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「江戸繁昌記 ニ篇」 41 神明9

(大代川土手の、セイタカアワダチソウとススキの共存)

午後、「古文書に親しむ(経験者)」講座を開催する。早いもので今日が7回目である。今年の教材の追加、金谷宿の近江屋から出た手紙3通を受講者に渡した。これで、3月末までの教材をすべて渡したことになる。

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。これより3人目の陰間の話に移る。

一郎の、少く英雄気を帯(おび)る有り。厠(セツイン)に上りて、尻を摸(なで)し。肉の甚だ減ずるを覚う。(臀に膚無し)

(ひそ)かに嘆じて曰う、昔在り、玄徳髀肉の生ずるを見て、覚えず涙を流すと。吾は則ち、これと異なり、また丈夫なり。然るに女様を学ぶ。豈に期なるや、戈(ほこ)を操(あやつ)るの手、却って鏡を照らさんとは。
※ 玄徳(れい)- 蜀の劉備のこと。
※ 髀肉(ひにく)- ももの肉。「髀肉の嘆」とは、功名を立てたり手腕を発揮したりする機会のないのを嘆くこと。劉備が、平穏な日々が続き、馬に乗って戦場に行くことがなかったため、内ももの肉が肥え太ってしまったのを嘆いたという故事による。
※ 丈夫(じょうふ)- 一人前の男子。
※ 鸞(らん)- 中国の想像上の霊鳥。 姿形はキジをより豪奢にしたようで 、鳴き声は鶴に似ており、青っぽい羽色をしていると言われる。鳳凰が歳を経ると鸞になるともいわれる。

紅袖、羞(はじ)を包んで、粉黛、媚(こび)を衒(う)る。子南は夫(男)なり。我甚だ世間、気有るの女娘に愧(は)ず。剛を以って柔に居る、夫子は凶なり。その、斧を喪い、臀(しり)株木に困(くるし)む。(臀に膚無し)
※ 粉黛(れい)- 白粉 (おしろい) とまゆずみ。転じて、化粧。
※ 夫子(ふうし)- あなた・あの方などの意で、その当人をさす語。
※ 資(し)- 人の能力などのもと。


古人言わずや。寧(むし)ろ、鶏口と為るも、牛後(シリ)と為ること無かれ。(廿歳以上、牛後と為るは宜し)嘆くべきなりや。
※ 鶏口となるも牛後と為るなかれ -〔史記、蘇秦列伝〕大きな集団や組織の末端にいるより、小さくてもよいから長となって重んじられるほうがよいという、ことわざ。(ここでは少し意味を違えている)

かの梅児(ウメワカ)なる者も、また上国(上方)の貴公子、家の傾覆に遇(あ)いて、身、賊手に落ち、拉(ひっぱ)られて江戸に来る。将にこれを貨(う)らんとす。然し(がえん)ず、杖殺に遇う。世、今にまで、これを悲しむ。然も徒(いたずら)にその死を悲しむのみ。児、死なずば、将にまた我が今日為らんとする如し。
※ 梅児 - 梅若丸。京都北白川吉田少将の子で、人買いにさらわれ、武蔵国隅田川畔で病死したという。墨田区向島の木母寺境内に梅若塚がある。謡曲「隅田川」、浄瑠璃などに作品化されている。
※ 傾覆(けいふく)- くつがえること。また、ひっくり返すこと。国や家が滅びることや滅ぼすことをいう。
※ 肯ず(がえんず)- うなずいて承知する。
※ 卒(そつ)- 下級の兵士。
※ 杖殺(じょうさつ)- 杖でたたき殺すこと。
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