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「旅硯振袖日記 上之巻」 4

(土手の草の紅葉)

土手を散歩していて、紅葉しているイネ科の雑草に気付いた。長年歩いていながら、今まで気付かなかったのが不思議である。

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「旅硯振袖日記 上之巻」の解読を続ける。

今宵もすでに、初夜の鐘、こう/\と響く頃、陣屋の木戸口打ち叩き、百姓ども口々に、落人の女を搦め取りて参上せりと、罵(のゝし)る声。
※ 初夜(しょや)- 午後8時ごろ、宵の口を指す言葉。

番卒やがて木戸を開き、内へ通して、この由を早く奥へ通じければ、出で来る皷の判官、小具足の上に陣羽織帯刀(たちはき)ひけらし床几にかゝれば、百姓どもは、写絵を縁側近く、引き据ゆるにぞ。
※ 番卒(ばんそつ)- 見張りの番をする兵卒。番兵。
※ 小具足(こぐそく)- 甲冑の付属具の総称。これに兜、鎧を付ければ、甲冑姿の出で立ちとなる。
※ 陣羽織(じんばおり)- 羽織の一種。武士が陣中で用いたところから、この名称がある。
※ 帯刀(たちはき)- 太刀を帯びること。
※ ひけらす - ひけらかす。見せびらかす。自慢する。
※ 床几(しょうぎ)- 脚を打ち違いに組み、尻の当たる部分に革や布を張った折り畳み式の腰掛け。陣中・狩り場・儀式などで用いられた。


写絵はただ恐ろしと、顔もえ(得)上げず身を震わせ、如何なる憂き目に遭うやらん。無実の罪か、禍罪(まがつみ)の、神の祟りか浅ましと、たゞ悲しくぞ、つい居たる
※ え(得)上げず -(「え(得)」は、下に打消しの語を伴って、不可能の意を表す。)~できない。うまく~できない。
※ 禍罪(まがつみ)- わざわい。災厄。
※ つい居る(ついいる)- かしこまって座る。


その時、判官、眼(まなこ)を見張り、
やおれ女、こゝを何処(いずこ)と思うぞや。当時威勢四海に顕われ、天下の主とならせ給う右大将頼朝公、平家の奴ばら敗軍の後は、様々に姿を替え、八方へ落ち下るにより、そを改め捕えんため、この鈴鹿に新関を構え、かく言う皷の判官音高に、守らせ給う。いでまづ汝が素性を言え、言わずば眼にもの見せんず。」と苛声(いらごえ)高くきめ付くれば、
※ やおれ -(人に呼び掛ける語)おい、おまえ。やい、おのれ。
※ 当時(とうじ)- 現在。いま。
※ 威勢(いせい)- 人を恐れ従わせる力。
※ 四海(しかい)- 天下。世の中。また、世界。
※ 右大将(うだいしょう)- 宮中の警固などを司る左右の近衛府のうち、右近衛府には右近衛大将が置かれた。略して「右大将」。
※ いで - さあ。どうぞ。
※ 見せんず(みせんず)- 見せよう。(「んず」は、推量または意志の意を表す。だろう。う(よう)。)
※ 苛声(いらごえ)-(「苛」は、かどのある、とげとげしい。)とげとげしい声。
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