単独飛行

ひとり空をゆくように

坊さんと自衛隊

2017年07月25日 | 日常


先日母が亡くなった。まずは葬儀屋に連絡して、病院から母の遺体を運んでもらう。
経験した人はよくわかると思うけど、そこから葬儀屋との段取り確認が始まる。
葬儀屋に「どこのお寺ですか」と聞かれ、寺の名前を告げると、連絡をとってくれる。
早速「枕経」をよみに、坊さんがやってきた。その場で明日の通夜、葬儀の段取りなど、事務的に確認する。

ちまたでは、「葬式・法事、墓や納骨堂とか、何かと寺は金がかかる」という話をよく聞く。
確かにそれはそうなんだけど、それが宗教だと考えれば、「寄付」は当然のことではないだろうか。
お寺がお骨取り扱い業者だとすると「税金も払ってないし、丸儲けやないか」などと言われても仕方ない。でも宗教なのだから、そこは納得の上で弔ってもらうのではないのか。

市役所や葬儀屋や知り合いへの挨拶などをすませ、うちに帰ると豪雨が降り、私の住んでいるまちではたくさんの家が流されたり浸水したりした。テレビには災害派遣された自衛隊員の姿が映し出されている。ネット上では「自衛隊員ご苦労様」的な書き込みも多数見られた。

それを見て、ふっと、思った。
坊さんと自衛隊員ってなんか似てるなあと。

坊さんは葬式とお骨の管理をするときだけ呼べばいい。自衛隊は災害があったら救助したり作業してくれる便利な助っ人。そんなふうにウッカリ思ってるけど、実は坊さんは宗教で、自衛隊は軍隊なんだけど、日本人ってそこをあまり意識していないというか、言いたがらない人が多い気がする。
普段は、「あなたの信ずる宗教は」と聞かれて「仏教です」と即座に答えるかというと、疑問だ(私も含めて)。日本に軍隊はあるかと聞かれると「憲法九条があるからね・・・なんかよくわからんけど軍隊は持たないはずだろ」
なんていうか、本音と建前。

坊さんの(本来の)仕事は仏教の布教だろうし、自衛隊の仕事は外敵から国民を守ること。それは当たり前のことだし隠すことでもないし後ろめたいことでもない。

葬式の翌日、妹と二人で寺の事務所にお布施を払いに行くと、坊さんは忙しそうにパソコンに向かっていた。
あれこれ話していると、「なんで仏教では線香をたくんですか」という妹の質問に答えて
「お線香の香りがその場にいる皆さんに等しく染み渡るように、お釈迦様の教えがすみずみまでゆきわたるように・・・そういう意味なんです」
おお!! そういうのを聞きたかった。そう思うと、お線香の香りもありがたく思えませんか。

私は模型を作るようになってずいぶん自衛隊に対する考え方も変わった。それはいろんなことを知ったからだと思う。
坊さんも自衛隊も、けっこう身近に存在しているんだけど、われわれは見て見ぬフリをしてるだけなんだね。
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あの日のコーヒー牛乳

2017年07月14日 | 男と女
 先日母が亡くなって、いろいろ昔のことを思い出した。

 私が小学生の頃、夏休みに母の実家に帰省していたときのこと。
 夕食を食べたあとテレビを見ていると、伯父が「ちょっとドライブ行かんか」と、自分の息子二人と私たち姉妹に声をかけた。

 当時、私の父は転勤族で、マイカーというものを持っていなかったこともあり、日が暮れてからドライブするなんて驚いた。
 といっても田舎で、外の景色と言っても真っ暗ななかに民家の明かりがポツンポツンと見えるくらい。しばらく走ってドライブインに着くと、それぞれジュースを飲んだ。私はコーヒー牛乳。

 帰りのクルマの中も、静かだった。伯父と息子たち(私より少し年上)が、「夜はなんかスピードが速く感じるなあ」などとポツリポツリ話しているだけ。私と妹は黙って外を眺めていた。
 窓からの風が心地よい。夏の田んぼの匂い。四十年以上前は今みたいな猛暑ではなく、夏でも夜は夜らしく涼しかったように思う。

 女の子の感覚では、ドライブというと、にぎやかにしゃべりながら、どこかの景色を楽しむもの。
 真っ暗な何も見えない闇の中を疾走するものだとは思ってもみなかった。
 男の人ってこういうことをするんだなあ。なんで何も見えないのにドライブするんだろう。

 もちろん、帰省していた私達へのサービスだったと思うけれど、女どもがペチャクチャしゃべっている家族団らんを、ほんの一瞬だけ離れて走りたい気持ちもあったのかなと、大人になった今、そんなことも邪推してみる。
 
 叔父は婿養子だった。日中戦争に従軍しており、寡黙な読書家でクルマの運転が大好きだった。
 それから少しして・・・私が高校生の頃この世を去ってしまった。早すぎる死だった。

 あの夜のドライブは、コーヒー牛乳の味とともに忘れられない夏の思い出になっている。


 (天風“あまかぜ” 赤とんぼのエンジン 東京瓦斯電気工業製造)
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許されざる行為

2017年07月09日 | 男と女
 先日友人と話していたら彼女はこんなことを言うのだった。

 「最近テレビの番組でね、レイプや痴漢の話を特集してたら「それはレイプされた女のほうが悪い」っていう男たちの投書がいっぱい来たらしいよ。ひどいよね」
 
 確かになぁ~、もちろん泥棒だってそうだけど、「鍵をかけずに外出してた人が悪い」という場合もあるだろう、でも泥棒は泥棒であり、鍵がかかってなくても他人の家に入ってモノを盗れば犯罪である。人のモノを盗るという行為は罰せられなくてはならない。

 それなのに。なんで襲われた女性のほうが悪いと言われるのか。不思議である。
 できれば、レイプ犯とかに手記を書いてほしい気がする。なぜそういうことをする気になったのか。それを知りたい気がする。ここ読んでいる人で、レイプしたことのある人は、ぜひブログを開設して書いてほしい。

 また、私は「同じ男としてああいう行為は許せん!!」と男性が言ってくれるとカッチョいいと思うんだど、不思議とそういう言い方をする男に出会ったことがない。

 電車の中の痴漢の話にしても、「自分はやってないのに、無実の罪に問われたらどうしよう」とビビる声はよく聞くけれど、「痴漢行為は許せん!!」とか男性が言ってるのは一度も聞いたことがない。

 ということはつまり、男性は「特に電車の中の痴漢なんてのは社会的に許されざる行為、とまでは言い切れないのではないか、場合によっちゃ出来心、あるいはこの自分でも、もし会社にも知られず咎められず相手の女性に訴えられず・・・という条件が揃えば、つい触るかもしれない」という人がほとんどなのではないか。「っていうか、そのときの状況に応じて的確な判断を下す、という男の本能から言えば、触ることが必然的な場合だってありうる」とか何とか変な理屈を言う人もいそうな気がする。

 男の本能ってのは、ちょっとゲーム的なもの?

 私、複雑な気分なんだけど、そこを責められない気もするんですよね。
 男ってのはスキあらば触ったり覗いたりしたい連中なのだから、女が防御するしかないのではと。

 逆に「ちょっとサービス」なんてのも私はしてみたりする。
 検札に来た車掌の視線をなんとなく感じたりしながらわざと時間かけて切符出したりしてね。たぶん胸の谷間が見えてたわよね。まぁ乗務の合間にそれくらいの楽しみがあったっていいじゃないの。

 と、友人に言うと「オバサンの胸の谷間なんか誰も見てないでしょ~が!!」と爆笑しながら否定していた。
 なるほどね。オバサンの胸の谷間は見ないかもしれない。でも女の胸の谷間は見ますよ。多分。
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マザコン

2017年05月15日 | 男と女
 息子を授かったとき、「とにかくマザコンにだけはしないようにしよう」と思った。
 息子の教育方針はとにかくそれだけだった。

 強い男になってほしい、男らしくなってほしいとも思ったけど(男なら格闘技だぁ!!と思った話は以前書いた)、もし息子がオネェになってもそれはそれで受け入れようと覚悟していた。
 だけど、マザコンだけは嫌だ。

 これまでの人生で何度かマザコンと思しき男に出会ったことがある。
 私のマザコンの定義は、就職して独り立ちしているはずなのに親に何か買ってもらう(クルマとか、電気製品とか、ある程度高額なもの)、アパートなど住むところを親に探してもらう、何か大事なことを決めるとき自分で考えずに親にとりあえず相談する。

 このへんがマザコンの定義かな・・・。
 要するに、自立していない人。

 ちょっと格好よく言わせてもらうと、親の役目って子供を自立させることだと思う。
 それがすべて。
 自立していないマザコン男は、周りに迷惑をかける。つきあった(結婚した)女性を不幸にする。これは大変なことですよ。
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一人で行く

2017年05月05日 | 模型
 最近、実家の母が弱ってしまい、もうそろそろダメか・・・という感じがずっと続いている。
 病院に行き、することもなく母のそばにいると、いろいろと昔のことが浮かんでくる。

 母はアラフォーの頃、クルマの免許を取った。当時の専業主婦としてはけっこう勇気のいることだったと思う。新築したばかりの家が辺鄙な場所にあったのと、父が単身赴任で不在だったのでやむをえず・・・という必要に迫られたのがかえってよかったかもしれない。
 これがしかし、母の趣味とぴったり合うことになり、人生をすごく豊かにしてくれたのではないかと思う。
 というのも母は、野山を歩いて野草を見るのが大好きで、しかも別府はすぐ近くに自然豊かな野山が豊富で、クルマさえあれば、手頃な山歩きのできる場所がたくさんあるのも幸運だった。
 「趣味はドライブ」という人も多いと思うけど、その中身はいろいろである。
 私の周りの女性なんか見てると、せいぜい買い物・飲み食い目的程度のドライブが多いのだが、母の場合、もうひとつの趣味とぴったり合致し、自然を見るためにクルマで出かける・・・という目的がはっきりしていたのが良かったと思う。

 また、これまた女性差別かもしれないけど、私の周りの奥様連中見てると、普段の買い物は自分で行くけど、遠くにドライブするときは夫の運転で、という人がほとんどである。果たしてそういうドライブは趣味といえるのか。
 独身で寄生虫生活をしていた20代の私はよく母のクルマに乗せてもらってたけど、まさにそういうのは何の勉強にもならず身につくものもなかった。

 私はこの十数年、趣味のプラモデルの展示会に出かけることが年に何度もある。最初の頃こそ他人にお願いして宿を取ってもらったこともあるけれど、今はネットで調べてJRの切符や宿の手配は自分でする。展示会会場の近くの美術館に面白そうな展示があったら、寄ってみたりする。しかしそんなことすら夫や彼氏任せ、という女性はけっこう多い。
 今やスマホならすぐに調べられて当たり前でしょ、と思う人もいるだろうけど、10数年前はまだスマホもなく私はパソコンで自分で調べて自分で予約して・・・っていうのも、私みたいな主婦にはかなり社会勉強になった。
 まぁでも、それも夫がそういうことをしてくれないからヒガミかもしれないけど、逆に自分一人で行けるようになったのは良かったと思うようにしている。

 思うに、趣味って「自分一人で行って」はじめて本物になる気がする。一人で行くのはいつも小さな冒険である。
 誰かと一緒に行かないとだめ・・・なんてのは、子供でしょう。趣味って一人遊びが基本だと思う。

 と言ったら、「あんたの旅行は、行った先にオジサンたちが待ってくれてるんでしょう?そんなの一人旅でもなんでもねぇわ」と友人に言われましたが、まあそうかもしれない。

 
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