平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
寺島実郎氏講演会
掛川のホテルで寺島実郎氏の講演会があって、午後出掛けた。演題は「平成20年の経済展望と国際情勢」である。寺島氏は三井物産入社後、物産一筋に実業の世界で過ごし、現在、三井物産戦略研究所所長を務める、経済評論家である。役人、学者、金融などの出身の経済評論家と違って、話の内容に共感できるところが多かった。たくさんの数字を駆使して様々な話がされたが、ここでは琴線に響いた点を拾って記す。
21世紀に入って7年経ち、この間に世界経済は実質成長率で平均3.5%とかつてない伸びを示し、世界貿易は実質伸び率で平均7%の伸びを示した。一方、世界株式市場時価総額は平均で14%と驚異的な伸びを示している。世界経済と世界貿易の伸びはブリックスなどと呼ばれる新興諸国の台頭で納得できる部分もあるが、世界株式市場時価総額の伸びは異常といえる。
その原因として、中東、ロシアのオイルマネーが1.8兆ドルに肥大化して流入し、マネーゲーム化が進行しているといわれる。しかし、忘れてならないのは、日本の超低金利による円キャリー資金(ジャパンファクター)が1.0兆ドルに上っていることである。その中に「ミセス・ワタナベ」と呼ばれている日本の女性たちのミニ円キャリーが馬鹿に出来ない額になっている。日本の預金利息は長期に渡って世界でも例を見ない低金利が続いている。何とか少しでも金利の高い海外へお金を投資しようとする女性たちが激増していると言うのである。
石油の高騰は中国などの新興国の需要が激増したからと言う理由がつくが、間違っている。中国は今でも主力エネルギーは石炭であるし、供給もロシアや北海油田などで十分増加している。高騰の主たる原因は投機的要素がほとんどである。ここでもマネーゲームが横行している。
石油の高騰は1999年に1928円/バーレルだったが、2007年には8826円/バーレルと実に4倍以上になっている。しかし、日本経済はオイルショック時のようなパニックになっていない。その理由は、
第一に産業力によって為替を円高へシフトをしてきた。
(73年271円/ドル、現在110円/ドル)
第二にエネルギー効率の飛躍的改善をしてきた。
(現在はアメリカの2倍、中国の9倍)
第三にガソリン税を乗せてガソリンを高くしてあった。油の原価率が低くしてあった。
(日本50.9%、アメリカ18.3%、ドイツ72.4%)
そのような努力の結果、石油の高騰にも日本経済はパニックにならずに耐えている。
(明日に続く)
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