Kinugasa の日々放談(時事・生活)

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内部告発。『内部』とは何だ?

2017-08-05 22:46:51 | 時事、身辺雑記


写真は神戸港、メリケン波止場。妻はどこにも出展しないというので借りた。私はこれを見た時にブリューゲルの『墜ちたイカロス』を思い出していた。

ギリシャ神話。イカロスは、クレタ島に迷宮を建てた有名な工人ダイダロスの息子で、政争に巻き込まれてその迷宮に父親とともに幽閉される。

ダイダロスは人工の翼を発明し、自分と息子イカロスとの肩にロウで張り付け、空に飛んで脱出する。

空に飛んだは良いが、イカロスは父親の教えを忘れ太陽に近づきすぎたためロウが溶け翼が取れて海に落ち、おぼれ死ぬ。

ブリューゲルは、しかし 73.5x114㎝ の画面の右下の隅に、海面から突き出した太ももから先の部分を小さく描いているだけで、これがイカロスなのかどうか、題名を見ないと分からない。

正面に広がる海と船や、島々、それに画面手前に大きく描かれた馬鍬で畑を耕す人物が中心の風景画にしか見えない。1562年前後の作とされるが異説もある。

このイカロスの描き方から『処刑台上のカササギ』が自然に目に浮かぶ。ブリューゲルが亡くなった前年、1568年の作品だ。カササギは画面中央に小さく描かれているが、処刑台が正面に存在感を示し、その左に農民の群れが踊っている。

私が単身赴任先のチューリッヒからブリュッセルに移った時にかねてから興味を持っていたブリューゲルゆかりの地をあれこれ訪ねた。『墜ちたイカロス』は、ブリュッセルの王室美術館にある。

私はオランダ語もフランス語もカタコトの日常会話しかできないが、ブリュッセルの書店では英訳本がたくさんあった。それらのブリューゲルに関する伝記、批評、画集、評論などから、ブリューゲルの時代が宗教改革、プロテスタント革命の時代と重なっていることに関係する評伝がたくさんあることを学んだ。

例えば『カササギ(magpie)は、『密告者』のあだ名を持っていて、密告者によって信仰を暴かれ異端裁判によって処刑されることを恐れ、自分の死の前年にそれをテーマにした作品を残したのだ、とか。

それはともかく、写真のセピア仕立ても16世紀を感じさせるし、画面中央に小さく、自転車が転倒しかけているさまは、イカロスの描き方やカササギの描き方を思い出させる。

ここ数年、公的・告発がたくさん話題になった政財界だが、日本では、これらを内部告発と呼ぶ。

公私にかかわらず、みんなお友達グループで(内部=内輪)で仕事をしているから、不正を見つけて発表すると、内部(お友達)の機密が漏れた、内部告発だ、裏切り者だ、と批判を受けることになる。

公共の利害に関する『不正・違法』の発見を公にするのは、国益を守るための国民の義務であるという考え方が早く一般的にならないものだろうか。

あたかも悪事を働いているような感じの『内部告発』だが、悪いのは『内部』であって、決して『告発』ではないことを共有したい。
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