“からだ”について考えます

私は名も無き一整体師です。日々の実践の中で気づいたこと、大切だと思うことを書いていきます。参考になれば幸いです。

胃の不調‥‥背骨が捻れている場合

2017年05月19日 | 内臓の働き

 胃の不調を訴える方々の状態を観察しますと、大きく3つくらいのパターンに分けられるようです。

  1. 胃そのものが不調だったり病気の状態だったり場合
  2. 胸郭の動きが悪くなっていたり、腹筋のこわばりが胃を圧迫している場合
  3. 背骨が捻れている影響で呼吸や胃の状態が悪くなっている場合

 ですから、同じように感じる胃の不調であったとしても、少なくとも3つの側面から状態を確認して対応しなければならないと私は考えています。

 今回は、3番目の背骨が捻れているために胃の調子が悪くなっているケースについて取り上げます。

 その方は女性ですが、「子供の頃から胃腸が弱かった」ということです。二人のお子さんを持つ母親である現在も、しばしば胃の不調に悩まされています。自覚症状としては、食事が食べられなくなるほか、背中の上部に硬結と圧迫感を感じる、胃の存在感を感じるなどですが、その他、呼吸が浅くなって息苦しい症状もあります。

 からだに対する私の観察では以下の状態が見られました。

  1. 胸郭が狭く(正面から見ると“細い”)なっているため胸郭内の臓器(肺、心臓、肝臓、胃、食道)が圧迫された状態になっている。
  2. 本来は呼吸に合わせて動いている胸郭の動きがほとんど無く、横隔膜の動きも悪いので、酸欠状態に近くなっていると思われる。
  3. 胸椎の4~6番が大きく右(頭部から見ると反時計回り)に捻れていて、その右側が盛り上がるように硬く張っている。他に同じような捻れを持つ脊椎は頚椎2番、6番、7番、腰椎4番。

 胃の不調や器質的変化の兆候の一つとして“背中のハリ感”があります。胃は張ると背中側に膨らむということですが、そうなりますと“胃がもたれる”状態を超えて“背中が張って息苦しい”状態になるようです。背中を床につけるのが嫌なので仰向きで寝ることが出来ず、横向きやうつ伏せ寝でないと眠れなくなってしまうかもしれません。

 さて、こんな状態の方ですが、捻れている胸椎を私の手を使って正しい状態に戻しますと、途端に息が入って呼吸が楽になるのが感じられました。そのままその状態を少し保っていますと、「胃や腸が楽になる」と仰いました。そして、私が操作していた手を胸椎から離してしまいますと、すぐに不調の状態に戻ってしまいました。
 つまり、今回の胃の不調と背中のハリは胸椎が捻れていることが主な原因だったということです。ですから、胸椎の状態を改善できれば胃の不調は改善されるということですので、そのような施術を行っていきました。

 胸椎の上部では頚椎の6、7番が同じような捻れをしていました。そしてその上部を探っていきますと頚椎2が同じように捻れていまして、その頚椎2番を私の手で正しい位置に戻すと、頚椎6、7番、と胸椎3~5番の捻れも戻り、呼吸と胃の状態が楽になるのが確認できました。ですから、頚椎2番の捻れを修正することが、今回の問題を解決するための施術になります。
 途中の経過は省きますが、左肩関節と左手に問題があって頚椎2番が捻れた状態になっていましたが、その原因をさらに追っていきますと左の膝関節で下腿(膝下)が外側にズレていて、その原因は左足にありました。この方は腰が大変悪く、その影響で歩き方に問題があります。現在、歩き方を直すことに取り組んでいますが、その過程で左足のバランスが悪くなっていること、さらに目の使い方や頭の使い方の癖(考え方の癖など)もあって頚椎が捻れやすいという要素を常に持っています。
 「子供の頃から胃の調子が悪い」ということでしたが、もしかしたら腰を悪くする以前から歩き方がおかしかった状態で、そこに頭や目の使い方の問題が絡んだときに“胃の不調”がやってきていたのかもしれません。

 別の例では、「この何日間か胃の調子が悪く、背中が張って頭もモヤモヤ重たい」という方が来店されました。上記の例の方ほど状態は悪くありませんが、やはり胸椎6番が頭から見て反時計回りに少し捻れていました。この方の場合は頚椎2番が上記の例とは反対に時計回りに捻れ、かつ少し左にずれていました。原因としては二つありまして、一つは眉間から眉にかけてこわばっていたこと、そしてもう一つは右顎につよい噛みしめがあったことです。

 上目使いをする人、猫背などで首が前にでている人は物を見るときに眉間から眉にかけてのラインに力を入れてしまいますので、そこがこわばっていることが多いです。すると後頭骨と頚椎1、2番を繋いでいる後頭下筋群がこわばりますので、頚椎2番の棘突起を引き寄せるためストレートネックになったりします。また食いしばったりして顎の筋肉(そしゃく筋)がこわばりますと頚椎1番を引き寄せます。おそらくその力関係で、頚椎1番が右にずれた反動で2番が左にずれ、なおかつ時計回りに捻れたのではないかと思われます。ですから、右顎のこわばりを取って、眉間周辺のこわばりを取る施術を行いました。
 「どうして眉間に、特に右側の眉ラインやおでこに力が入ったのですかね?」と尋ねますと、「スマホを買い換えたばかりで、けっこう凝視していたからかなぁ‥‥」と思い当たることがあったようです。

 「肩こりをほぐして欲しい」と来店される方の場合、ベッドにうつぶせ寝の状態から施術に入るのがほとんどです。最初に背中の様子を見ますが、私は背中を大きく4つの区分に分けて観察します。背中の上部、肩甲骨の部分までが第1区分、その下~胸郭の上2/3くらいまでを第2区分、胸郭の下1/3~腰部の上部までを第3区分、そしてその下から骨盤までを第4区分といった感じです。
過去のブログでは背中を3つの区分に分けて記事を投稿しましたが、今は4つの区分に分けた方がより実用的であると考えています。)

 第1区分のハリの多くは肩甲骨の位置がズレていることや肩甲骨に関わる筋肉がこわばっていることが原因です。そして第2区分のハリは胃の状態などに関係していると考えています。第3区分は腎臓の腫れがハリをもたらしている可能性が高いと思いますし、第4区分のハリは腰痛に関連する筋肉のこわばりである可能性が高いと言えます。

 そのように観察しながら施術を行いますが、第2の区分にハリや硬さなどがある場合は、胃の調子などを尋ねるようにしています。肩が凝る
要因はいくつかありますが、胃腸の具合が悪いときに肩が張ってしまうことはよくあることです。ですから、肩こりを解消してスッキリしていただくためにも、胃の調子に関連した背中のハリは気になるところです。
 そして、背中の第2区分にハリがある場合は、大抵胸椎が歪んでいます。胃が張っているから胸椎が歪んでいるのか、それとも胸椎が歪んでいるから胃が張っているのか、それをしっかり鑑別して施術を行わなければなりません。そこで間違ってしまいますと“無駄な施術”、“意味の無い施術”になってしまいます。

 余談になりますが、仰向けで眠ることが出来ない人がけっこういます。①座り仕事が多くて腰や股関節の筋肉がこわばって伸びない、②舌がゆるんでいたり、喉が捻れていて仰向けだと気道が狭くなってしまい、イビキ、無呼吸になってしまう、③内圧の高くなった(腫れた)腎臓が肋骨で圧迫されたり、胃の張りで背中を床に着けたくない、などの原因が考えられます。

脊椎の調整と背中のツボ
 東洋医学では、背骨に沿って内臓を調整するためのツボ(?穴)があると考えられています。また、内臓の働きを調整している自律神経も背骨に沿って通っていますので、「背骨に沿って?穴を指圧すると内臓の働きが調整される可能性がある」と整体の学校では教えます。実際、お客さんの反応は「気持ちいい」「心地良い」というのが大半ですので施術に取り入れることも多いのですが、「本当に、内臓の調整効果があるのだろうか?」と思いますので、そのうち実証実験をしてみたいと考えています。
 ところが、歪んでいる脊椎を調整しますとからだの状態が変わることは実体験としてわかっています。頚椎の歪みを直しますと、モヤモヤしていた頭がスッキリしたり、噛みしめて痛みや重苦しさを感じていた顎周辺が楽になったり、動きの悪かった首が良く回るようになったりします。腰痛の時は大概腰椎が歪んでいますので、腰痛を改善するための道標として腰椎の状態を確認しながら施術したりします。そして胸椎の歪みを直すことで、呼吸が改善し胃腸の調子が良くなったりします。

 おそらく現代医学ではこのような観点はないでしょうから、“背骨の微妙な歪みや捻れが体調不良の原因かもしれない”という発想はないと思います。しかし現実は現実ですから、背中のツボの件も含めて、背骨と体調との関係を研究して医療の現場に取り入れていただきたいと願っています。

 胃の問題に対する別のアプローチについては別途取り上げたいと考えています。

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