対話とモノローグ

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楕円軌道の発見3

2017-07-13 | 楕円幻想
3 ケストラーの直角三角形

ケストラーの図を知ったのは1970年代の後半である。その後、何度か見たが、長い間、謎であった。『ヨハネス・ケプラー』(ケストラー著、小尾信弥・木村博訳、河出書房新社、1971、(新装版)1977、/ちくま学芸文庫、2008)

いまようやくわかってきた。図の前後を確認しておこう。
(引用はじめ)
彼は、軌道の種々の点における20個の火星-太陽間距離をまったく完璧に計算した。それによると、やはり軌道はある種の長円であって、相対する2つの端で内側へ平たくなっている円のようであった。したがって、その円と火星軌道との間に、狭い鎌形あるいは弓形が残されることになる。その鎌形が最も厚い所でのその幅は、半径の0.00429倍になった。
その時点で何ら特別の理由もなく、ケプラーはMにおける角度に興味をもった。太陽と軌道中心との間にできる、火星から眺めた角度のことである。この角度は「光学差」(視覚的均差のこと、引用者注)と呼ばれた。もちろん、それは火星が軌道にそって運動するにつれて変化する。その最大値は5度18分である。ついで起こったできごとはケプラー自身の言葉ではこうなる。
……ちょうどこの厚さ0.00429の鎌形が、なぜ、またどのようにして存在するようになったのかと疑問に思っていた。(中略、引用者)……私はまったく偶然に、あの最大光学差の大きさである5度18分なる角度の、セカントを調べてみたのであった。このセカントが1.00429に等しいことを知ったとき、私は眠りからさめたような気がした。
それは真の夢遊病者の芝居であった。最初の一瞬は0.00429という数の不意をつく形での再登場は、ケプラーには奇跡の見えたに相違ない。しかし即座にケプラーは了解した。見かけは奇跡のように見えるが、それは、Mにおける角度とSまでの距離との間の一定の関係に、軌道のあらゆる点に対してあてはまらねばならぬある関係によるのでなければならないと。
(引用おわり)
セカントには次のような注がついている。
Mにおける角度の「セカント」は、MC対MSの比である。(訳注 離心率が小さいとすると、角CSMは近似的に直角となる)。
これによるとケストラーは三角形CSMを直角三角形と考えてここにセカントを見ている。しかし、ケプラーが調べたセカントはこの三角形ではない。角SCMがぴったり直角の直角三角形SCMである。このMはケストラーの図には表示されていない。このMは厚さ0.00429を示す右向きの矢印の先端に位置している。それは離心円の上にある。
ケストラーの直角三角形は2重にまちがっている。Mが離心円上にない。角SCMが直角の直角三角形ではない。
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