本当の癒しに正面から取り組んでいます。
今日は里海邸でお客様が感じられていると思われる、海景色と安心感の関係について、少し書きました。

波音に包まれながら、海を眺めるのは気持ちよいですね。
心が洗われたような気分になります。
アン・モロウ・リンドバーグが「海からの贈りもの」で書き記したように、
頭の中に、目や耳から、波のリズムが押し寄せてきて、
何も考えられなくなってしまう。
フォーマットされてしまう心地よさがあります。
しかしながら、頭の中がからっぽにリセットされても、
旅行者からすれば、海岸は、緊張感のともなう非日常の場所のはずです。
海に来ると、誰もが海を眺めて潮騒の音を聞きたいと思うものですね。
日常とは異なる非日常をたっぷり味わいたいのですね。
しかし、ただ実際にそのような環境にさらされているだけでは、癒されません。
頭はリセットされても、不慣れな土地の緊張感による旅疲れが出てしまいます。
癒しのイメージとはうらはらに、海辺では、なかなかご自宅のような安らぎ感は得られないのです。
風は強いし、時々危険も伴うし、地形にも不慣れ。。。
自然は美しいけれど、厳しくて、怖いものですから。
ところが、少し条件を変更しますと、
落ち着いた気持ちで、海を受け取ることができるのです。
まず、海を眺める薄暗いお部屋で、
窓を閉め切り、波音をシャットアウトします。
代わりに、寛げるBGMを聞きながら、
窓越しにぼんやり海を眺めると、
波打ち際であっても、不思議な安らぎ感が感じられます。
参考動画 エンヤ「Watermark」
この癒しの感覚は難しい理屈なしでも、里海邸で実践しておりますので、確かめられます。

美しい風景と安心感の関係については、里海邸の現場検証で、分かってきました。
ただ、私は元々理工系人間なので、何故なんだろうってずっと考えて、
いつも海を眺めながら、音楽を試したり、お部屋を暗くしたりして、
風景に関する学説も読み、自分なりに検証を繰り返していました。
海風景と保養のあり方が少しづつ掴めてきました。
アップルトンというイギリスの学者によると、
人間には、自然環境を眺めるとき、 ”自分は安全なところにいたい” という動物的な本能があるらしいです。
ですので、こうした論によれば、
「安心感のある洞窟から、大自然の風景を安全に観賞できる条件」を整えると、
「安らぎ感、そして自然を美しく感じる」というのです。
詳細は以下の講義録のアップルトンの項
http://www.tanada.or.jp/kougi/99_9_16.pdf

そこで、設計士さんやデザイナーさんと相談して、「風景」と「安心感」の関係を調整しながら里海邸をデザインしました。
里海邸に取り入れたものは、「現代の洞窟」という安心感です。
コンクリート打ち放し
海を縁取る黒壁
木の温もり
薄暗い素足空間
薪ストーブの炎
etc.
そして、より日常に近い感覚で居住しているような安心感を高める、BGMの選曲と音量。
(海の様子に合わせて、選曲も音量も試行錯誤しながら調整しています)

今日の外は荒れ狂ったような波。
寒くて、風が強くて、窓は開けられない。
それでも、ガラス越しに眺める海の豊かな美しさはどうだろう。
里海邸の中に広がる大きな安心感。
静かなBGMと薪のパチパチはじける音を楽しみながら
今日も「海辺の癒し」 を研究中です。
