木のつぶやき

主に手話やろう重複の仲間たちのこと、それと新聞記事や本から感じたことを書き込んでいきます。皆様よろしくお願いします。

是枝監督のコラム

2009年02月18日 23時21分18秒 | Weblog
私は映画は詳しくないが映画監督の是枝さんが、今朝の読売新聞に「『熱狂より検証』の冷静さ必要」という記事を書かれていて、非常に考えさせられた。

「2009年2月18日(水)読売新聞朝刊16面より」
「熱狂より検証」の冷静さ必要
         是枝裕和(映画監督)

 麻生内閣の支持率がひとけたに落ちたと2月16日のニュースで報じていた。郵政民営化を巡る首相本人の否定的発言と、彼の発言を小泉元首相が批判したことが、主な原因だと分析されていた。
 個人的なことはともかく、有権者は郵政民営化を圧倒的に支持したのであるから、首相発言に批判の声が挙がるのは無理からぬことだとは思う。しかし、小泉政権時代に起きたことや決められたこと、つまりは私たちが決めたことのひとつひとつが再検証を必要とする時期に差し掛かっていることは、派遣労働の問題ひとつ見ても明らかだろう。そして、先日イラクから完全撤収をして帰国した自衛隊の派遣もまた今後検証されるべき大きな宿題のひとつだ。
 オバマ氏の大統領就任式や、そこに集まった支持者の熱狂的な発言にテレビを通して触れた時、僕はアメリカの素晴らしさや「変化」よりも、政治家個人に熱狂するアメリカ国民の「変わらなさ」と民主主義の未熟さをむしろ強く感じた。
 ついこの間まで、あなたたちはブッシュ氏とブッシュ氏の起こした戦争を圧倒的に支持していたではないか。あなたたちは「チェンジ」というキャッチコピーで何かをリセットしたつもりかもしれないが、イラクは果たして何らかの「チェンジ」が可能になったのだろうかと、皮肉のひとつもつぶやいてみたい気持ちになった。
 手のひらを返したようなこのオバマ支持が、前政権とその戦争の是非を、事後的ではあるにせよ、きちんと検証した結果であるようにはどうしても思えない。むしろ、ブッシュ氏を支持してしまった自らの不明から目をそらすための自己演出に過ぎないのではないか?そして「ブッシュの戦争」を支持した我が国の元首相が、何らその実績の検証を経ることなく、いまだに「国民的人気」を背景に、政界に影響力を持っているというこの国の事態にも同様の危惧を持たざるを得ない。
 ソマリア沖への自衛隊の派遣が議論されているが、海外派遣という重大な判断が何の原理も原則もなく、「国民的人気」や「支持率」などという不確かなものに後押しされて実現したり、しなかったりするような事態だけは二度と繰り返してはならないはずだ。
 民主主義を成熟させていくためには、「熱狂」の側にではなく、常に「検証」の側に身を置く冷静さが、メディアには特に必要だと思う。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第4分科会「手話通訳者の養... | トップ | books131「ビジネスマンのた... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事