月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

『キノコ おいしい50選』

2012-02-27 12:34:32 | キノコ本
『キノコ おいしい50選』 戸門秀雄

秋の風物詩、キノコ狩り。そのすそ野の広さを考えれば、もうちょっとたくさんガイドブックのようなものが出ていそうなものだが、これが意外と少ない。それもそのはず、キノコ採りにとって仲間を増やすことはすなわちライバルを増やすことに他ならないからだ。

ただ、そんな中でいきいきとした文章でキノコ狩りの雰囲気を伝える本がある。戸門秀雄 著『キノコ おいしい50選』。

著者は山菜や渓流魚の料理店を経営する、いわば職業的キノコ採り。長年の経験や多くのキノコ採りたちとのエピソードを題材に、野生キノコの中でも特においしい50種をカラー写真で紹介する。

ただの情報の寄せ集めに過ぎない並の図鑑と違って、すべて実体験にもとづくこの本のつくりは、なにやら血がかよっているように感じられ心地よい。両手にマイタケを抱えて得意げなおじさんの顔、孫を連れてナラタケを採るおばあさんの笑顔の写真などは、見ているこちらまで頬が緩む。地下たびと背負いかごのキノコ狩りルックでポーズをキメるおねーさんは、さすがに不自然すぎて私も吹きだしてしまったが、やっぱり人のぬくもりがあるというのは、いい。

文章もなかなかどうして、名文である。著者はよほどキノコ採りが好きなのだろう。ライバルを増やすという自殺行為をしてでもその楽しさを伝えたいと思うほどなのだから、文章を通してこちらにまでその喜びが伝わってくる。特に「ナメコ」や「チチタケ」「マツタケ」の項などは楽しさばかりでなく、哀愁までただよわせるみごとな出来だ。

まあ私などはキノコ狩り好適地から遠く離れたところに住んでいるうえに、撮る方がメインで採る技術がないのだから、ただもう指をくわえてうらやましがる他ない。「採る」「食べる」という、伝統あるキノコ本来の喜びを、文章を読むことでおすそ分けしてもらうってことで満足しておこう。

写真は2004年発行の新装版。2007年にこの本の増補版が発行されているらしい。同一著者による姉妹品、山菜・木の実の本もあるようだ。
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『きのこ文学大全』

2012-02-24 05:00:37 | キノコ本
『きのこ文学大全』 飯沢耕太郎

きのこの好事家・飯沢氏が『世界のキノコ切手』に続き送り出した一冊。見た目は地味だけど中身がえらいことになっている。
 
小説やエッセイはもちろん、俳句、演劇、漫画から映画、音楽に至るまで古今東西いたる所からかき集めてきたキノコをあつかった作品の目録。著者の本業は写真家のはずなのだが、この入れ込みようは道楽と言うレベルをはるかに超えていて、副業でもお釣りが来そう。きのこ文学研究家の肩書きはダテではないようだ。新書なのに300ページもあるし。
 
ペラペラとページをめくっていると、最初は「あっ、こんなものが」「これ知ってる」などと目を止めながら楽しめるのだが、もう少し眺めていると、そのあまりのごちゃ混ぜ具合にクラクラしてくる。なんといってもこの本、100を超える作品(あるいは人、モノ)が、あいうえお順に並んでいるのだ。「ヒョウタンツギ」(手塚治虫)の次にファーブルが来たり、チャイコフスキーの次につげ義春が来たりでは、頭がおかしくなるのも無理はない。

以下引用

≪うまかったのか、うまくなかったのか。彼の心は、奇妙になげやりだった。もうひとかけら食べてみようと思った。じつのところ、まずくはなかった――うまいくらいだった。彼はさしあたりの興味にひかれて自分のなやみも忘れてしまった。これはまさに、死とたわむれることだった。もうひとかけら食べてから、ゆっくり口いっぱいたいらげた。手足の先が、奇妙にうずくような感じになってきた。脈がそれまでより速く打ちはじめた。耳の中で、血が水車溝のようなひびきをたてた。「もうひと口やってみろ」とクームズ氏はいった。≫……ウェルズの『赤むらさきのキノコ』より
  
あいうえお順で紹介される作品や作家たちには、小説や漫画といった分野の違いはもちろん、古い物新しい物、洋の東西、有名無名、老若男女、すべてのカベがとっぱらわれてしまっている。そんな本をデタラメにめくりながら読んでいると、まるでキノコの森に迷い込んだ挙げ句、毒きのこに当てられて、右も左もわからずフラフラ歩きまわってるような錯覚にとらわれる。飯沢氏のいう『キノコの中間性』とは、多分こういうもののことを指すんだろう。

人生に絶望して赤むらさきのキノコをほうばってしまったクームズ氏のように、足をもつらせながら、きのこ文学の森にさ迷いこむのも、まんざら悪くない。 


……キノコ本の書評を書くなど、屁の役にも立たないのになんでするんだろう、などと思いながら続けていた私は、この本の出現に勇気づけられた。でもそれと同時にショッキングでもあった。「こんなんアリなんか?」
でもよくよく考えてみれば、「書評」って他人の作品をけなしたり褒めたり、そういうところが寄生的な形態だ。キノコっぽい。そして、一本の倒木からいろんな種類のキノコが生えるように、自分というフィルターを通して表現されるそれは、たとえ同じ本の書評でも他の人が書いたものとはまったく別物、唯一無二のものだ。創作であって、創作でない。私はそういう「書評」という形を気に入っている。

それにしても、飯沢さんの境地には死ぬまで達しそうにない。「本屋でキノコ狩り」か……そういう発想なかったな。今度やってみよう。
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『持ち歩き図鑑 おいしいきのこ 毒きのこ』

2012-02-21 19:59:48 | キノコ本
『持ち歩き図鑑 おいしいきのこ 毒きのこ』 写真 大作晃一 文 吹春俊光 吹春公子 

2007年発行の『持ち歩き図鑑 きのこ・毒きのこ』の後継にあたり、2010年発行の『主婦の友ベストBOOKS おいしいきのこ 毒きのこ』(以降、ベスト版と呼ぶ)の姉妹品でもあるポケットサイズの小型ハンディ図鑑。

『ベスト版』のような原寸大はどうしたって無理だけど、この図鑑も白バック写真を軸に生態写真を組み合わせての美しい仕上がり。このサイズに収めきるの結構つらいんでないの?というのが、表紙を見た時の第一印象だったけど、ポケットに入るよう縦に細長い仕様になっている図鑑のかたちと、概して縦に長いキノコとがうまくマッチングして、そんなにきゅうきゅうとした感じはしない。

もうひとつのポイントは掲載種数。驚くことに、本書の275種というのは、倍以上の大きさの『ベスト版』の200種を大きく上回っている。前任の『持ち歩き図鑑 きのこ・毒きのこ』でも300種オーバーと、掲載種数へのこだわりが感じられたが、今回はキノコ狩りの対象となりやすい柔らかいキノコに的を絞っての275種なので、価値が高い。



この図鑑の最大の売りはやはり写真の美しさなのだけれども、白バック写真を活かすためには、やっぱり余白がきれいじゃないといけない。そのためには文字(テキスト)がジャマになる。でも文字がなきゃ情報が得られない。
ということで、この図鑑では、写真ページで簡単な特徴を記したうえで、巻末にまとめて各キノコの詳しい情報が調べられるようになっている。その量はトータルで50ページほど。かなり字が細かく、ちょっと読むのがつらいけど、可能な限り簡潔にまとめられた文章はよく要点を押さえている。

ちなみに『ベスト版』では「おいしいきのこ」と「注意したい毒きのこ」の2部構成になっていたけど、どちらだかわからないキノコを調べるには不便なので、今回はそれはナシにしたようだ。

写真は基本的に『ベスト版』の使いまわしプラスαなので、『ベスト版ちっちゃいバージョン』程度の認識だったけど、実用度見たら全然別モンぢゃないか……どちらか買えと言われたらかなり悩む。ということで

両方買っちまったぜ!(←キノコ図鑑中毒)

追伸。著者の大作さんのフィールドは富士山から東北までの関東一円なので、東日本の人に特におススメです。
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『グリーンブックス33 キノコ』

2012-02-18 12:46:09 | キノコ本
『グリーンブックス33 キノコ』 矢萩信夫

『魚の剥製の作り方』『オオムラサキの繁殖法』『土壌動物の観察と調査』などなど、100を超える豊富なバリエーションと、そのあまりに渋すぎるラインナップで、自然科学好きで多少マニアな青少年たちの心をわしづかみ、その燃えさかる向学心を40年も前からバックアップし続けてきたであろう、ニューサイエンス社グリーンブックスシリーズ。そのエントリーナンバー33番、『キノコ』。

初版発行は1977年。美しいイラストやカラー写真がたっぷり入った読みやすい本がいくらでも手に入る現在とは違い、写真はモノクロ、イラストは垢ぬけない手描き、文章も先生然とした飾り気のないもの、そういうのが当たり前の時代だ。そしてこの本もその例にもれない。

それでも、ああそれでも。

こんな見栄えのしない本に心くすぐられてしまうのは私だけだろうか。
昆虫少年が学校から帰ってくるなりカバンを放り投げてタモ網と虫カゴを持って出かけるみたいに、キノコ少年はもう理由なんかを考えるヒマもなくキノコを探しに出かける。そんなときに必要なのは、分厚くて豪華な図鑑でもない、正確でスマートな教科書でもない、ただ、でっかな「好奇心」だけなんじゃなかろうか。

本は、そんな子供たちの背中をちょっと押すだけのものでいい、不十分でもいいから、不正確でもいいから。

なんか、漠然とそう思うんだよね。そうすると、このグリーンブックスほど似つかわしいものは他にないんじゃないかと思えてしまう。もし私がもう少し早く生まれていたならば、少ない小遣いから750円をやりくりしてこの本を買い、胸を高鳴らせながら最初のページを開いていたかもしれない。今はなんでもあるから、そういう気持ちって忘れがちだけど、とても大事だと思う。




さて、この本の内容だけど、やはり現在の水準から見れば、作りが粗末で情報も古く、使えるものではない。きのこのイラストなんかは著者自身が描いたのだろう、その手作り感があふれすぎる中身は、情報源という点でかなり心もとない。それでも標本の作り方が記してあるあたりは、面目躍如かな。巻頭にカラー写真が2枚だけ入ってる。

ページ数は100ちょいだけど、その半分以上をキノコ60種の紹介に当てている。もっと総論が多くても良かったと思うけど、すごく一生懸命書いてるのが分かるから、これでいいことにしとこう。

当時としては貴重なキノコ本だ。

ちなみにグリーンブックス51に『冬虫夏草』がある。やっぱ渋い……。
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ギャラリーきのこ探訪

2012-02-15 22:55:17 | キノコ
連休を利用して神戸にある「ギャラリーきのこ」を訪れた。

ギャラリーきのこといえば、なかば伝説的になっているムック誌『MOOKきのこ』にも深いかかわりのある、きのこカルチャーの震源地。一度訪れてみたいとずっと思っていた。

ギャラリーきのこは水・金・日と、週に3日だけ営業しているという。阪急の王子公園駅を降りて、少し懐かしい香りのする下町を5分ほど歩いたところに、その店はたたずんでいた。



店内は昼下がりのやわらかい光が差し込み、温かな印象を受けた。カウンター席が5つに、二人掛けのテーブルが3つ。けっして広くない上に、キノコグッズがたくさん陳列されているけど、清潔感があって乱雑な感じはしない。

時間がちょっと遅かったけど、日曜日はランチも提供しているということなので、「鮭とキノコのガーリックピラフ」を注文した。



料理を準備しているあいだに店内を回る。今は「世界のキノコ切手展」を開催中とのことで、飯沢さんの『世界のキノコ切手』で見たようなバラエティあふれるキノコ切手が額に入れられて、たくさん飾ってあった。本物を見るのはもちろん初めてなんだけど、思ってた以上にイイ。ちょっと欲しいかも……と思ったら売りものもあるじゃないか、しかもたくさん。うおー、すごい。

あ、こっちのキノコ絵葉書もステキ。このきのこペンもサイコー……などと、もはやキリがない。



圧巻はキノコ書籍コーナー。国内・国外のきのこ図鑑にきのこエッセイ、きのこ絵本、きのこ画集にきのこ図譜。キノコ漫画にキノコ小説、キノコ民話、きのこ料理・きのこ薬・きのこ栽培にマジックきのこ関連まで、なんでも。コレクターの許容力を試そうとするかのようにデカいファーブルのきのこ図譜も。宝の山だ……

結局ランチを食べ終わってから、店員さん(ギャラリー代表の扇さんでした)が他のお客さんと話し込んでいるのをいいことに、一時間以上物色してしまった。あつかましい客でゴメンナサイ。

私もいくらか話をしたけれど、扇さんは穏やかで自然な感じで相手をしてくださるので、肩の力を抜いて時を過ごすことができる。ロシア映画が専門だそうで、初めてここを訪れたロシア好きの学生さんと、ずいぶんと話し込んでおられた。こうやって人と人がつながっていくんだな……

感覚としては喫茶店というよりはギャラリーに近くて、ギャラリーというよりはサロンに近い。想像した以上に素敵な場所だった。こんな空間が近くにあるなんて神戸の人がうらやましい。また機会があれば訪れたいと思う。


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『世界のキノコ切手』

2012-02-12 00:04:16 | キノコ本
『世界のキノコ切手』  飯沢耕太郎

近年、とみに胞子活動を活発化させている飯沢耕太郎氏がおそらく最初に手がけたキノコ本。

そもそもがマイナーなキノコなのにも関わらず、さらにその上を行って「キノコ切手を集めてみました」と来たか。その行きすぎ感というか突き抜け感というか、採算度外視にもほどがあるが、出版元のプチグラパブリッシングさんも
「こんな企画通るかっ!おととい来やがれってんだ、べらぼーめ!」
とか言わずに、よくぞ受けてくださいました。

あとがきによれば、キノコ切手収集が趣味だった飯沢さんと別の企画で出会ったこの本の担当者さんが、たまたまキノコ好きの切手好きだったことから始まったのだとか。まさしく偶然の産物。別々の胞子から伸びた2本の菌糸がごっつんこして絡み合う、そんな場面を想像してしまう。

さて、中身はというと、これがけっこう出来が良くて。
集めも集めたり800をゆうに超える世界中のキノコ切手が地域別にまとめられているのだが、その多彩なこと。伝統あるキノコ文化を持つ東西ヨーロッパをはじめとして、北米、中南米、アジア全域、オセアニア、それに中東からアフリカまで、ありとあらゆる地域から発行されている。中にはサントメ・プリンシペとかいう聞いたこともない国が大量に発行していたりして(どうやら貴重な収入源らしい)興味は尽きない。
絵柄も多彩で、描かれるキノコの種類が多いのはもちろんのこと、写実的なもの、メルヘン調のもの、極彩色のもの、動物とセットで描かれているものなど、タッチも多様で地域色豊かなのが楽しい。

個人的にはハンガリーやチェコスロバキアあたりのが好きだなー。スウェーデンも渋くていい。タイやベトナムなど東南アジア勢も意外に侮れないし、モンゴルなんかも悪くない。ディズニーキャラの足下とかにチョロっと生えてて、え?キノコどこにあるの?ってのも混じってて、これはこれで楽しめる。

挿入されるコラムや巻末の対談も小気味よく、全体のデザイン・レイアウトとあいまって非常にバランスの良いまとまり具合。この本で味をしめたのかどうかは知らないけれど、この後も飯沢さんがキノコ本を連発して新しい潮流を生み出したことを考えると、この地味な本はけっこうエポックメイキングな立ち位置にあるのかもしれん、などと思ったりする。

新しい日本のキノコ切手、早く出ないかなー(現行では激ショボのシイタケ切手のみ)。
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『持ち歩き図鑑 きのこ毒きのこ』

2012-02-08 22:20:26 | キノコ本
『持ち歩き図鑑 きのこ毒きのこ』  監修 横山和正 執筆 須田隆 中沢武 村岡眞治郎

最小クラスのポケットきのこ図鑑。縦に細長い形なので、まさしくポケットに入れることができる。

ただ、中身のほうはポケット図鑑の分際で相当に欲張ったようだ。おもだった栽培キノコには栽培風景の写真がついていて、光るキノコ、カエンタケ、虫草類などネタ系キノコはもちろんのこと、タマノリイグチやキリノミタケ、ウスキキヌガサタケなどレアキノコも押さえてある。おまけにコラムも7つ付いてるという充実ぶり。

ちょーっと待て。

超小型ハンディ図鑑でそこまでサービスする必要があるのか。おかげで普通のキノコが圧迫されてなんだか変なことになってるぞ。

ヒラタケ科8種
ヌメリガサ科6種
キシメジ科53種
テングタケ科18種
ウラベニガサ科6種
ハラタケ科12種
ヒトヨタケ科6種
オキナタケ科1種
モエギタケ科12種
フウセンタケ科4種
チャヒラタケ科1種
イッポンシメジ科7種
ヒダハタケ科1種
イグチ科13種
ベニタケ科10種

ヒダナシタケ類83種
腹菌類20種
キクラゲ類9種
子嚢菌類37種

掲載種を分類してみた。このサイズの図鑑で300種超えは偉大だと思うが、なんかバランスがおかしい。掲載種700の幼菌の会きのこ図鑑ですら7種のヒラタケ科を、ここに8種載せた時点で不安を覚えなかったのか、キシメジ、テングタケ、ハラタケ、モエギタケまでそのペースのまま来て、ふと気付いたのかもしれない。

「やべ。おさまりきらん。どうしよ……」

危機に陥った筆者たちは、ここで英断を下す。

「てえええい!フウセンタケは4種!」

しかもそのうち3種が毒というあまりの不遇さ。日本フウセンタケ協会からクレームがつくこと間違いなしだ。

その後のイグチ13種、ベニタケ10種も窮屈だ。タマノリイグチとか載せてる場合じゃないかも。しかもベニタケ科のうちベニタケ属はアイタケのみ、のこり9種がチチタケ属という不自然さ。きっとチチタケ教の本尊・栃木県民に買収されたに違いない。おそるべし栃木。

いや、それはいいんだ。そんなことよりも……

オニイグチ科はどこ?

ということで、つっこみどころ満載の図鑑ではあるのだが、ヒダナシタケ類が83種という異例の大充実ぶり。地味だし食えないキノコが多いということで、コンパクト図鑑では普通、ぞんざいな扱いをされることが多いグループ(特にサルノコシカケ系)だが、この図鑑では獅子奮迅の活躍を見せている。
腹菌や子嚢菌も多い。すげぇ、ツチダンゴとかマユハキタケとかも載ってる。

以上、いまひとつ制作意図がつかめないきらいがある図鑑だけど……ま、おもしろいからいいや。
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『キノコの効用』

2012-02-06 12:43:18 | キノコ本
『キノコの効用』 鈴木高之

『元薬事監視員の著者が、医学・薬学・栄養学・農芸化学の学会誌などに発表されたキノコの効用をわかりやすくまとめ、解説しました』
という帯の文句、そのまんまの内容。恨みがましく言わせてもらえば、まとめただけで解説してないような気もするけど。

以下引用

≪エノキタケの熱水抽出物は、動物実験やヒト臨床試験(経口投与)で抗腫瘍作用が認められている。
ちなみに、長野県内のエノキタケ生産農家を対象に疫学調査を実施した結果、エノキタケの日常的な摂取により癌死亡率が低下することが明らかになった。
また、エノキタケ粉末配合飼料によりラット群を4週間飼育した実験では、対象群に比べて血漿コレステロール値が著しく低下したそうである。≫

で、関係する論文のサマリーみたいなのがつらつらと続く。

ていうかゴメン。これ要らんわ。

科学的根拠のない情報は載せない!という堅さが身上。研究者か、キノコ業者、健康食品系企業の人なら使えるかも。でもせめてもーちょっと噛み砕いてよ。

掲載キノコ20種:アガリクス、エノキタケ、エリンギ、キクラゲ、クロアワビタケ、シイタケ、シロキクラゲ、タモギタケ、チャーガ、冬虫夏草、ナメコ、ハタケシメジ、ハナビラタケ、ヒラタケ、ブナシメジ、マイタケ、マッシュルーム、マンネンタケ、メシマコブ、ヤマブシタケ
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『乙女の玉手箱シリーズ きのこ』

2012-02-02 22:42:00 | キノコ本
『乙女の玉手箱シリーズ きのこ』  とよ田キノ子 監修

おっ、乙女の玉手箱シリーズ!宝箱じゃない、玉手箱!この微妙に古風で魅惑的な響き!

かつては生き物の本と言うと犬猫といったペット、さもなくば教育モノか図鑑くらい、といった窮屈さを感じさせるもんだったけど、近頃は、なんだかよくわかんないマイナーな生き物の本も出るようになった。しかも多様な視点で取り上げられるようになって。たとえばそんな生き物たちのフォルムだとか配色だとか、デザインという観点から……そんな流れで、キノコにもこんな本が出版される日が来たのだなぁ、などとちょっと感慨深く。

知る人ぞ知るキノコ女子にして重度のキノコ病患者・とよ田キノ子さんの手による、ビジュアルに特化した「きのこカタログ」。編集がすこし変わってて、五つの動詞をテーマにして章が立てられている。

雑貨や服飾、切手など、きのこアイテムが一堂に会する『愛でる』
日本全国のきのこスポットを巡る『旅する』
意匠やシンボルとしてのキノコ、生き物としてのキノコ、本・写真・映画……『調べる』
ホクトぉぉぉぉ!エリンギぃぃぃぃ!『食べる』
キラ星のごとく活躍するきのこアーティストたち『発信する』

おお、この五つの「Do」に込められたアクティブなパワー!俺が追い求めてきたのはこれだ!キノコ雑貨を集める、キノコ写真を撮る、キノコオブジェのある公園を探索するなど、どう考えても無駄なことにだって、実はメチャメチャ意義があるような気が俺もしてきた!
現代というカチコチと凝り固まった世界に、自分なんかは窮屈さを感じるわけだけど、こーいう感性に触れるとノーミソに風穴を空けられるというか、ブチ抜かれるというか、はっはー、なんだか元気が出てくるねー(なに言ってんだか)。

さてさて、この本でもうひとつ注目すべきはデザインかな。五つの章はそれぞれ橙、緑、青、ピンク、紫を基調に構成されていて、そのカラフルさがキノコをかわいくポップに演出している。気分がウキウキするね。それでいてシュールで妖しい空気もふわっと。レイアウトもよく練られているみたいだし、印刷もバッチリ。

個人的にスゴイ良い出来だと思うんだけど。これを機にもっときのこコレクターやきのこクリエイターが増えるといいな。

ただ、この『乙女の玉手箱シリーズ』というのが、まだ『きのこ』の他に『マトリョーシカ』しか出てないのが気になる。きのことマトリョーシカ……いくら玉手箱に入れるったってマイナーにもほどがある。きのこの名誉のためにも早く仲間を増やしてくれい。

それにしてもグッチのきのこスカーフが素敵すぎる。
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