あけび物語

しばらく休みます。ときどき投稿するかも。

その後のフーさん       完結

2010年05月30日 20時07分11秒 | 呆湯記 (温泉旅行記)
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散骨の後、山小屋で食事して、休憩をしながら歓談。

「なあ、何か僕は、ここにフーさんがいるような気がしてならないんや」

僕は口では言い表せない気配?のようなものをずっと感じていた。

「ええ〜!」

「僕は夢でもええきん、フーさんに会いたいなあ」

「あけびさん、それは恐いわあ〜!」

と、妹さんが、おどけ半分に言った。





そして無事下山して次の朝、フーさんの奥さんから電話がかかって、曰く。

「昨日は本当にありがとうございました」

「こちらこそ、無事終えてよかった。肩の荷がおりました」

「あのね、あけびさん。今日朝早く娘から・・・妹の方です・・電話がありまして」

「はい」

「お父さんが、夢に出て来たと言うんです」

「へえ〜!夢に」

「登山に行く服装で出て来たそうです」

「それで、どんな顔をしていましたか?」

「黙ってニコニコしていたそうです」

「へえ〜やっぱり、昨日ついて来とったんや」




「私も夢を見ました。仏壇を買ってお父さんを入れてあげた日に」

「どんな顔しとったんな?」

「うれしそうにしとった」

「へえ〜!フーさんあっちの世界で楽しくやっとんや」


 

                  −完ー





温泉旅行記はこれにて終了させて頂ます。

ながらく拙い文章に付き合って頂き、本当にありがとうございました。




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その後のフーさん      散骨

2010年05月28日 11時05分58秒 | 呆湯記 (温泉旅行記)
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(ゴーヤ)








その後のフーさんなどと言えば、なんだろう?といぶかるでしょうねえ。

まあ、お気になさらず最後まで読んでください。








僕は、フーさんとの約束を果たすべく、三嶺に登らねばならなかった。

三嶺の頂上から、散骨するためである。




娘さん2人と、時々一緒に登山していたTさんに声をかけ、総勢4人で登山することになった。

予定としては10月2日の予定であったが、特に思い当たる節もないのに、膝が痛くなり中止して、その2週間後に予定したものの雨の予報のため中止した。

結局10月30日になった。




フーさんと最後の登山をしたときの林道は、台風で壊されて、登山口まで車が入れなかった。

荒れた道を、3人を案内してゆっくりと登った。



頂上の手前の樹林をぬけると、急斜面を彩る紅葉が目に飛び込んできた。

僕は、娘さん達に言った。

「2回も延期になったんは、フーさんが、娘さん達に、この景色を見せたかったんや。なんで山登りしよったか、分かって欲しかったんや」




そして、散骨は、娘さんたちが、人に踏まれないところがいいと言うので、頂上から少し下がったところの岩場ですることになった。

風は頂上から山小屋に向かって吹いていた。

娘さんたちは、骨壷から細かく砕いた骨を山小屋に向かって散骨した。

・・・・・あれれれ??風で山小屋の方向へ飛んだ骨が、弧を描いて娘さんの足元に戻ってきた。

「やっぱり、フーさん、娘さんが恋しいんや」

「はははは・・・・」

一同抑え気味に笑った。



僕は、用意してきたアサヒドライの缶を開け、その辺りに振りまいた。

「存分に飲みなよ。フーさん」

今度は、涙が、ポロポロこぼれた。

「フーさん、ありがとう」




                 −続くー




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さらば友よ    日記

2010年05月27日 13時42分33秒 | 呆湯記 (温泉旅行記)
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(パイナップル、トウモロコシ、いいえ万年青…おもとの花です)











『少し早かったけど、良い家族に恵まれ、娘達はいい人と結婚。悔いはない』




これは、亡くなる2日前に日記に書かれてあった。

葬儀から1ヶ月ほど経ってフーさんの家へお参りに行ったとき、奥さんがフーさんの日記を見せて頂いたときのことである。

僕にメールが来たときに、もう1週間ともたないと言われていた。

そして医者が首をひねるほど・・・1月半余分に生きた。

その間に自分の身辺を整理した。

だが、最期まで諦めなかった。

粘り強く、潔いフーさんの人柄そのものであった。




思えば、山の好きなフーさんにふさわしく石鎚山の山開きの日に逝った。

そして、ずっとフーさんの心を救った創生水は、石鎚の水が縁でめぐり合うことが出来た。

これは、きっと神様のお導きに違いないと僕は思っている。








                   −続くー



次回からその後のフーさん???について書きたいと思っています。?????




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                     −続くー

さらば友よ      悔しくて、寂しくて、悲しくて。

2010年05月27日 10時17分31秒 | 呆湯記 (温泉旅行記)
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(オオバコ)









今日行かなければ一生の悔いになる。




出発は7月2日朝4時過ぎであった。

雨風はあるものの幸い道路の閉鎖はなかった。



寒風山の峠の手前で、フーさんの娘さんから電話がかかった。

「父は、4時過ぎに亡くなりました」

「そうですか・・・・」

そう答えるのが精一杯だった。

僕が出発するのを確認したかのようだった。




土小屋の駐車場に来ると、雨風の中たくさんの信者で賑わっている。

社務所で名義変更をすませて、大雨の中、泣きながら頂上社をめざして歩いて行った。




途中、何度も後ろを振り返る。

後ろから、フーさんが、ついて来ているように思えてならなかった。

二の鎖の手前で息苦しくなって、テントの下で休んだ。

いままで何十回も登山して、こんなに息苦しくなったのは、初めてだ。

ふと、フーさんの息苦しさを思い、呟いた。

「ここまで、ついて来てくれたんな?」




それでも、無事登山を終えてフーさんのもとにお札をもって行った。

安らかな顔を見ると、涙がこぼれて、止まらなかった。

悔しくて、悲しくて、寂しくて。





               −続くー





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さらば友よ   別れ    

2010年05月25日 09時59分22秒 | 呆湯記 (温泉旅行記)
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だが、現実は残酷である。

フーさんの容態は、行くたびに悪化していた。

喉がゴロゴロ鳴るようになり、やがて酸素の量が増えた。



それでも、フーさんは、僕に言った。

「僕はもう行けそうもないから、石鎚山の先達の株をあけびさん引き継いでくれないか?」

「ああ・・・・いいですよ」

「手続きは、社務所へ行けばやってくれるから」

「ほんだら7月2日に行くわ」

6月29日のことである。




ところが、7月2日の天気予報は台風の影響で東予方面は、大雨警報、暴風警報、洪水警報、波浪警報とあらゆる警報が出て、行けそうにもない。

そして7月1日石鎚山の山開きの日、参拝を延期しようと思っていた矢先、

フーさんの奥さんから電話がかかった。

「あけびさん、来てください。もう主人はいくばくもありません。しゃっくりが出始めたんです」




そのまま、あわてて駆けつけた。

酸素マスクの奥のフーさんは苦しそうに目を閉じていた。




僕は、フーさんの息のあるうちに石鎚神社へ行って、先達の引き継ぎをして、その証のお札をフーさんに届けたい!

何があっても石鎚山へ行く!ご加護あれと。




帰り際あいさつすると、フーさんはマスクを外し目を見開いて、

「ありがとう」

と、言った。


これが2人の別れだった。






                    −続くー





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さらば友よ       丸太

2010年05月24日 10時04分07秒 | 呆湯記 (温泉旅行記)
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(一休み)







次回見舞いに行ったときは、びっくりするほど元気になって、よくしゃべった。

創生水を命の水だと喜んでいた。




1ヶ月ほど経った頃、フーさんからメールが来た。

軽トラに積んである、丸太を・・・・・なんとやら?

文章がちょっと分かりにくい。

少々乱れた文章が気になって、次の日見舞いに行く。




フーさんは元気であった。

それは、その丸太を、技術学校へ持って行って欲しいと言う頼みだった。

教材に寄付すると言う。

他にも家の前の道路拡張工事のときには、桜の木を切り倒して欲しいと頼まれた。

そして、もう着ることもないので、着て欲しいと、フーさんのズボンや、チョッキをもらった。




帰りながら、

『これって・・・身辺整理?』

ふと、頭をよぎったが、すぐ、

『いや、もう体が動かないから僕に頼んだだけ、もう着れないから服をくれただけ』

とそれを打ち消した。




「そうじゃあないよなあ・・・・そうじゃあ・・・」





                 ー続くー






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さらば友よ      魔法の水

2010年05月23日 23時27分12秒 | 呆湯記 (温泉旅行記)
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(どくだみ)









帰りながら、ふと思った。 

『石鎚の水もいいと思うけど、僕の飲んでいる創生水は、どうなんだろう?』

ふとしたことで創生水を飲み始めて、正直僕は特別変わったことはなかった。

しかし、洗濯ができたり、仏壇の花に入れると、腐らないのには驚いた。

そして妻の目の下のただれが治ったりした不思議な水である。



翌日、フーさんに創生水の1.8ℓのビンを6本もって行った。

これからが、思いがけない展開の始まりであった。




そして、また次の日フーさんからメールが来た。

タイトルは、・・・・

「魔法の水?!」

そして、本文は、

「あの水を飲むと、痰の切れがよくなり、昨日までの苦しみがうそのようです。おまけにテレビの字がよく見えるようになりました。ほんとうにありがとう!」

と、書いていた。

びっくりした。うれしかった。

涙が、こぼれた。

これを機会によくなってくれればいいのだが・・・と、祈らずにはいられなかった。





                     ー続くー





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さらば友よ      約束

2010年05月22日 13時58分21秒 | 呆湯記 (温泉旅行記)
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半ば冗談、半ば本気でした約束したことがあった。

「あけびさん、僕が死んだら三嶺の頂上か骨をまいてくれよ」

「わかった。フーさん、僕は別府の街が見える伽藍岳から骨をまいてな」

「わかった」

このときから4,5年前の事だ。

それが、現実になろうとしているのだろうか。

いや、そんなに早くそのときが来るわけがない。

不安な気持ちの葛藤のまま夜が明けてしまった。




その日フーさんの様子を見に行った。

意外と元気なようで少し安心する。

なにせ、痰が切れなくてすごく苦しかったと言う。



そして、長く封印していた温泉めぐりの話しをした。

頭のすみに、もうひょっとしたら、話が出来なくなるかもと言う気持ちがあった。

どんな話だったか・・・全く覚えていない。




帰り際、ベッドの足元を見ると石鎚の水と言うペットボトルがあった。

「これは?」

と聞くと、

「石鎚やから、効くやろうと思って」

フーさんは石鎚神社の信者であり先達の資格をもっているのである。

7月の山開きには、毎年僕と参拝のため登山をしていた。



あいさつをして、フーさんの顔を見た。

フーさんは何かを訴えるような目で僕を見ていた。





                    −続くー






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さらば友よ      秘湯温泉とや

2010年05月21日 10時18分24秒 | 呆湯記 (温泉旅行記)
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(ニワゼキショウ)









このところ時々見舞いに行くのだが、別段弱った様子もない。

僕はもう大丈夫だろうと思っていた。いや、そう信じたかった。

本人も来月には帰れると言うし。




だが、もう安心と思っていた5月半ばの深夜12時前、就寝している僕の携帯が鳴った。

フーさんからメールだ。

『ありがとう。秘湯温泉とや』

「なんや、『や』は山のことか?でもなんで今頃?」

不審に思い、すぐ返信メールで問い合わせる。

・・・と、すぐ本人から泣きじゃくりながら電話がかかってきた。

「もう体重は減るし、痰がつまる。おれはもう駄目だ。死ぬ前に礼が言いたかった。死んだら、三嶺の頂上に骨をまいてくれ・・・・」

「何言よんな。あほみたいなこと言いますな」

僕は動揺した。

「明日、会いに行くきん、しっかりしなよ。大丈夫や」

と励ますのがやっとだった。



                    −続くー





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さらば友よ      付き添い

2010年05月20日 13時35分36秒 | 呆湯記 (温泉旅行記)
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2回目の手術では小さいガンが、2ヶ所とりきれなかったと、電話の向こうの奥さんが涙声で言った。

僕は何も言えなかった。




見舞いに行くと、フーさんは、

「悪性じゃあないから、大丈夫やろうと思うんやけど」

と、少々不安げな表情で僕に言うので、

僕は、

「そうや、ようなるわあ」

と、自分にも言い聞かせるように言った。

そして、温泉の話や、登山のことはもう話題にはするまいと思った。




それからは月に何回かは、いっしょにうどんを食べに行ったり、山をドライブしたりした。

それから1年少々経った2月の末に、日赤へ検査入院した。

何度も肺炎になるのはおかしいので検査するというのである。



見舞いに行くと、フーさんは、特に変わりがないように思えたが、奥さんが付き添っていた。

「奥さん、今日は仕事休みな?」

と、聞けば、

「この人が、もう会社辞めて付き添ってくれんか・・・と言うんで・・」

「会社辞めたんな・・・」

フーさんは、医療費もあるし、年金だけではとても生活出来ないと、聞いていた。

いや〜な予感に一瞬頭を殴られたような気がした。





                     −続くー






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