日常のあれこれをそこはなとなく

料理、わんことの日々、海外ミステリを中心とした読書、ソフトバンクホークス、JAZZなどを書いていきます。

痛快! めった切り 「百年の誤読」

2012-11-18 07:00:00 | 読書
岡野宏文、豊崎由美という二人の書評家が、20世紀の100年間のベストセラーを読み尽くすというのが、この「百年の誤読」という本です。言うまでもなく、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」をもじった書名です。



もう、だいぶん前に文庫化されていたのに、見逃していました。あまりにおもしろくて、久々に一気読みしてしまいました。

1900年から10年ごとのベストセラーを10冊ずつセレクトし、二人が改めて読み直した結果を対談形式で述べています。1950年代くらいまでは、文学史に名を残した文豪達の代表作が並んでいます。読んだことのない本も入っていますが、だいたいの内容はわかる作品が多いです。

現在の基準で読み直していますので、当然受け止め方はいろいろあります。その中でも時間に風化されていない作品達が残っているわけです。でも、実は文学史的によく名前の出てくる作家や、作品でも、内容をしっかり確認すると、設定がいかにもだったり、無理のある筋の展開だったりしているわけです。

志賀直哉をはじめとする文豪達が軽く一蹴さているのは痛快極まりありません! 退屈でしょうがない名作もかなりあるようです。

一方、1970年代以降のベストセラーは、だんだん薄味の内容のない作品が増えてきます。この辺は、僕の実感と同じでした。そうか、こんなのあったっけ! という作品もしっかり取り上げています。



もう1冊、司馬遼太郎の「妖怪」を読みました。日野富子の時代を背景に、自称将軍の落とし子という主人公と、将軍家の愛人にとりついた唐天子という妖怪の話です。司馬作品はかなり読み込んでいたのですが、これは未読でした。

で、感想ですが、司馬作品にしては設定に無理があり、特に後半はやや破綻している感じで、イマイチでした。ただ、足利時代は、いろいろ注目すべき文化遺産があります。この時代に注目して本を探してみようかな、と思います。

ちくま書房さん、早く「百年の誤読・海外編」を文庫にして下さい。
コメント
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