竹内貴久雄の部屋

文化史家、書籍編集者、盤歴60年のレコードCD収集家・音楽評論家の著作アーカイヴ。ときおり日々の雑感・収集余話を掲載

 「マニア」と「コレクター」は大違い!

2011年07月28日 11時09分33秒 | 雑文
 




 本日からしばらくは、2010年5月に発行された『クラシック・スナイパー/6』(青弓社発行)の特集「マニア大戦争」に際して併載されたアンケート「マニアが誇る一枚」のために書き下ろした原稿を転載します。私と平林直哉氏との最後まで噛み合わない対談がメインの読み物になっていた特集に併載されていたものです。編集人の許光俊氏にわがままを言って、「アンケート」とは言え、その趣旨を大幅に逸脱して「3枚」のLPを紹介するという、私が『クラシック・スナイパー』で続けている「名盤・奇盤の博物学シリーズ」のひとつになるような文章にしてしまったものでした。
 今回、青弓社さんのご了解をいただきましたので、当ブログに、分割してご紹介します。モノクロで掲載していたジャケット写真も、カラ―でご覧ください。

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 改めて、同特集を、対談を含めて読み直してみましたが、要するに私は、本日掲載する「前振り」部分に期せずして現れている通り、「マニア」ではなく「コレクター」なのですね。思えば、稀代の「愛書家」気谷誠氏に、「コレクターは自らのコレクションについて、語る義務がある」ということを教わり、『コレクターの快楽――クラシック愛蔵盤ファイル』(洋泉社)を上梓してから、何年経ったのでしょう。その後に様々の機会に書いたものもずいぶん溜まってきました。このブログで「分類・整理」「補遺」「自註」を続けてきましたが、そろそろ、書籍編集者としての私が、ウズウズしています。やっと、この半年ほど取り組んできた「大正・昭和初期文化」に絡んだ調査と執筆の仕事が一段落したのです。3・11震災で崩れていたCD棚の整理もほぼ終了し、(レコード棚は「完全無傷」なのです。重量がモノを言うのでしょう、とはコレクター仲間の言。)改めて関心のある演奏家やテーマ別に収蔵し直しつつあります。
 久しぶりに、音楽関連の大著をまとめたくなっています。

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 また、1行で済ませるつもりのご挨拶が、長くなってしまいました。本日は、青弓社にお渡しした原稿の「前振り」部分だけにします。 以下の部分に続けて、『クラシック・スナイパー』では3枚のLPについて書きましたが、各々長文なので、それらも明日以降、3回に分けて当ブログにUPします。このブログの読者の方は、ほんの一部しか『クラシック・スナイパー』の読者と重複していないようですが、(悲しいことに、そのくらい、紙媒体の読者の市場が小さくもなっているようですが)、既にお読みになった方も、ジャケット写真をカラ―で掲載しますのでお楽しみください。

 以下が、その原稿の「前振り部分」です。冒頭から、「マニア」と「コレクター」を混同しています。今回読み返して気づきました。青弓社さん、許さん、ごめんなさい。

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■マニアが誇る一枚/竹内貴久雄

 コレクターの「誇り」とは、「所有していることを誇る」のではなく、そのコレクションについて「どれほど語ることがあるか」なのだと思っています。その意味で、数千枚の「語るべきこと」を持ったレコードの中から、たった1枚だけを選ぶわけにもいかず、無理をお願いして、「きょう、私の目についた3枚」について、とりあえず書かせていただくことにしました。3枚あれば、私の考え方なり蒐集の方法論なりが、最小限ですが表現できると思ったからです。

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 きょうはここまで、です。