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「江戸繁昌記 ニ篇」 33 神明1

(土手のツユクサ)

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。今日からしばらく「神明」の項である。題は掲げるけれども、脱線は厭わない静軒だから、どんな話題に展開するのか、解らない。

     神明
神明もまた、南郭の一繁昌社なり。一坐の戯場、數棚の観物、楊弓肆、冶郎院(カゲマヤ)、演史(コウシャク)、落語(ハナシ)、所を連ねて、縦横社を囲む。
※ 神明(じんめい)- どこの神社の事か。芝神明宮(南郭に入るのか)。
※ 南郭(なんかく)- 東海道五十三次の最初の宿場、品川新宿(しんしゅく)は板橋、千住、内藤新宿(しんじゅく)の四宿のひとつで、官許の吉原の「北里」または「北国」と対抗し、「南郭」または「南国」と称していた。


一夥は士人、一夥は僧侶、林箭雨発、拙手(へタ)、巧を争う。かの有的に発して、以って爾(これ)せんと祈らん。蓋し、酒を以って賭するなり。
※ 一夥(いっか)- 一群れ。
※ 林箭雨発(りんさうはつ)- 矢を雨のように射るさまをいう。
※ 有的(ゆうてき)- 楊弓の的(まと)。
※ 爵(しゃく)- 身分を得る。(ここでは、的を射ること)


その客の右手は、が左手の巧(たく)まんに如(し)かず。只見る、纎手、紅袖を挽(ひ)き起すを。観音の一臂嫦娥夫に代る。弓を拈(ひね)り、箭(や)を摘まみ、(やはず)を、鼻に看て、以って発す。
※ 娣(てい)- 夫の弟の妻。妹。(ここでは矢場女のこと)
※ 纎手(せんしゅ)- 女性の柔かい細い手。
※ 一臂(いっぴ)- 片方のひじ。片方の腕。
※ 嫦娥(じょうが)- 中国神話に登場する人物。后羿の妻。もとは仙女だったが、地上に下りた際に不死でなくなったため、夫の后羿が西王母からもらい受けた不死の薬を盗んで飲み、月に逃げ、蟇蛙(ヒキガエル)になったという。
※ 括(やはず)- 矢筈。矢の末端の弓の弦 (つる) を受ける部分。


香頬また一捻(ひね)りの靨(えくぼ)痕を添着し、来る弦、盈(みち)て羽(はね)飛ぶ。正にこれ秋、月、天を行き、流星、地に落つ。紛々林々去りて羽沓ず。百発百中、矢を舎(はな)ちて、破る如し。
※ 香頬(こおほほ)- 美女の頬。
※ 紛々(ふんぷん)- 入りまじって乱れるさま。
※ 林々(りんりん)- 群がるさま。多いさま。
※ 鏑(かぶら)- 矢の先と鏃 (やじり) との間につけて、射たときに鳴るように仕掛けた卵形の装置。
※ 沓ず(とうず)- 重なる。重なり合う。


明日は高校の同窓会で、城崎温泉へ行く。
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