名無しの教師の日誌

ある公立中学校教師の教育私論と日記です。

この仕事教師の仕事じゃないでしょう~集金編~

2018-01-05 23:34:03 | 教育に関する私論
最近、部活を縮小しようという方向で世論が動いているように思います。

教師は、スーパーマンではありません。

ただの教育に関した専門技能と国家資格を持った地方公務員です。

そして私は、以前から

教師の仕事は多様すぎるので、能率が上がらず、多忙化し、クオリティが下がる

と主張しています。

そう考えると、教師の仕事を精選しようという流れは適切ですし

その削減の候補として、部活動があがるのも理解できる話です。

しかし、「部活を減らす、またはなくせば解決する」というのは、違うと思います。

そんなわけで、部活以外の

「これ、本当に教師がやらなきゃいけない仕事なの?」

と私が考える、現在教師が行なっている仕事を紹介しようと思います。

今日は、集金編です。



公立の小中学校は、授業料および教科書代は無料です。

これは法律で定められています。

しかしながら、それ以外にも色々と学校の教育活動には必要経費がかかりまして

税金でまかなわれるものもあれば、各家庭に負担をお願いするものもあります。

その家庭負担分として、毎月1万円程度、学校から集金をされるはずです。

(この額は、地域などによって差があります)

正式名称は、地域によっても違うと思いますし、それを紹介しても意味は無いので

この記事ではシンプルに集金と呼称します。



集金は、3つの要素で構成されます。

1.給食費
2.積立金
3.教材費

(呼称は、地域・学校によって、差異があります)

この3つの和が、だいたい1万円弱くらいじゃないでしょうか。

それぞれについて説明していきます。



1.給食費

これは、名前の通り、学校給食の代金です。

学校給食が実施されていない学校では、集金されません。

給食にかかる費用のうち、何割かは税金で負担し、残りは各家庭の負担となります。

学校で集金をかけ、各家庭からお金が学校の口座に入ると

そのうちの給食費に該当する部分を、給食センターに学校から送金するというシステムになっています。

この会計処理や、未納対応が担当の教師の仕事になっているのですが

これ、教師の仕事ですかね?

水道代みたいな感じで、小中学生がいる家庭が、給食センターに直接払えば良いじゃ無いですか。

または、給食センターは、行政の給食を調理するための一部門であるいうふうに考えれば

家庭→行政という支払いルートでもいいかもしれません。

そして、未納家庭に対しては、提供をやめるのか、差し押さえをかけるのか、どちらが適切なのかはわかりませんが

いずれにせよ、給食センターか行政の方でやってくれよ、と私は思っています。

それかもう、給食センターや行政がそこまでやる気が無いなら、給食なんてやめてしまうのも手だと私は考えています。

給食をやめる、というと何かとてつもなく過激な意見だと思われるかも知れませんが

私に言わせれば「全国の高等学校で当たり前に行なわれている昼食の風景じゃ無いか」です。



2.積立金

修学旅行やキャンプ、卒業アルバム代は高いので、一気に請求をかけられないから、毎月数千円ずつ払ってもらって、積み立てを学校で預かる、というシステムです。

しかし、私は、このシステムそのものがトラブルのもとだと思うのです。

なぜならば、教師は会計士でも銀行員でもないからです。

人様のお金をお預かりし、管理する専門家ではないのです。

教師に専門外のことをやらせるから、良くて多忙化、悪くて計算ミスや不正会計になるのです。

(不正会計については、後述します)

自分が提案する新システムは

まず、積立金を集金するのを、そもそもやめる
→修学旅行等、大きな額の集金が予定される場合は、1年前と半年前に、その時点での集金予定額を周知する
→各家庭で、それを踏まえて貯金をしてもらう
→集金額が確定した段階で、業者から家庭に請求をかけてもらう
→支払いがあった家庭にサービスを提供する


です。

お金とサービスの交換は、資本主義の根本です。

それなのに、その交換に学校や教師を介在させるので、わけのわからない情けだとか、教育的配慮なるものが発生し

お金は払ってないけど旅行に行く、などという一般ではあり得ない事態が発生するのです。

例えば、修学旅行費であれば、保護者から学校へではなく、保護者から旅行会社に直接支払いをするシステムにすれば良いのです。

お金のない家はどうすれば良いんだ?

安心して下さい、就学援助があります。

(就学援助については、以前書きましたので、お暇がありましたらこちらをどうぞ。)

就学援助があるのにもかかわらず、支払いの無い家庭については、申し訳ないですけど、教師の範疇を超えていると思います。

それでも、修学旅行に行ける子・いけない子が発生することを心配するなら

修学旅行というイベントをそもそもやめてしまえば良いんじゃ無いでしょうか。



3.教材費

呼称は学校によりけりですが、要するに、給食費・積立金以外の集金です。

教科書以外に使用する教材の代金です。

年度初めになると、教科書に加え、ワークなども配られますよね?

教科書は無料ですが、ワークは無料ではありません。

そのようなワークや、リコーダー代などが、教材費です。

何を使うかは、現場の教師裁量(使わないという選択肢もあります)です。

どの地域にも必ず、地域の教材を扱う業者があり

教師が選定したワークを業者から学校で一括購入
→学校で配布
→各家庭から代金を集金
→学校から業者へ一括支払い


という流れになります。

ワークの購入は、普通年度初めに行ないます。

そのため、年度初めに一気に支払うよう家庭に要求すると、その請求がとんでもない額になるので

数ヶ月に分けて請求をかけ、学校でお金を一時お預かりし、集まったところで業者へ一括支払いになります。

繰り返しになりますが、教師は会計士でも銀行員でもありません。

このお金と商品のやりとりの間に、教師を介在させる必然性は無いと思います。

最も教師にとって都合がいいのは

「これが必要だから買ってくれ」というリストと金額を保護者に示し

日時を定めて、業者に物品販売会を開いてもらい

保護者が業者から直接購入をすることでしょう。

お金と商品の購入という、もっとも基本的な取引です。

しかしそれをやってしまうと、保護者・業者ともに従来とは比べものにならないほど大きな負担をすることになります。

なので、残念ながら現実的ではありません。

最も現実的な改善策は、事務部の拡大でしょうか。

事務部というのは、学校の職員組織の中の1部署です。

といっても、公立小中学校の場合、その構成員は1人ないし2人です。

ちなみに、事務部の職員は、事務職員であり、教師ではありません。

その職員の能力・人格にかかわらず、人数が少ないので、やれることはとても限定的です。

この人員を拡大し、今まで教師が行なってきた、教材費の処理を事務職員が行なうのが合理的では無いでしょうか。

つまり、国家ないし自治体はもっと人件費を出してくれと言いたい。



4.不正会計について

身内を売るようですが、良く行なわれている不正会計についてバラします

不正会計と言っても、横領とかではありません。

そんなことしたらすぐにばれて処分されますし

ばれるリスクが高い割に横領できる金額が小さいので、やる人はわずかです。

ここでいう不正会計というのは

「計算が明らかにおかしいのに、その原因が追及できないので、それっぽいこじつけをして、会計監査を通し、闇に葬る」

ということです。

良く行なわれるのは

「教材費(or積立金)が全体で数百円余ったので、それで清掃用具を購入し、子どもたちの清掃活動に役立てました」

です。

冷静に考えて下さい。

修学旅行だろうが、キャンプだろうが、ワークの購入だろうが、リコーダーの購入だろうが

集金かけて、学校が一時預かるお金は、必ず

1人あたりかかったお金×生徒数

です。

そして、学校から業者に支払われる金額も

1人あたりかかったお金×生徒数

です。

すなわち、教材費ないし積立金のあまりの金額が、生徒数の倍数になっていない時点で、どこかで集金ミスまたは出金ミスまたはその両方をやらかしている可能性大なのです。

しかし、繰り返しになりますが、教師は会計士でも銀行員でもありません。

会計処理は、授業等の業務の二の次に行なっている業務なので

その検証をやる時間も、能力も、ポリシーも不足している場合が多いです。

よって、謎の端数をよく分からない購入に充て、闇に葬るわけです。

会計簿はPTAによる監査を受ける場合が多いですが

PTAなんて、保護者に言わせれば

「本当は暇じゃ無いのに先生に頭を下げられたから仕方なくやる仕事」

である場合がほとんどです。

(今日におけるPTAの意義については、後日余裕があれば書きます)

また、保護者だって会計についての専門家ではありません。

この、清掃用具の購入という「それっぽい支出だけどあきらかにおかしい出金」は、たいてい、監査をパスしてしまいます



いかがだったでしょうか。

例えば、病院で、ドクターが患者を待たせて、医療報酬について計算をしていたら

「そんなこと医療事務員に任せて、あんたは診察しろよ」

って思いますよね。

それと同じです。

教師が会計処理をやらなくていいようなシステムに作り替えて、教師は授業の準備や生徒指導等に専念できた方がいいと思います。

その方が、教師にとっても、子どもにとっても、保護者にとっても、社会にとっても、プラスだと思います。

しかし、現実には、行政も給食センターもやってくれないし、事務職員も増やしてくれないから、教師がやるしか無いのです。

どうでしょうか、この状況。


最新の画像もっと見る