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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

労働講座 きほんのき④ 賃上げとは? 安定した基本給の増額

2017-04-27 11:36:26 | 働く権利・賃金・雇用問題について
労働講座 きほんのき④ 賃上げとは? 安定した基本給の増額

労働組合と経営者が賃上げなど労働条件について全国でいっせいに交渉する「春闘」がたたかわれています。安倍首相まで賃上げを言い出していますが、そもそも賃金とは何か、賃上げとは何でしょうか。

賃金は、基本給(基本賃金)と手当、一時金(期末手当)などからなっています。住宅手当など福利厚生費でも、就業規則などに明記されていれば賃金とみなされます。労働者の信条や女性であることを理由にした賃金差別は労働基準法で禁止されています。
賃金の水準は、最低賃金を下回ってはいけないというルールがあるだけですが、生計費を賄うものでなければなりません。「労働力の再生産」すなわち労働者が働き続けられなくなるからです。
ところが、現在の最賃ではフルタイムで働いても年収200万円にもなりません。全労連などは、速やかに時給1000円に引き上げ、1500円を目指すよう求めています。
大企業などでは基本給や一時金が、会社の査定(評価)や会社の業績に応じて変動するようになっています。生計費である賃金の本質をゆがめて、使用者の恣意(しい)的な判断で決められるようにするものです。




「ベア」と「定昇」
春闘では、「ベア〇〇円」など「ベースアップ(ベア)」という言葉を見聞きします。
ベアは、年齢や勤続年数などで上がる「定期昇給(定昇)」とは違って職場の労働者全体の基本給の水準を引き上げることです。
基本給が25歳で17万円、40歳で25万円の場合、3000円のベアでは、25歳は17万3000円、40歳は25万3000円にそれぞれ上がることになります。
基本給は、残業代の割増賃金や一時金、退職金などを計算する際の基礎となります。本人の同意なしに一方的な引き下げは許されないことから、労働者は将来を見通した収入を確保できます。全労連も連合も基本給の引き上げを求めています。
これに対し経営側は、「年収ベースの賃金引き上げ」といって基本給の引き上げに抵抗しています。「年収ベース」とは、一時金や、月によって変動する残業手当なども含めたもので安定した収入にはつながりません。
一時金は、「期末手当」といわれるように「賃金の後払い」が本質です。不当な査定や差別を許さないたたかいが重要です。



大幅賃上げを求めてデモ行進する中央行動の参加者=3月8日、東京都千代田区

増える内部留保
経団連の「年収ベースの賃金引き上げ」方針は、2014年以来今年で4年目です。しかし、消費の拡大に結びついていません。
1997年にピークに達した賃金水準が下落したままで回復しておらず、社会保障の負担増なども重なって「将来不安」を抱いているからです。
社会保険料など負担軽減とあわせて、基本賃金や最低賃金の大幅引き上げが必要です。全労連・国民春闘共闘は、月2万円以上、時給150円以上を要求に掲げています。
財界、大企業は「総額人件費」の増加につながるといって基本給の引き上げには後ろ向きです。しかし大企業は、昨年だけで13兆円も内部留保を積み増しました。総額は313兆円に達しています。
ため込みをやめて労働者の賃金を引き上げ、中小企業の取引単価の改善などに充てれば、全ての労働者の大幅賃上げは十分可能です。内部留保をこれ以上増やさないで経営に活用するだけでも、月5・9万円の賃上げが可能です。(労働運動総合研究所が試算)
賃上げには、労働者の生活の改善や日本経済の回復、地域経済の立てなおしなど国民的な大義があります。労働者のたたかいで賃上げを勝ち取ることが求められています。

賃金や労働時間など労働問題が一からわかる「労働講座」をシリーズで始めます。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年3月15日付掲載


「年収ベースの賃上げ」と言うと、いかにも良いようですが…。毎月の賃金は必ずしも上がらない。「毎月は赤字で、ボーナスで食いつなぐ」って生活になりかねません。

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