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先達の方の本



僭越ながらこの本の著者について少し述べたいと思います。この方の輸入ビール業界における業績はとても大きく、端的に言わせてもらうとベルギービールを日本人として咀嚼し、分解し、日本の文脈の中に再構築したのだと思います。外国オリジンのものを日本流にしてしまうのは日本人の得意とすることとよく云われますが、彼はベルギービールでそれをやってのけたのだと思います。日本流にしたというのはベルギービールを和に溶け込ませたという意味です。日本人にとってのベルギービールって何なのかということ。結果、和の美意識にベルギービールを位置付けたというか。どのようにそれができたのかは当時の現場を知らない自分には勿論分かりませんが、独特のセンスと飽くなき探求心はその人柄から伺えます。

品質管理からサーヴの仕方、商品構成そして消費者へのアプローチに至るまで彼によって業界の常識が大きく変わったといえます。またそれは日本における現在のクラフトビールの潮流のための土台をつくったということでもあります。それが具体的にどういうことなのか詳細はこの本を読んでいただくとして、ブラッセルズと彼が最良の部分を担っていたことを否定する人はいないでしょう。

個人的には過去ベルギービールウィークエンドにおいて間近に接する機会に恵まれました。ドラフトでもボトルでもそのサーヴの仕方、姿はまさに匠の技です。姿も美しければサーヴされたビールの完成型の美しいこと。一切無駄がなく見る者を感動させる力がありました。ここまでしないと文化ってつくれないんだなぁと思ってただただ見ていました。またお客さんとのトークにおいても真似のできないユニークな面白味がありました。
「こんな人がいるんだ。」

この本ではブラッセルズの創業者を初めとした日本でのベルギービール黎明期を語った第三章が個人的に好きですが、ほかの文章にも随所に学びのヒントが語られています。滝沢さん、またベルギービールやってください!

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Van Eecke/HET SAS から Leroy Breweries へ


先月のベルギー・ゲントにおける展示会において、ファンエーケ(またはヘットサス)醸造所は新醸造所名をルロワブルワリーズとしたことを公表しました。エクスポートマネージャーのダニーさんが9月に来日した際その話は聞いていたのですが、準備は整っていたのでしょう、早くも動き始めました。現在ブルワーとしてファンエーケにいる次期11代目!当主の若きカレルルロワ(ポペリンフスホメルを1981年に創り出したカレルルロワは彼の祖父であり同名です)がリーダーシップを発揮し、なにかと保守的といえたこの醸造所の改革に乗り出しています。とはいえ伝統の製法や培った味わいを変えるつもりはもちろんなく、その意味ではより積極的にクラシカルな味わいを前面に出していくということでしょう。それはとても重要なことですし、良い意味でのベルジャンな保守性がマーケットに明確なかたちとなって表れれば、昔ながらのベルギービールファンはもとより新たな愛好家への魅力的な思想的アプローチとなることでしょう。現在の潮流とは一線を画する姿勢といえますが、困難ながらもこの魅力的な使命が評価されるべく我々も応援していきます。



さて元々ファンエーケとヘットサスはそれぞれ別の醸造所としてありました。ヘットサス醸造所は現在西フランデレン州イーペル市ブージンヘに位置していますが、元は近郊にあった水門の場所に建てられました。1572年創業です。サス(SAS)とは水門の意味で、地名となり、また醸造所名もそこから付けられています。ヘットサス(HET SAS)=THE 水門ですね。この建物は第一次世界大戦で完全に破壊されたため(イーペルは第一次世界大戦の激戦地として都市自体が破壊された)、現在の場所に再建されました。ルロワ家の11世代にわたる醸造家系はこのヘットサスにおいてです。

片やファンエーケ醸造所は、イーペルから11㎞ほど西にあるホップ産地で有名な町ポペリンゲよりさらに西のフランス国境沿いの町ワトゥにあります。1624年にこの地の伯爵のシャトーブルワリーとして建てられたのが最初です。その後フランス革命の影響で城とも焼かれてしまい、紆余曲折ののち1862年にファンエーケ家がオーナーとなってからは地元に密着した醸造所として第二次世界大戦後まで重要な位置を占めていました。やがて戦後の1950年頃になると景気の上昇と共に地方の伝統的な醸造所によるビールがマーケットで勢いを増し、ベルギー全土と北フランスの飲食店に広まっていきます。それに伴いファンエーケでも修道院スタイルのビールの醸造が準備され、現在でもフラッグシップの一つである「カピテル」が誕生しました。

1962年になるとルロワ家がファンエーケ醸造所を引き継ぎます。そして1981年、ポペリンゲのホップ祭りのためのスペシャリティビールの要望に応え、当時のブルーマスターカレルルロワにより「ポペリンフスホメルビール」が誕生します。ポペリンゲ産ホップを100%使用した、当時のベルギービールとしては珍しくホッピーなこのゴールデンエールはたちまち人気となり醸造所の新しいフラッグシップとなりました。

ローカルな醸造所として地元を大事にしながらも、近年は海外輸出にも力を入れています。それでもSASピルスなどはイーペル辺りでのシェアが依然強く、ローカルビールの趣きを感じさせます。ヘットサスでは元来ローカルビールを各種造り続けていて、片やファンエーケではカピテルやポペリンフスホメルなど海外へも展開できるビールを出してきたため、どちらもルロワ家による一族経営とはいえ、便宜上ローカルビールはヘットサス(またはルロワ)名義で、そして広域を意識したビールはファンエーケ名義というふうに分けてきました。実際にはヘットサス醸造所のほうが設備と生産量のキャパが大きく井戸水もあるため、生産の割合は断然こちらの方が多いようです。

以前ヘットサス醸造所を訪ねた際、知らない銘柄のローカルビールを多く見つけ興奮した覚えがあります。これらを日本へ輸出できないかその場で頼みましたがオーナーのフィリップルロワに断られたのを思い出します。

今回の名称統合はルロワブルワリーズ(2つの醸造所)としてルロワ家を明確化し、ローカルビールを含めたほぼ全ラインナップをあらためて前面に出して、これらクラシカルなビールを広域に展開していくという表われなんですね。我々としても彼らの造るビールをもっと紹介できる機会がやっと巡ってきたわけです。

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今年のマグマが入荷です!

Troubadour Magma Special Edition 2016 Maris Otter 
alc. 9.0% 20Lキーケグスリム
トルバドゥールマグマのスペシャルエディション2016が入荷です!2011年よりシングルホップで3年、酵母で2年の試みを経て、今年は基本に戻るかたちでビールのアルコール、ボディや甘みといった最も重要なベースを司るモルトに着目し、高級ピルスモルトであるマリスオッター(*)100%で仕込みました(通常レギュラーのマグマには別の3種のモルトを使用しています)。
まず色合いが顕著に異なります。オレンジからゴールドへ。柑橘、南国果物とシムコ―ホップのマグマらしい香りのキャラクターはそのままに、味わいはレギュラーと比べてスパイシーさが若干弱まりその分フルーティさが強まっています。また重層性はないけれど、フルボディのわりにリフレッシュな口当たりになっているのも新たな特徴です。余韻にはドライ感と苦味が長く残ります。

↓まず見た目の違いがはっきりしてますね。


*マリスオッターは1950~1960年代にかけてイギリス・ノーフォークで開発された二条大麦のウィンターバーレイで、その類稀な風味と品質によりプレミアムモルトとして現在まで特別な人気があります。他のモルトに比べて20~25%も高価になるということです。パン、トースト、ビスケット、ハチミツといった豊かなフレーヴァ―が感じられるリッチな麦芽風味が特徴です。
詳細は→http://blog.goo.ne.jp/kinki-beer/e/ea06008dc34a9beda3e39a6f0bc7bcfb

Troubadour Westkust 
alc. 9.2% 20Lキーケグスリム
ケグでは約2年ぶりの入荷となります!ポペリンゲ産のチャレンジャーとマグナム両ホップによるグラッシーで強い苦味にチョコレートやコーヒーのような濃厚なボディが絡み合い、新たな次元の旨味を醸します。ベルジャンタッチのブラックインペリアルIPA。

*共に11月最終週から発送可能となります。よろしくお願いします!
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Poperings Hommelbier Fresh Harvest 2017 Limited edition

ファンエーケのダニーさんから嬉しいいニュースが届きました。
新しいヴィンテージのホメル フレッシュハーヴェストが本日瓶詰めなのです!

ところで今年はまず表記に変化があります。2016年度のヴィンテージなのにボトル表記が2017となっています。なぜに?理由は消費されるメインの時期が来年であるということをふまえての変更だそうです。ボジョレーヌーヴォーみたいに解禁で一斉に消費されるのとは違いますからね。ということで今回から醸造年とヴィンテージ表記が一年ずれることになります、慣れるまで頭が少し混乱しそうです。

ボトル裏の注意書き?もふるってます。
WARNING
This is Not an IPA, Not a Saison,
Not a Triple, Not a Blond

Just 100% Belgian Poperinge
aromatic hop flavor
このビールのオリジナリティに対する強いプライドが感じられます。伝統と地域性を大事にする良い意味での保守性であり、安易に潮流には乗らないという姿勢です。



今年7月のベルギーは1839年以来の悪天候でした。そのため大麦やホップの収穫に影響が出、供給量が制限され価格も高騰したということです。フランスでもブドウの被害が半端ではなかったようです。そんな中でファンエーケのルロワ家は11世代続く長い醸造経験の賜物によりこの特別なビールを造り得たのでした。現在は次期オーナーと目されている若手のカレル・ルロワがブルーマスターとして活躍し出しています。

原材料は、
醸造所にある井戸水
3種の麦芽:サマーモルト、ウィンターモルト、アロマティックペールモルト
4種のポペリンゲ産生ホップ:サフィール、ブルワーズゴールド、チャレンジャー、マグナム
自家純粋培養の酵母

工程は、
9月19日(月)ポペリンゲでホップを収穫後、軽く乾燥させ、風味のもとであるルプリンが出やすくするため荒くカットします。
9月20日(火)麦汁が仕込まれ発酵へ。
9月30日(金)熟成中に再び生ホップを加えます(ドライホッピング)。
そして本日10月21日(金)瓶詰めされ、11月10日(木)まで瓶内二次発酵を促します。
11月15日(火)前後には出荷可能となるでしょう。

去年は華やかな印象でしたが今年の仕上がりはどうでしょうか。
日本には来年2月頃の入荷予定です。乞うご期待です!
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アウトベールセル グリーンウォールナット2016 試飲


醸造所から少し離れたアウトベールセルの自家果樹園で育った、まだ青い生のクルミの実を丸ごと、1年熟成&2年熟成のブレンドランビックに11ヶ月漬け込みました。
2016年4月15日瓶詰。
くぐもった、少し緑がかった黄身色。
青っぽい刺激臭、この香りだと飲み頃1~2年後くらいがいいかもしれません。そうこうするうちにアウトベールセルらしいクリーミーなホップ香とマストな馬の毛布の香り、ほっとする心地良いフルーツ香もやってきて重層的な調和がとれ始めました。
味わいも香りの表現に倣った感じです。
総じてベースのランビックの高いポテンシャルに支えられているような仕上がりですが、これは好きな人もいるでしょうね。生のクルミの実のこの青臭さが更なる瓶熟を要求しているのですね。現時点ではランビックの偉大な懐の深さによる調和の妙という域を出てませんが、今後の熟成による化け具合にとても期待が膨らみます。
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