森の時間 SINCE 2002

Le Temps Du Bois

再びカルガリーへ - 「SUSHI HIRO」

2009年10月10日 | 紀行・乗物

Img_5811 カルガリーに再度行った。

Vancouver港に到着した品物のトラックへの積み替えに立ち会うのが一つの目的だったので、今回はVancouverに2泊した。最近のカナダの旅では、素通りするだけだったVancouverに滞在するのは、ほぼ15年振り。Img_5814

大型トラック40台ほどがロッキー山脈を越えてアルバータ州までパイプを輸送する。制限速度とルール遵守すると、ほぼ一昼夜かかる。アルバータ側から続々到着するトラック。防寒服のごついトラック運ちゃんが、途中のロッキー越えは積雪していると言っていた。Vancouverにも雨が降っている。北風が身に沁みる。カルガリー駐在時は、この港に何度となく来て、プロジェクト用膨大な量のパイプの積替えに立ち会った。20年もの年月が経過して、Img_5844再びこの同じ場所に立つ。進歩がないのか、変わらぬ仕事に再び従事していることは幸せなのか。 まああ、どちらでも良い。パイプはダメージもなく港に荷降ろしされ、トラックも順調に配車されていることを確認して、港を引き上げた。

Vancouverダウンタウンに行く途中のFraser Riverを見下ろすビルの最上階に、 客先というか旧知の人の事務所がある。市況が悪いの嘆き節を聞いていたら、こちらも元気がなくなってきた。Img_5746直ぐ近くにGrandville Islandがあることを思い出し、気晴らしにマーケットを散策することにした。

空港近くの港方面にアクセスの良い川沿いのホテルに泊った。日本レストランに溢れるダウンタウンには遠い。かつての自分であれば、どんな所にも出かけて行ったが、Img_5866出直す勇気・気力、そもそも好奇心が湧かない。心が乾いてきた。 夕食はホテルに隣接する川の上のレストラン。バーコーナーでドライスペアリブで赤ワイン2杯。それからスパゲッティボンゴレを腹に収める。

カルガリーに移動した夜、閉店時間直前の「Sushi Hiro」に走り込んだ。前回の出張では一度だけ行くことが出来たが、ランチの忙しい時間だったのでゆっくりとお話が出来なかった。今回はじっくりとカウンターに腰を据えることにした。空腹にしてお寿司を沢山食べるつもりだったが、ホテルの部屋で、メール仕事が手間取ってしまい空腹を感じたので、クラッカーをたくさん食べてしまった。失敗。Img_5960

大きな商談相手との会食、重要出張者のアテンド、心許せる友人との語らい、好い仕事した日の帰宅前の憩いの時間。映画撮影で訪れた大物俳優とも席を並べたこともあった。Sushi Hiroのカウンターには、駐在時代の良い思い出が残っている。味?Vancouver産、大西洋産、北海道・九州産の新鮮な魚介類が並ぶ。貝類の好きな私にとってはVancover沖ミル貝、最高。当時の私には、日本で食べる寿司・刺身より美味しく感じた。私にとってのSushi Hiroの魅力は、私以上に横柄で慇懃無礼なHiroさんとのカウンター越しの会話。誤解のないように付け加えると、Hiroさんはだれに対してもそのような態度をされるのではない、良からぬ態度悪しき客のレベルに合わせてくれているのだと善意に解釈している。いつまでも変わらぬ女優のような奥様を大事にし、体を張って家族を守る、男らしい人。優しくて力持ち、と言う表現がぴったりの人物。(ご本人がこのブログを読む可能性があるので、褒め千切ってます。でも、嘘っぽくなったかなあ ・・・。「過ぎたるは、及ばざるが如し」)Img_5968

「自分も枯れて来た。」とご本人は言われる。味もさっぱり系になり、野菜の煮物等が上品な味になっている。きんぴらもすごく良い味。さらに湯通しした(否、軽く焼いて湯通ししたのだったか記憶定かでない)BC産松茸を九州産カボスで頂く。それと、九州のお酒。もちろん、最後にはにぎり。東京では口にできない美味の組み合わせ。料理と日本酒中瓶2本を空にして、久しぶりの会話をたっぷりと楽しみ、さあ、お勘定。ありゃ、財布がない! 酩酊状態、どこにあるやら心当たりがない。多分ホテルの部屋だろうと、その夜は無銭飲食で引き上げた。帰り際、Hiroさんに財布が無かったら大変、見つかったら電話しろと言われていた。部屋に戻ると、案の定、部屋の机の上に置いてあった。ホッとしてそのままバタンキュウ。その翌日は客先を連れて再びSushi Hiroで、お寿司ランチ。私は前夜の財布事件はすっかり忘れていた。Hiroさんはむっつり。昨夜は、電話が来るたびに私からの電話だと、心配して連絡を待ち続けていた、と奥さんからそっと聞いた。大変、失礼なことをしてしまった。Img_5901 店を出てから、その暖かい心の重さがずしりと来た。見かけによらず(これは余計ですか)、優しい方なのです。

早くも雪がちらつく、カルガリーの夜。

帰国する前夜にも、Sushi Hiroのカウンターでひと時を過ごす。出張のもう一つの大きな目的である代金回収も、客先が期待以上に早く送金してくれたので、気分は上々。Img_6012 会話が弾む。カルガリー商社仲間Sさんがカルガリーに来た際に飲み残した九州産焼酎のボトルを空にしてしまった。

その夜の日本の天気予報では、大型台風が本土を直撃すると言っていた。私のフライトが成田到着頃にちょうど台風18号が関東に上陸するという。フライトは欠航になり、私がVancouverで足止めを食らうと思ったHiroさんは、帰り際に心のこもったお弁当、太巻きとたくさんのガリ、を持たせてくれた。何とも嬉しい、泣かせる心遣い。フライトは少しだけ出発が遅れ無事飛んだ。空港での待ち時間、Hiroさんの太巻きを頬張った。美味い!言う事なし。ぺろりと平らげてしまいそうだったが、2つ大事に残し、家に持ち帰ることにした。家内にもSushi Hiroの味を分けてあげたかった。

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