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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

グローバル経済の迷宮 海外工場の事件簿⑧ 1500人死亡 大惨事の衝撃

2017-06-26 16:36:33 | 経済・産業・中小企業対策など
グローバル経済の迷宮 海外工場の事件簿⑧ 1500人死亡 大惨事の衝撃

「製造を海外に外部委託する。下請け工場につくらせた製品を安く買いたたく。このモデルがグローバル大企業の成功の秘けつです。一方的に労働者を犠牲にするやり方です」
全労連の布施恵輔(ふせ・けいすけ)国際局長は話します。
しかし作用は必ず反作用を引き起こします。グローバル企業の横暴はグローバルな反撃によって包囲されつつある、といいます。
「下請け工場がある途上国では労働組合の力がまだ弱い。しかし国際NGOや先進国の労働組合との連携で運動が急速に広がってきました。グローバル・サブライチェーン(国際供給網)の頂点にいる多国籍企業に責任をとらせるべきだ、という世論はますます強まっています」

立ち上がる学生
ユニクロの秘密工場の実態を世界に知らせた国際NGOの連携プレーは、そうした巨大な潮流の一部です。香港のNGO「SACOM」のキキ・ユェンさんは学生が立ち上がった理由を説明します。
「外部委託が劣悪な労働条件を生み出す主要な原因になっている、ということに学生たちは気づいたのです。外部委託は、製造業労働者の権利に責任を負わないことへの言い訳を、巨大企業に与えています。なぜなら巨大企業は労働者の雇い主ではないからです」
香港の学生が外部委託に批判の目を向けたきっかけは大学での労働運動だったといいます。香港中文大学の学生は大学の清掃と警備を行う労働者の権利のためにたたかいました。政府の外部委託政策で労働条件が切り下げられたためです。
「学生たちは学者のグループと結びつきました。グローバル経済における外部委託と、労働者の権利の問題に取り組む人びとです。こうして2005年にSACOMが設立されました。私たちの使命は多国籍企業に責任を果たさせることです。彼らが世界中の産業を主導しており、労働条件を改善する能力をもっているからです」



ユニクロの親会社、ファーストリテイリングの本社=山口市

責任の所在焦点
12~13年に国際ブランドの下請け工場で世界に衝撃を与える大惨事が相次ぎました。13年にはバングラデシュで縫製工場の入った雑居ビル(ラナプラザ・ビル)が倒壊。12年にはパキスタンとバングラデシュの工場で激しい火災が起きました。1500人以上が命を落としました。
ラナプラザ・ビルは危険な違法建築で、事故前日に労働者が大きな亀裂をみつけて操業停止を求めていたといわれます。工場では有名ブランドの商品をつくっていました。ベネトンやウォルマート、インディテックスなどです。
有名ブランドは下請け工場に対して低価格での製造を求めていました。しかし事故の法的責任を問われませんでした。労働者を直接雇用していなかったからです。悲惨な事故を受けて、責任の所在が焦点になったと布施氏は語ります。
「『あれだけの人が犠牲になったのに、発注元のブランドは責任を問われないの?』という思いが世界的に強まったのです。先進国の労働運動の中でもグローバル・サプライチェーンのあり方が強く問われるようになりました。多国籍企業の責任を明確にする国際的なしくみの構築が始まっています」
国際労働機関(ILO)も指摘します。
事故は「グローバル・サプライチェーンを含むグローバル経済」が「労働条件に悪い影響をもたらしうるということの証拠」である。それは「人間らしい労働を実現するために、グローバルな行動をとるという新たな提案を後押しした」(16年の報告書)。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年6月23日付掲載


労働力を安く買いたたくだけでなく、生産手段の一部である建屋までも粗悪につくる。これでは、良い製品ができるはずがありません。労働者の命と暮らしを守れと立ち上がるのは当然の事。

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