰属しています。   

  エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

  脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

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