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資料 2014/01/28 首都防災

2014-01-28 18:11:26 | Abeは利権と戦前を取り戻す

 
首都直下地震の被害想定=酒井祥宏(東京社会部)

2014年01月28日 東京朝刊

 ◇「自分の脅威」備えを

 乾いた寒風に枯れ葉が舞う冬の夕方。あなたは職場で仕事をしているかもしれない。満員電車で帰宅途中の人や、自宅で夕食の準備をしている人もいるだろう。その時、大地震が発生したらどうするだろうか。

 中央防災会議の作業部会などは昨年12月、発生の可能性が高まるマグニチュード(M)7級の首都直下地震の震度分布や被害想定の報告書をまとめた。冬の夕方という最悪のケースだと、死者は約2万3000人。うち約1万6000人が火災で死亡し、負傷者は約12万3000人に上る。だが、重要なのは死者数や被害規模ではない。この想定を自分に降りかかる事態として捉えることができるかだ。

 木造住宅が密集する東京都荒川区町屋4丁目(2026世帯)を歩いた。向かい合う家の塀に両手が届く路地もあり、消防車の進入が困難な細い道が入り組む。昨年9月に公表された都の調査結果によると、都内の市街化区域を5133に分けた地区の中で、総合危険度はワースト1位。地元の防災まちづくり協議会会長の木内輝男さん(69)は「地震で塀が倒れたら路地は通れない。出火したらどこに向かって逃げればいいのか」と困惑する。

 木内さんによると、1923(大正12)年の関東大震災後、都心部から被災者が移住し、あぜ道沿いに住宅を建てた。入り組んだ細い道路はその名残だ。戦後になると、都が土地所有者に無断で地区の中心に仮設住宅(長屋)を約30戸建設。居住者に細分化して払い下げたため、幅約1メートルの路地で区切られた迷路のような町並みも形成された。木造住宅が集中するこうした地域は、大地震で建物の倒壊や同時多発出火による大規模火災が発生する可能性が高い。

 ◇1万6000ヘクタールに及ぶ木造の密集地域

 これは町屋4丁目に限った問題ではない。都の調査では、木造建築物7割以上▽うち老朽化3割以上▽住宅密度が1ヘクタール当たり55世帯以上−−などの定義に該当する「木造住宅密集地域」(木密地域)は、JR山手線外周部を中心に約1万6000ヘクタールに及ぶ。首都直下地震が起きれば木密地域を中心に都内で最大約41万棟が焼失し、延焼で逃げ惑う人も含めて多数の死者が出ると想定されている。

 都が延焼防止の道路整備などを進めた結果、甚大な被害が想定される約7000ヘクタールの木密地域では、燃えにくい地域の割合を表す「不燃領域率」が96年の49%から2006年には56%に向上した。12年からは建て替え費用の一部を助成するなどの新プロジェクトも開始、20年度までに不燃領域率70%を目標に掲げる。

 しかし、木密地域は土地や建物の所有権が複雑で、助成を受けても費用の工面が難しい高齢者も多い。都の防災担当職員は「地域による特性があり、多様な対策が必要だ。行政には限界がある」と漏らす。避難所となる小学校などで、自主的に延焼防止用の植樹に取り組む木内さんは「災害が起きたらどうなるか考え、自分たちで準備することが必要」と強調する。

 ◇災害への意識、生死を分ける

 東日本大震災の被災地で、日ごろの備えと災害に対する意識が生死を左右したケースをいくつも聞いた。高台にある岩手県宮古市立鍬(くわ)ケ崎(がさき)小の教員は津波の到達を予想していなかったが、地震の直後に「津波が来る」と大声が聞こえたため、グラウンドから裏山に児童を避難させ、全員が助かった。8日前に訓練したばかりの避難経路だった。一方、総延長2・4キロ、高さ10メートルの防潮堤があった同市の田老地区では、「防潮堤があるから大丈夫」と言って自宅1階に残り、命を落とした男性がいた。

 首都直下地震の被害想定の取りまとめに携わった明治大危機管理研究センターの中林一樹特任教授(都市防災)は、地震を想像することの重要性を説き「人ごとと考えていれば被害者になるだけ」と断言する。報告書には「首都で生活をする各人の取り組み」として、1週間程度の食料備蓄などが盛り込まれた。これは「首都圏に住む人は『大地震を覚悟して備えよ』という強いメッセージだ」という。

 首都直下以外にも、南海トラフ巨大地震のように広域で被害をもたらす大地震の発生も懸念されている。東日本大震災から間もなく3年。発生直後の防災意識を忘れないでほしい。行政が施策を尽くすのは当然として、住民も地震の発生を想像し、避難方法・場所、家族との連絡手段などを再確認する。家具を固定し、水・食料・防災用品を備える。当たり前だが、自分や家族を守る方法は他にない。


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