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「富士日記」 8 (旧)七月廿日

(挿絵 猿橋)

ここの猿橋は現存しているという。一度見に行きたいと思う。

またスペインでテロが起きた。この所のテロは車の暴走によるものが多い。爆弾よりも手軽に出来、同等以上の殺傷効果があるからだというが、ホコテンも安心して歩いておれない時代になった。やり放題の北朝鮮も含めて、こんな21世紀になるとは、全く予想していなかった。

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「富士日記」の解読を続ける。

廿日朝とく、犬目(いのめ)を立ちて、例の山坂を越ゆるに、座頭ころばしとか、里人は言いて、片方(かたえ)に、谷に陥(おちい)りしめくら法師の塚も見ゆ。げに石多く、危うき桟路(かけじ)を登り下りつゝ、鳥沢と云うに出づ。
※ 座頭ころばし(ざとうころばし)- かつて座頭が踏みはずして墜落死したという言い伝えのある、山中の険しい坂道。遍路道に「遍路ころがし」があるのと同じか。全国のは何ヶ所かあるようだ。
※ 桟路(かけじ)- 険しいがけ沿いに木や藤づるなどで棚のように設けた道。桟道


   巌崩(くや)す 恐(かしこ)き道を 分け来つゝ
        見返る山に 雲ぞ懸かれる


なおゆき/\て、猿橋の駅家(うまや)に至る。名立たる橋を見るに、岸にはいと大きなる巌(いわお)(そばだ)ち、水の深さは、幾千尋とも知らず。色は藍のごとして、渦巻き流れ、橋の長さ八十余り一丈(ひとつえ)と云うに、すべて柱は無く、岸より岸に桁を差し出して、こなたかなた組み合せて、板打ち渡し、らんかん(欄楹)いと高く構えたり。水際まで深さ三十余り三尋(さんひろ)ありとぞ。しばし立ち留まりて見下ろしたるに、目くるめく心地すれば、とく過ぎぬ。
※ 一丈(ひとつえ)- 一丈は十尺。約3メートル。
※ 一尋 - 六尺。約1.8メートル。


ここを猿橋と云うは、古え、ましら(猿)の続いて、しもとを組み合わせつゝ、かなたの岸に打ち渡して、そが上を安らに行き交いせしに習いて、架け初めしよりの名なりと云えど、酉(鳥)沢、犬目など、続きたれば、例の誣言(しいごと)なるべし。
※ しもと - 細長く伸びた若い木の枝。
※ 誣言(しいごと)- しいていう言葉。つくりごと。


この駅家(うまや)に暫し憩いて、駒橋の宿(すく)に至る。かのましらの工(たくみ)をや知らざりけん、橋は無し。
※ 駒橋の宿(こまばしのしゅく)- 山梨県大月市市街。

ここにて夜べ(昨夜)、業平卿と語りし出家(すけ)には別れ、修行者の案内(あない)に任せて、谷村(やむら)と云う所に行く。昼の乾飯(かれいい) 食う。猿橋にて買いし、大きなるあゆ(年魚)を焼かせて食うに、味いと良し。
※ 谷村(やむら)- 現、山梨県都留市市街。
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