an unknown bird

2013-06-08 23:09:39 | 鳥(Birds)


クロアゴヒメアオヒタキ(Cyornis caerulatus rufifrons) Large-billed Blue Flycatcher/female


クロアカヤイロチョウを見た興奮が冷めやらぬままに暗いトレイルを歩いていた私は、とある鳥を見て一気にクールダウンした。Blue Flycatherであることははすぐに見て取れたが、種まではすぐに分からなかった。
例え海外での鳥見でも、ちゃんと予習さえすれば見た瞬間に殆どの鳥はわかるけれど、たまに自分の辞書に載っていない鳥が出ることももちろんある。

こういう鳥のことを人は「ワカンネードリ」とか「クエスチョンドリ」など呼び、仲間内でああでもないこうでもないと議論を醸す。このワカンネードリの出現も鳥見の醍醐味の一つで、答えに辿り着いた時はとても嬉しい。しかし分かるまでは延々と頭を悩ませ眉間にはシワがよりっ放しになる。

さて、上の写真の鳥がこの時見たワカンネードリ。
ジズはボルネオヒメアオヒタキの雄の幼鳥または第1回冬~夏羽だった。理由は喉の橙色が腮まで達していたことと、背面は青色だが頭部は茶色で、体形や止まり姿もマレーシアヒメオヒタキとは違ったからである。
しかし識別が怪しい鳥をフィールドで断定してしまうのは危険だと思い帰ってからよく考察してみた。
Blue Flycatcherの中でミヤマヒメアオヒタキ、コビトヒメアオヒタキ、マングローブヒメアオヒタキは生息域が違うため頭の隅には置いてはおくが選択肢から外して考える。マレーシアヒメオヒタキは先述の通り違うとして、残りはボルネオヒメアオヒタキかクロアゴヒメアオヒタキとなる。
両者の幼鳥は頭部にコサメビタキの幼鳥のような顕著な鱗模様がある(クロアゴヒメアオヒタキの幼鳥に関しては下嘴の大部分が黄色になる)ため、考えられるのは雄の第1回冬~夏羽か、またはクロアゴヒメアオヒタキに関しては亜種C. c. rufifronsの雌ということも考えられる。
しかし私の持つフィールドガイドのBIRDS OF BOREO(Susan M., 2009.)にはクロアゴのrufifrons雌は喉から腮にかけてが白く描かれていた。これは私がはじめボルネオヒメアオヒタキと思った理由だった。
ここで背面の青色に注目すると、雄成鳥の青味よりも明らかに控えめな青色であることに気が付く。コルリのような青だ。ボルネオヒメアオヒタキやクロアゴヒメアオヒタキの雄は背面が茶色の幼羽から換羽する際には鮮やかに青い成鳥羽がモザイク状に出現するため(三列~初列は除く)、このように一様に鈍い青色になるとは考えにくい。
そんな時、ロッジの売店で何気なく、私の持っていないPhillipps' Field Guide to the Birds of Borneo(Quentin P., 2012.)を立ち読みしていると、クロアゴヒメアオヒタキのrufifronsの雌の背面は一様に暗青色に描かれているではないか(喉の色はちゃんと見るのを忘れた)。
やっとこれで殆ど解決と思いきや、写真の個体は足が肉色をしていることに気が付いてしまった。これではここまで考えてきたことが総崩れとなってしまう。BIRDS OF BOREOにはBlue Flycatcherの足は皆黒色に描かれていたからだ。
けれど色んな画像を見ているうちに、クロアゴヒメアオヒタキに限らずヒメアオヒタキ類の足の色は黒~肉色までバリエーションがあることが分かった。まったく、これが図鑑を全部信じてはならない良い例だ。
嘴は大きく太め、頭部は褐色。腮から下尾筒までは淡橙色、このうち胸は橙色味が強く腹は白色味がありこのコントラストがある。背面は肩羽~大雨覆まで暗青色、三列~初列は褐色で暗青色味が少しあるようにも見える。尾羽下面の色は前ボケのため不明。
結局のところ、クロアゴヒメアオヒタキの雌成鳥ではないかと私は思う。




キムネハナドリモドキ(Prinochilus maculatus) Yellow-breasted Flowerpecker


キムネハナドリモドキは胸から腹が黄色でそこに緑の縦斑が入り、結構綺麗な鳥。頭頂には良く見るとオレンジのパッチがある。ハナドリの仲間は頭頂にだけ赤やオレンジがあるものが割りと多い。




オオキミミクモカリドリ(Arachnothera flavigaster) Spectacled Spiderhunter


こちらはオオキミミクモカリドリ。アイリングは顕著に太く、耳の黄色いパッチも端がまとまってばらけない。
キミミクモカリドリと比べてみると違いが良く分かる。




ルリノドハチクイ(Merops viridis viridis) Blue-throated Bee-eater


歩いてロッジへと戻る頃にはもうお昼になっていた。
フライングキャッチをするタイプの鳥にとって電線は良い止まり木になる。
この時はルリノドハチクイとリュウキュウツバメがいた。リュウキュウツバメは連続飛翔で虫をとるが、休息をかねてフライングキャッチ式の採餌をする時もある。




リュウキュウツバメ(Hirundo tahitica javanica) House Swallow

【Danum Valley, Borneo, Malaysia(ボルネオ,マレーシア)/31th Dec, 2012】


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2 コメント

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Unknown (羽根屋様)
2013-06-10 22:35:42
あ、どうも。私もワカンネードリがいるんすよ。
5/4飛島の記事で???ヒタキにしてるやつ。ゴド芋畑の隣で見つけて、私が「腰アレだね・・・」ってぼそって言ったやつ。
ニシとかヨーロッパとかに見えるんすけどね。
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ニシノビ (コウ)
2013-06-11 22:49:04
>イケメン羽屋様

あれ!これ上尾筒に軸斑あるじゃないですか!
観察中は気付きませんでした...。
これはアリなんじゃないでしょうか。
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