今回のロシア旅も、いよいよ今日が最終日となりました。先ずはロシアが世界に誇るエルミタージュ
美術館を訪ねます。1764年にエカテリーナ二世がドイツから美術品を買い取ったのが、コレクションの
始まりで、最初は自身専用の美術品展示室だったそうです。1917年のロシア革命後には、貴族から
没収したコレクションの集積所となり、現在は300万点を越す美術品を有しているとか。
入場してすぐの『大使の階段』。その金キラキンの絢爛豪華さに度胆を抜かれます。ロマノフ王朝の
時代は冬の宮殿として使用されていたそうですが、先ず来訪者にロマノフの権威を見せつける効果を
意図したのでしょうか。確かに此の階段を観ただけで、ハハ~ッと平身低頭してしまいそう…。
エルミタージュ美術館は、収蔵品だけでなく建物自体が美術品と言われます。隅々まで美しい細工が
為され、じっくり眺めていたら予定の5時間ではとても廻り切れそうもありません。
『ラファエロの回廊』と呼ばれる優美な回廊です。2年前に訪れたローマのバチカン美術館を思い出す
華麗な空間でした。ヨーロッパにも負けない宮殿を…との想いが伝わってきます。
展示室はこんな風…中央に巨大な孔雀石の器が置かれ、四方の壁に夥しい絵画が並び、さほど
美術ファンでもないKimitsukuでも、その質量には圧倒されるばかりでした。
これが有名な『クジャク時計』です。この時計は、エカテリーナ二世の時代にイギリスで制作されたもの。
ペテルブルグに搬入された時は解体されていたため組み立てる技術者がおらず、1792年になり初めて
動くようになったそうです。クジャクはかなり大きなもので2mはありそうな…。現在でも週に一度だけ羽を
広げ、雄鶏が時を告げるとのこと。同じクジャク時計がロンドンにもあるが、あちらは動かない…ガイドの
ウラジーミルさんが一寸だけ得意げな表情で話していました。
Kimitsukuお勧め作品その1、エル・グレコの『使徒ペテロとパウロ』。
二人の慈しみと哀しみを滲ませた深い眼差しに、畏敬の念を覚え胸が熱くなりました。エル・グレコは
トレドの『オルガス伯の埋葬』も、大原美術館の『受胎告知』も好きですが、これも大好きな一枚に…。
お勧め作品その2、17世紀オランダ絵画の巨匠レンブラントの『放蕩息子の帰還』。
レンブラント晩年の作で、生涯で描いた数多くの宗教画の中でも最も秀逸とされる作品です。
信仰と慈悲と希望を描いた『放蕩息子の帰還』、多くの人々が列をなして魅入っていました。
お勧め作品その3、ティツィアーノの『聖セバスティアヌスの殉教』。美しさと儚さと痛ましさと…、
何ともKimitsuku好みの一枚です。この絵の前にひとり佇み、静かにジ~ッと眺めていたい。
お勧め作品その4、マゾウリの彫刻『アドニスの死』。
ギリシャ神話に登場する美少年アドニス。神は猪に突かれて死んだアドニスを憐れみ、アネモネの花に
変身させたという。不自然に体を捩ったポーズが一段と目を惹く、美少年アドニスくんでした。
『隠れ家』を意味するエルミタージュ。全部の展示室を廻ると22kmにもなるという巨大な美術館でした。
オレンジジュース一杯だけで5時間グルグルと観て歩き、ぐったり疲れた札幌おばさん二人です。
行った観た凄かった疲れた エルミタージュ美術館観光でした。