ファイアー・ウオール

ヘニング・マンケルのヴァランダー警部シリーズ『ファイアー・ウオール』を読みました。



19歳と14歳の少女二人がタクシーの運転手を殺害するという事件が起きました。動機がお金欲しさだというのですが、納得いかなかったヴァランダーは捜査を続けます。その捜査の途中で、14歳の少女のあまりの態度にカッとなったヴァランダーは少女を平手打ちにします。あろうことか、たまたま警察署に入り込んでいたカメラマンにその場面を撮影され、写真は新聞にデカデカと掲載されてしまいます。

警察内部でもこの件は問題にされます。ヴァランダーは窮地に追い込まれます。少女の事件を捜査している途中で、今度は一人の男性が深夜の散歩中に倒れているのが発見されます。検死の結果、心臓発作などの自然死とされ、事件性はないと判断されましたが、ヴァランダーには何か引っかかるものがありました。



謎のアジア人男性も浮かんで来ました。事件はIT関係の可能性が出て来て、パソコン音痴のヴァランダーにはお手上げとなってしまいます。毎回感心するのですが、作者のヘニング・マンケルは時代を反映させた作品に仕上げて行きます。最終的に事件の全貌が判明した時に、なるほどと思わせる展開だったことに感心しました。ヴァランダーシリーズも残りが少なくなって残念です。