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「壺石文」 上 16 (旧)六月廿九日(続き)、七月朔日

(今年初めてのコクワガタのオス)

大きく見えるが、4、5センチのコクワガタで、まだ出たばかりのようで、甲が艶々していた。

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「壺石文 上」の解読を続ける。

日出でて後、宿りを立ちて、広き草の原をゆき/\て、かろうじて作山という宿に至れりける。今日はこよのう暑かりけるに、大なる石の川原を渡りて、こなたの岸に、清らなる茶屋のありけるに、立ち寄りて憩いつゝ問えば、この河は帚木川となんいうなるとぞ。
※ 作山(さくやま)- 佐久山宿。奥州街道の21番目の宿。 現、栃木県大田原市佐久山。

   帚木(ほうき) 音をさやけみ 暑げさも
        払い尽せし 心地こそすれ

※ 帚木川(ほうきがわ)- 箒川。栃木県那須野ヶ原の南縁を流れる那珂川水系の一級河川。

大田原の鴬入堂権中納言佐治盛とか云える薬師(くすし)が里に立ち寄りて、しばし、ものの言いけるに、今年齢(よわい)七十なりというなるに、面持ちの若やかに見えければ、
※ 大田原(おおたわら)- 栃木県の北東部に位置する大田原市。
※ 面持ち(おももち)- 顔に現れた感情、気持ち。


   面影は 千代も変わらじ 山人の
        名に通いたる さじもりの君


夕暮れのかわたれ時にたどりつゝ、一の沢という村に至りて宿る。このわたりはすべて那須の郡(こおり)にて、那須の篠原という名所も、近くに有るとぞ。
※ かわたれ時(彼は誰時)- はっきりものの見分けのつかない、薄暗い 時刻。多くは夕暮れではなく、明け方をいう。(夕暮れは「たそがれ」)

文月(ふんづき)(つきたち)の日、まだ夜深きに、宿りを立ちて、ひた急ぎに急ぎけれど、足の裏、耐えがたく覚えて、道たど/\しく、夜になりて、陸奥(みちのく)の白川の里にぞ、至りける。喜楽院という優婆塞許(がり)、訪いて宿る。
※ 文月(ふづき、ふみづき)- 旧暦七月の異称。新暦七月の別名。
※ 朔(つきたち、ついたち)- 月立ち。一日。朔日。
※ 優婆塞(うばそく)- 在家の男の仏教信者のこと。
※ 許(がり)- 人を表す名詞または代名詞に付き、「…の所へ」「…の許に」の意を表す。


あるじ堅住、語らいけらく、古(いにし)文化の四年九月ばかり、聖護院の宮一品(盈仁)親王大峯奥入りの御供奉に、貝吹きにてさぶらい侍りける時、宮の詠ませ給えりし御本歌、
※ 聖護院の宮一品(盈仁)親王 - 聖護院宮盈仁法親王。閑院宮典仁親王の子。後桃園天皇 の養子となる。円城寺の長吏官に任じられ、一品、准三宮に叙せられる。
※ 大峯奥入り(おおみねおくいり)- 大峯入りとも。修験者が修行のために大峰山にこもること。


   塵の世を 隔(へだ)つる山の 奥にしも
        妻恋う鹿の 声ぞ聞こゆる


読書:「潜る女」堂場瞬一 著
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