goo

「壺石文」 下 28 (旧)三月六日、十二日、十三日~、十七日

(御前崎エクパークのキョウチクトウ/7月31日撮影)

キョウチクトウは排気ガスなどに強く、道路脇などによく見える。近くに寄って見たことはなかったが、中々見栄えのする花である。このキョウチクトウには、その花や葉、木や根、周りの土壌まで毒があるという。毒性は青酸カリより強いというから要注意である。

長く太平洋を迷走していた台風5号がようやく動き出して、明日には九州へ上陸しそうである。迷走の間に、別の台風が次々と発生、消滅して、すでに11号まで数えている。

********************

「壺石文 下」の解読を続ける。

六日、暇(いとま)申すにと思(おぼ)しくて、伊勢子がり(許)行きければ、胡桃の皮にて作れるめりとて、筆立と云う物の、麗しう清らなるを、馬の餞(はなむけ)とて贈られければ、

   家苞と 恵むは嬉し 立ち帰り
        又も来るみ
(胡桃)の 変わらでをとて

十二日、のどかなれば、塩釡の浦の景色見に行く。一ノ宮に詣でて、藤塚神主が家に宿る。鈴木ノ薩摩と云う人も来居たりけるが、主と二人、案内(あない)して、こゝかしこを見巡る。いと面白し。去年、今年、打ち頻り、こゝに物しければ、
※ 一ノ宮(いちのみや)- 陸奥一之宮、塩釜神社。
※ 打ち頻り(うちしきり)- 度重なり。たびたび。


   塩釡の 浦を愛しみ 浦かけて
        海士の小船の 数多度
(あまたたび)来し
※ 愛しみ(かなしみ)- いとおしみ。

十三日、つとめて(早朝)帰るとて、

   見れど飽かぬ 千賀の塩釜 朝戸出
        旅の衣手 立ち帰りつゝ

※ 千賀(ちが)- 宮城県松島湾の南西部の浜。塩釜の浦。(「千賀の塩釜」は歌枕。)
※ 朝戸出(あさとで)- 朝、戸を開けて出て行くこと。
※ 衣手(ころもで)- 着物の袖。たもと。


   今はとて 見れば尾島の 惜しげにも
        有るか無きかに 霞む海原
(うなばら)

西日のやゝ夕づく頃おいに、躑躅ヶ岡に帰り至りて宿る。
※ 頃おい(ころおい)- ころ。その時分。

十七日、のどかなれば、今朝旅立す。若子(わくご)寿(ほ)ぎ岡に別るとて、
※ 若子(わくご)- 年若い男子。また、若者をほめていう語。

菅雄さんは逗留中に子供たちに国文学を教えた。そして、彼らに和歌9首を残して、この地を去る。以下へ2首、残りは明日へ。

   旅衣 顧(かえり)みしつゝ 飽かなくに
        別れか行かん 道の長手

※ 長手(ながて)- 長い道のり。

   (さむ) 花も匂わぬ 陸奥(みちのく)
        躑躅の岡に 何ながめけん

※ 寒み(さむみ)- 寒いので。
※ ながめ -「眺め」と「詠め」の二つの意がある。ここでは両方の意を持たせているようだ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 「壺石文」 ... 「壺石文」 ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。