あるところにたいそう蚊に刺されやすいここ住がいた。
ここ住は庭の無花果が熟れてきたので、採りに行きたいと思った。
庭には草がいっぱい生えていたので蚊がいた。
ここ住は「決して刺されてはなるまい、無事に帰れるように」と、ハッカ油を体中に振りかけた。
これでよし。
無花果の木までいくと熟れているのが三個、一個は鳥に食べられていた。
三個をポケットに入れ無事帰ってきた。
やれやれとつぶやいたここ住は、何やら耳のあたりがかゆいことに気付いた。
これはしたり。
耳にハッカ油を塗るのを忘れていた…
蚊よ、おまえは平家の怨霊か。
ベベッ ベ ベンン!