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御所より御神納のお礼-駿河古文書会

(ムサシの散歩道から見える桃の花?)

先週金曜日、駿河古文書会解読文書の続き。蛇除けの御守りを送り、御神納を受けた駿府の熊野三社権現の神主から御附様へお礼の書状で、熊野神社から出た文書だから、当然控えである。文面を見ると、三度に分けて仰せ下され、奉献し、御神納も三度あったようだ。読み下した文を示す。

  憚りながら口上の覚え
御附様ますます御安康に遊ばさせられ御座候、恐悦に奉り候
次に、おのおの様いよいよ御勇健に御勤め上げ成させられ、珎重の御儀に存じ奉り候
はたまた熊野三社権現、昆虫除解牛王御守り、去る申年、御行宮において、御附水原摂津守様より御状を以って両三度仰せ下され、奉献候ところ、禁庭御所様より御目録下し置かれ、又々、大女院御所様より丁銀、御神納遊ばさせられ、仙洞御所様より金子弐百疋、御神納遊ばさせられ、堂上方より御初尾金百疋、御神納遊ばさせられ、両三度頂戴仕り、有り難き仕合せ、冥加至極に存じ奉り候
その砌、上京を遂げ、御附様まで右御礼申し上ぐべく候御儀に御座候えども、私病身にて遠路旅行成し難く、恐れながら延引仕り候
この度、牛王御守百符、御附御役人中様へ差し上げ奉り候
御序での節、宜しき様御取り成し仰せ上げられ下され候、以上
          駿府北安東村
  二月廿八日      熊野三社権現
                     神主
                       中村志摩  印
  石谷肥前守様
     御役人中様

※ 禁庭御所 - 天皇の住居、皇居、禁裏
※ 堂上方 - 広く朝廷を形づくる人々。公家。


紹介した三文書から想像するに、三度あったというのは、一度目は禁庭御所、二度目は大女院御所及び仙洞御所、三度目は堂上方であったと考えられる。「所望の書状」は禁中とあるから一度目のもの、「落手の書状」は仙洞御所、大女院御所とあるから二度目のもので、一対にはなっていないことが判る。

実は最後に御附の人たちも所望しているから、都合4度頼んだことになる。御附の人たちは拾符ほど頼んだが、本書状とともに百符送っている。大盤振舞である。もっとも最後に届いたのは翌年の春で、そろそろ蛇も活動を始める時期であった。

ちなみに我が家の蛇除けは、お袋が元気なときは御札を焼いた灰を撒いたりしたが、今はもっぱら、より直接的な蛇除けスプレーを女房は使っているようだ。
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