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油山寺の失われた巨木

(油山寺天狗杉の根っ子)

このブログのカテゴリーの「滝・塔・巨木」、そのいずれも決して永遠に存在するものではない。滝も壁が壊れたり、流れの供給が断たれれば無くなる。塔は地震には強くても火事に遭えば一溜まりも無い。巨木に至っては、命あるもので、何千年生きてもいつか枯れ朽ちる。

油山寺にかつて天然記念物に指定を受けていた巨木が2本あった。三重塔の一段上の薬師本堂の左手に、かつて「天狗杉」と呼ばれた杉の巨木と、槙の巨木があった。ところが平成2年に台風による崖崩れが発生し、本堂左の崖が倒壊し、2本の巨木共、生きたまま谷底へ崩れ落ちてしまった。

10年前に巨木巡礼で知らずに油山寺を訪れた時、その報に接して、「巨木巡礼」に次のように書いた。

音信の途絶えていた知人にはるばる会いに来たら、すでに亡くなっていた、そんな気分であった。せめてかれらが生きていた場所をみようと、奥の院まで上がる。崩れた崖はかなり危ういところで、今はしっかり防災工事がされていた。出来れば事故になる前に措置がして欲しかったと思う。


2本の巨木の在りし日の樹様を書きとめて偲ぶことにしよう。

「天狗杉」 県指定天然記念物、樹種-スギ(すぎ科)、幹周囲-5.8m、樹高-23m。
「マキ」   市指定天然記念物、樹種-イヌマキ(まき科)、幹周囲-4m、樹高-20m。

今、「天狗杉」は方丈のある静山閣へ行く石段下、「天狗杉堂」の屋根下に、その巨大な根が保存展示されていた。「巨木巡礼」のとき賽銭のつもりか、根の割れ目に一円玉がびっしりと挿んであった。天狗杉がいかにも辛そうに見えたのであったが、現在は一円玉はすべて外されて、天狗杉も穏やかに見えた。


(マキノキの大念珠)

天狗杉と運命をともにした「マキ」は、枕状のソフトボール大の大念珠に加工されて、静山閣から続く回廊の鴨居に延々と掛けら保存されていた。「世界一の大念珠」と書かれていた。3年に一度8月に、この大念珠で大念珠祭が行われるという。
 
2本の巨木も命は終えたが、それぞれにの役割をもらい、現在も油山寺で生きていると思った。帰りに油山寺名物「ごりやくまんじゅう」という、あざとい饅頭を買って帰った。
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