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土佐いく子の教育つれづれ~またあしたね〈56〉

2017年06月28日 | 土佐いく子の教育つれづれ

つながりの中で得た 今日をたぐり寄せる力

◎あるお母さんからの手紙

 保育集会での講演が終わった時、一人のお母さんが笑顔で近づいてこられました。「これ読んでいただきたくて」と手紙を渡されたのです。

  ◆   ◆   ◆

 私は、去年この集会で先生のお話を伺った後、個人的に話を聞いていただいた者です(ああ、あの方だと思い出しました)。長女が14歳の時、バレーボールの試合中に大怪我をして、いろんな葛藤に心折れてしまい不登校になり、パワーがある分、非行に走り、中三は全く学校には行けませんでした。分かってると思っていた娘の気持ち、何も分かってなかったんです。仕事も家事も下の弟二人の子育てもできずの日々が続きました。自分が保育士だからその当時〝自分の子どももまともに育てられずに、よその子どもを保育する資格は無い〟と思って仕事にも行けず、うつ病になりました。そんな話を去年聴いてくださった土佐先生は「おかあちゃん今日までようがんばってきはりましたね。娘さんエネルギーあるから絶対大丈夫や!自分で立ち上がれる日が必ず来ますよ」と私の手を握ってくださいました。

 あれから娘はせっかく入った高校も長く続かず半年で辞め、働きながら単位制の高校に編入し、今は19歳。なんとか高校三年生です。働きだしてから娘が生き生きし始めました。その頃から私のうつ病も良くなってきたんです。きっとその頃から娘の生き方を私が受け入れることができ始めたのじゃないかなと思います。

 とくに何をめざすでも無く、毎日ド派手なファッションで出勤(笑)。でもこの子、誰にも迷惑かけてないじゃないか、言い方を変えたら働き者だ!と自分に言いきかせていました。

 その娘が今、単位制の高校では何の勉強もしてないから、いきなり正看護師の学校には無理だろうから准看護師の学校から挑戦したいと打ち明けられ、そして週1回の予備校に通い始めたところです。まだまだ正直、またどこかで折れてしまわないかとヒヤヒヤしているところもありますが、一度、私も大きく崩れましたので、もう少々の事では折れないぞと思っています。この娘を今いとおしく思えるようになりました。土佐先生の「どんなあなたも大好き、失敗しても大丈夫だよ。胸をはって働き続けていきましょう」の本当の意味を身をもってわかりました。「信じて見守る」これが一番しんどいことだとも知りました。でも信じて見守っていきたいと思います。先生の「必ず自分で立ち上がるときがくる」の言葉を私の安心の糧にさせていただきながら今も前を向いて歩いています。

 先生に話を聞いていただいてあれから1年、今の姿を是非お伝えしたくてお手紙を書いた次第です。

 私は今、0歳児の赤ちゃんを担当している保育士です。そう、3人の娘、息子たちを宝だと思っている私は保育士です。働きながら子育てをしている若いお母さんたちを目一杯応援できる保育士をめざしています。もちろん保育もしっかりがんばります。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

  ◆   ◆   ◆


 帰りの電車の中で、この手紙を読み、ズーンと身体の中を走るものがあり、「おかあさん良かったですねえ」と涙があふれてきました。しかし、同時にお母さんが心の支えにしてくださった言葉も、大した苦労も知らない自分の言葉で、どれだけのことがわかってその言葉を使っているのかと自分と問答したことでした。お母さんの今日までの日々に深く頭を下げながら、私の方が今真剣に学ばせていただいています。

 どんなに辛くしんどい時も学びの場に足を運ばれてきたお母さん。職場の先輩にも心開いて相談され、耳を傾けてくださった方がいたからこそ、今日をたぐり寄せることができたんだと振り返っておられます。子育てを通して、本当にたくさんの「つながり」という宝物をもらい、支えてくださった方に感謝の気持ちでいっぱい、生きててよかったですと笑顔です。

 私もあなたという人と出会えてほんとうによかったです。心からそう思っています。

(とさ・いくこ和歌山大学講師)

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