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「江戸繁昌記 ニ篇」 9 混堂(ゆや)7

(大代川に映る夕陽)

これも昨日写したものである。

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。

男にして女様、糠を用いて精滌し、(面恐剥皮鉄面、何をか憂えん)人にして鴉浴、一洗、径(みち)に去る。
※ 精滌(せいじょう)- こまかく洗う。
※ 面恐(おもこわ)- 恐い顔。
※ 剝皮(はくひ)- 皮をむくこと。
※ 鉄面(てつめん)- 鉄面皮。恥を恥と思わないこと。厚かましいこと。
※ 鴉浴(あよく)- カラスの行水。


物有り、板を舐めて、青蛇、鱗を曝らし、包頭(カワカブリ)桶に触れ、玄亀、頭を縮む。


この文は、詳しく注を付けるのは止めた。

酔客、気を噓(ふ)いて、熟柿香を送り、漁啇膻を帯て、乾魚臭を曝す。
※ 熟柿香(じゅくしか)-熟柿のようなにおい。酒に酔った人の息のにおいを形容する語。。
※ 漁啇(ぎょてき)- 魚の素。(これは何だろう)
※ 膻(だん)- きも。
※ 乾魚臭(かんぎょしゅう)- 魚の干物の臭い。


一環の臂墨(イレズミ)。掩(おお)う所、有るが若(ごと)く、満身の花繍(ホリモノ)。赤裸、側に在るも悪(お)ぞ。よく浼(けが)さん。故(ふる)うに、これを示すに似たり。一撥、衣を振れば、汶々の受けるを欲せざるなり。
※ 一環の臂墨(いっかんのひぼく)- 罪人の腕の入れ墨であろうか。
※ 赤裸(せきら)- まるはだか。すっぱだか。
※ 汶々(もんもん)- くりからもんもん。入れ墨のこと。


浮石(カルイシ)踵(かかと)を摩(ま)し、両石、毛を敲(たた)く。衣を被(ひ)して、爪を剪(き)り、身を乾(かわ)かして、蚤を拾う。光頭一箇(ホウズアタマ)、乾々洗滌し、更に頂上に向いて、一桶水をにす。一人傍より絶叫して曰う、快し。相視て大いに笑う。
※ 乾々(けんけん)- 怠らず勤めるさま。「ごしごしと」位の意。
※ 倒(とう)- さかさま。


午末の際が伴頭倦昬嗒焉として坐睡す。南郭に隠る。模様想うべし。賓頭盧、屡々(しばしば)来客に撫(な)ぜらる。
※ 午末(ごまつ)- 昼下がり(?)。
※ 倦昏(けんこん)- 疲れて意識が薄れる。
※ 嗒焉(とうえん)- うっとりとすること。
※ 坐睡(ざすい)- 座ったまま眠ること。いねむり。
※ 南郭(なんかく)- 南の区画。
※ 几(き)- 机。
※ 賓頭盧(びんずる)- 十六羅漢の第一。白頭・長眉の相を備える阿羅漢。日本ではこの像をなでると病気が治るとされ、なで仏の風習が広がった。
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