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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

経済の迷宮⑧ 富を移転する寄生装置

2016-10-18 15:40:31 | 予算・税金・消費税・社会保障など
経済の迷宮⑧ 富を移転する寄生装置

産業に乏しく他国の資金を吸い寄せて成長するタックスヘイブン(租税回避地)の生態は、宿主の養分を吸って生きる動物に例えられることがあります。
「タックスヘイブンの活動は、まったくもって寄生虫のようで、世界経済・国家システム双方を餌にしている」(ロナン・パランほか『タックスヘイブン』)
ただし、寄生虫と異なる複雑な構造も持ち合わせています。吸い寄せた資金の大半がタックスヘイブン自体を素通りして出ていく点です。寄生の装置を背後で操り、支払うべき税を逃れて、他国民および自国民から資金をかすめとる張本人は、主に先進国の多国籍企業と富裕層なのです。
税逃れに都合のよいタックスヘイブンの法制度自体、先進国の会計事務所や法律事務所が設計したものだといわれます。
「パナマ文書」に登場するペーパーカンパニー21万社の設立には、アーンスト&ヤングなどの巨大会計事務所や、べーカー&マッケンジーなどの巨大法律事務所が関与。クレディ・スイスをはじめとするメガバンクも関わっていました。



シンガポールの住宅地(ロイター)

「底辺への競争」
この人為的な寄生装置には周辺国を同化する作用もあります。
低税率の国・地域に資金を移転する多国籍企業は、資金呼び込みのために税率を引き下げる「底辺への競争」を巻き起こしてきました。タックスヘイブンは、他国の税率を下へ下へと引っ張る最底辺の重りの役割を果たしてきました。今や世界各国の法人税率がタックスヘイブンの水準に接近しつつあります。
税逃れや減税で多国籍企業の利益が増えると、波及的な恩恵を受けるのは誰か。
「富裕層を中心とする個人株主だと考えられます。額に汗して稼ぐ勤労所得ではなく、有産階級特有の金融資産から生じる不労所得が増えるのです」
深見公認会計士事務所の深見浩一郎代表は、そう指摘します。・大手銀行で多くの企業の税務戦略を目撃してきたA氏の見方も同じです。
「税率が20%と40%では最終的な利益が20%違うわけで、確かにこの違いは大きいです。しかし税負担を20%に下げて投資に回すといっても、どれだけ回るのか。今はマイナス金利ですから、本当に投資をするのなら借り入れてもいいはずです。個人のポケットに入ればいいということではないのか、と思ってしまいます」
企業に節税を迫る外国人投資家の言い分に本質が表れているとも話します。
「『日本企業は稼ぎが悪い』と、外資系の株主はいいます。『税金を払いすぎだ。株主に還元せずに、国に還元している』と」
税金の支払いを減らして、株主にもっと寄こせというわけです。
実際、企業の設備投資は低迷し、株主配当は急増しているのが日本の現状です。2016年3月期の上場企業の株主配当総額(予定)は前期と比べて10%も増え、8兆6300億円。3年連続で過去最高を更新しました。(時事通信集計)
例えば、シンガポールを使ってアジア各国と日本での課税を逃れる多国籍企業の利益は、富裕な株主の懐に転がり込んでいるのです

負担構造の転換
一方、法人税収が減る国家は、国境から逃れられない貧困層や中間層に負担を転嫁しています。社会保障費を削り、消費税を増税する日本は典型的です。経済協力開発機構(OECD)租税委員会が1998年に公表した「有害な税の競争」報告書も、税逃れの害悪の一つに負担構造の転換をあげました。
「労働、財産および消費といった移動が難しい課税ベースに対して税負担が変換するという好ましくない状況を作り出す」
勤労者への所得税や保険料、国外に資金を移せない中間層への資産税、所得が低い人ほど負担率が重い消費税などに、負担の重点が移り変わるのです。
要するに、タックスヘイブンとは、世界中の貧困層と中間層に食いついて所得や資産を吸い上げ、こぞって富裕層に移転する、巨大な寄生装置なのです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年10月15日付掲載


国境を越えて資金を移転できる富裕層や大企業は課税を逃れられるって、不合理でしょう。
ジャンル:
経済
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