Chestnut色に胸を焦がして

2011-06-27 06:00:06 | 鳥(Birds)


シマノジコ(Emberiza rutila) Chestnut Bunting


この島で鳥を効率よく見るには、草刈直後の草むらをいかに素早く見つけるかに懸かっている。
刈られた草から落ちる種子はホオジロ類の良い食物になり、草の中に潜んでいた蟲はヒタキやツグミの食物になるのだ。
黄昏時。私が草の刈られた一角で座り込み待っていると、次々に鳥がやってきた。
まず最初にやってきたのは1羽のコホオアカだった。これを皮切りに警戒が解けたのか、茂みに潜んでいた鳥もゆっくりと出て来始めた。次にやってきたのは2羽のシベリアアオジだった。
さらに混群でこの草むらに採餌しに来たのは、エゾビタキとコサメビタキ、ムギマキ雄成鳥、それからなんとマミジロキビタキの雌だったのだ。マミジロキビタキは雌の腰も英名通りに鮮やかな黄色をしている。
ヒタキの群れに気を取られて気付くのが遅れた。最後にいつのまにか地面に出てきていたのは、他でもない、2羽のシマノジコの雄成鳥だったのだ!
シマノジコのあまりにも鮮やかな赤茶色は、もう日が落ちてかなり薄暗くなった景色の中でも一際鮮やかで、腹の黄色との組み合わせが実に素晴らしい。そして何よりこの鳥は、私からたったの6mくらいの場所で種子を食べているではないか。
やがて食事に満足して彼らが藪の中に入っていく頃には、私の心も、そして脚もビリビリに痺れていた。

この日は最後に、もう1つだけ素敵なことがあった。
薄暗くて写真など到底撮れないほどの暗さになった頃。
目の前の藪から藪に、茶色い鳥が飛び移り、すぐに藪に入っていった。肉眼でその影だけを見た私は初め、ムジセッカかと思った。今年はよく見るなぁと思いながらその鳥が飛び移った藪に近付いた私の耳には、思いもよらぬ地鳴きが飛び込んで来た。
「テュッ」
口の中で空気が爆発するように、それでいてウィスパーヴォイスでこいつと同じ発音すると、人でもこれに近い音が出る。
私は思わず、その藪の方向を2度見した。さらに注意深く藪に近付いた私が息を潜めていると、その鳥が藪の表に出てきた。ムジセッカに比べてずいぶん動きがゆっくりで、あまり連続して鳴かない。しかしこれはただ疲労しているだけかもしれない。双眼鏡で追いかけると、何度も上げる尾の裏側に見える下尾筒が黄色味を帯びていた。そして、ムジセッカよりももっさりして可愛らしい顔をしているではないか。この鳥は、他にもいくつもの識別点を確認できるほどにゆっくりと、私のすぐ足元で動いてくれた。
ほほう!これはまさにカラフトムジセッカだ。
これは私にとって、初見の1種だった。

1泊だけする宿への帰り道に、かろうじて道が見えるぐらいの暗さになった頃、ツツドリぐらいの大きさのトケンが目の前を飛んで横切っていった。



【2011/05/16/山形 Tobishima Island,Japan/May.2011】


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