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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

キューバ経済改革の行方② 米との国交回復の影響は

2015-06-25 21:10:16 | 国際政治
キューバ経済改革の行方② 米との国交回復の影響は
ハバナ大学教授にインタビュー 中南米研究者・新藤通弘さん


地方政府への分権化が進められ、納税の面で改革の進展があります。以前は全て国庫に納入しなければならなかった徴税額について、基礎行政区は、地方行政に1%を使用できるようになりました。法人の売上額の1%の地方税の徴収も2015年から全国で始まり、各基礎行政区の開発が促進されています。
飲食業などでの請負制度の成果も出始めています。請負制度は、設備や生産手段について、国の所有を維持しつつ、設備、生産手段を従業員に貸し与え、従業員はその賃料を払い、独立採算で自営業として経営する制度です。労働者は、国に設備や生産手段の賃料を払わなければなりませんが、利益は自分のものとなるので、労働意欲が出てきます。飲食業の他に、タクシー、バスなどのサービス業で行われています。15~16年には、13万人が働いている1万3000の飲食業の経営が、自営業化か、協同組合化される予定です。
これまでサービス業に限られていた請負制度を、製造業に導入することも検討されています。国営企業の改革は、さまざまな規制が解除され、15年以来、企業の自主的な権限が強められました。
観光業では、国と民間の連携が強められており、国営の観光機関が、民間レストラン、民宿と契約できるようになりました。



外国人観光客であふれるハバナ旧市街(新藤通弘氏撮影)

観光・投資増
米・キューバ国交回復は、経済への大きな影響があります。
短期的には観光収入が増大するでしょう。キューバが変わる前に見ておきたいという人々がおり、年間で米国人も含めて100万人の観光客の増加(30%増)が予想されています。両国間の通信が直接となり、国の通信収入も増えます。両国間の海上輸送が行われ、マリエル港も利用して米国の船舶会社の収入が増えます。航空機、船舶への資材や燃料の供給でキューバの収入も増加します。
米国によるキューバの農業への投資も行われ、キューバへの農産物の輸出も前金でなく、後払いで輸出できるようになり、輸出も増大するでしょう。
中長期的には、経済封鎖の解除によって、米国資本による石油産業、海底石油掘削への投資、保険事業、ニッケルなどの鉱山開発も見込まれます。バイオテクノロジーでもマリエル開発特区に合弁の開発センターを建設できます。
問題はどこまで米国との経済関係を深めればよいかということです。地理的近さと価格からは米国との取引が有利ですが、すでに特定の国と貿易・経済関係を集中することに苦い歴史的な経験をもっているので、中国、ベネズエラ、ブラジル、ロシア、EU諸国などとのバランスを図ることが重要です。

低賃金が課題に
今後の課題のひとつは、個人の労働に対する刺激の問題です。労働者は、少額の賃金しか受け取っておらず、労働の刺激を十分受けていません。そのためキューバの労働は生産効率が悪く、競争力もありません。
国内通貨ペソと外貨と交換できる免換(だかん)ペソとの二つの通貨が存在する現行の二重通貨制度(両者の交換レートは24対1で、免換ペソが高い)も、生産を高めて国内ペソの購買力が回復すれば、統一し解決できます。これは政治的に解決しなければならない問題です。
また、どういう社会主義をめざすのか、キューバの経済改革の理論的な性格づけも必要となっています。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年6月23日付掲載


地理的に近いアメリカとの貿易や人の行き来が増えることで、双方の経済が活性化することとを望むます。

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