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「江戸繁昌記 ニ篇」 39 神明7

(散歩道のヤマトシジミ)

シジミチョウの名前を今までに特定したことなどなかった。小学校中学年頃、夏の山野を昆虫を求めて走り回っていた、昆虫少年だった。だから、昆虫にはいささか詳しいが、シジミチョウは地味すぎて、ほとんど縁がなかった。今の子供たち、ゲームには詳しいかもしれないが、昆虫など、一生、気味悪い存在としか感じないのだろう。

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。

烟草や、茶や、国産色々、弟が欲する所に従わん。声濁り、舌煩(わずら)わし。郎、甚だ聴くことを欲せず。肚裏、冷笑して謂うらく、朝、夕を待たず。那(なん)ぞ、来年を用さん。且つ、黄金を除く外、また何をかこれを欲せん。
※ 国産(こくさん)- その国の産物。参勤交代の侍の故郷の産物。
※ 肚裏(とり)- 腹の中。心のうち。


ここまでの陰間の相手は、参勤交代で江戸へ出て来た田舎侍であろう。以下は隣りの部屋に移って、相手が坊主となる。

乃ち、口これに応じて、耳は則ち、隣りに属す。隔壁、人有り。欷歔、泣き訴えて曰う、弟、原(も)と上国(カミガタ)に生ず。幼にして父母に背(そむ)かれる。家財盡く、叔父の手に落つ。叔(父)無頼飲博生を為す。幾(いくば)くも無く、財、索(もと)めて、弟をこの境に鬻(う)る。
※ 欷歔(ききょ)- すすり泣くこと。むせび泣き。
※ 無頼(ぶらい)- 正業に就かず、無法な行いをすること 。また、そのさまや、そのような人。
※ 飲博(いんばく)- 飲酒と博奕。


弟、甫(はじ)めて八歳、他人を天と言う。哀、如何んぞや。十一にして始めて眉を画(か)き、嗜(この)まざるの歌舞、朝晩督責せられ、欲せざるの紅袖、毎夕床蓐に侍す。を覯(み)る。既に多く侮(あなど)りを受けること少なからず。十三にして転売され、遠くこの都に至る。
※ 督責(とくせき)- 厳しく責めたてること。
※ 床蓐(しょうじょく)- 寝床。
※ 閔(びん)- あわれみ。


世態未だ解せず。人情未だ嘗めず。嬌養慣れず。客を待ち、愛を失す。主家(オヤカタ)赫怒し、刀針(コガタナバリ)血を見る。梁上に倒(さか)さ懸けして、尻頭を楚(うた)せらる。(ここに喜び、ここに在り。ここに怒り、ここに在り)苦痛如何(いか)んぞや。
※ 世態(せたい)- 世の中のありさま。世間の状態。
※ 嬌養(きょうよう)- あまやかすこと。
※ 赫怒(かくど)- 激しく怒ること。激怒。
※ 刀針(かたなばり)- 小刀針。遊女に行われた折檻の中に、小刀針による折檻があった。身体に目立つ傷をつけない責めであった。指切りの時の「針千本」はこの辺りに語源があるといわれる。
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