廃棄物彩生処

主にジムニーの廃品利用による改造、メンテ、及び4×4トライアル競技などを掲載する場として・・・・!

ディーゼル車のブレーキブースターは

2010年12月28日 | 車関係あれこれ
 所有するランクル・プラド(KZJ71G)のブレーキを調べていたら、意外なことが判明・・・

 ディスクブレーキは、ドラムブレーキのような自己倍力作用がないため、高い油圧が必要であり、このためディスクブレーキのマスターシリンダーには必ず ”ブレーキブースター”が付けられており、小型ガソリン車のこのブースターは、インテークマニホールド内に生じる負圧と大気との圧力差を利用して、ブレーキペダルの踏力を軽減するようになっている。

 ところが今回、プラドのマニュアルを見ていたところ、このブースタの負圧は専用のバキュームポンプ(真空ポンプ)で作っているのである。
 これは、ディーゼルエンジンのインテークマニホールドにはスロットルバルブが無く、大きな負圧が生じないために、バキュームポンプで負圧を作る必要があるのである。

 ブースターとバキュームポンプの関係図

 バキュームポンプ図

 このポンプはクランクシャフトの歯車とインジェクションポンプドライブギヤの間に入るアイドルギヤに噛み合い駆動する。
 反対側(背合わせ)にパワステ油圧ポンプが組み込まれる。 

 クランクシャフト周りのギヤ配置図

 この車は10数年間、日常の足として使ってきたが、故障しない限りいじらないので、構造はほとんど分かっておらず、特にディゼルエンジン関係はは興味がなく、全く分っていない。

 先日、ブレーキキャリパーの構造の違いが分かり、今回、バキュームポンプが必要なことを知った。また、タイミングベルトがクランクプーリーからでなく、ギヤを介した別シャフトで駆動していることも分かった。
 この車は年式も古く税金も高額なことから今回、貨物への用途変更により経費低減をして、乗り続けることにしたのだが、どうやら、自分の研修用車両となるようだ・・・!

※ドラムブレーキの自己倍力作用とは?
 ・ブレーキシューがドラム内面にくさびのように食い込んで、大きな摩擦力が生じる作用のこと。 この効果が大きく出る ”2リーディング式”はフロントに用いるが、後退時には全く効果がない。


【参 考】
〔ブレーキ補助システムのいろいろ〕
○バキューム・ブレーキ
 ・上述のようなブースターに負圧を利用して、ブレーキペダルの踏力を補助するブレーキ装置

○エア・ブレーキ
 ・コンプレッサーで作った空気圧(正圧)をエアタンク内に貯めておき、これを利用するもので、小型で大きな制動力が得られるため、大型のバスやトラックに使われているようだ。

○排気ブレーキ
 ・エキゾーストパイプにバルブを設け、この排気圧を利用するもので、大型トラックに多く用いられている。

○電磁式ブレーキ
 ・電磁クラッチを利用して、ドラムブレーキを作動させるもので、構造が簡単で応答が素早くコントロールがし易い。連結走行するトレーラーは、ブレーキ系統の着脱するが、この着脱をケーブル端子でできる利点がある。


〔ディスクブレーキが万能か?〕
 最近の四輪車やバイクのフロントブレーキは、ディスクブレーキが主流であり、これが万能かと思われそうだが、そうでもないようだ。
 ディスクブレーキの特長は
 ・放熱性がよいためフェード現象が起きにくく、高速時制動力が安定している。
 ・自己倍力作用がないためパッドの摩擦係数が変わっても制動力の変化が少なく、左右の片効きが出にくい。
 ・ディスクに水や泥が付いても、遠心力ではね飛ばされるため、制動力の回復が早い。
 ・自己倍力作用がないため、ペダル踏力に比例した制動力と制動フィーリングが得られる。
 ・ディスクとパッドのクリアランスが一定で、調整が不要であり、またパッド交換が短時間でできる。これはレース用には重要である。

 しかし、ブースターを要し大きな制動力を得るには装置が大型となる。このため、重量の大きなトラックは、システムが単純で自己倍力作用のあるドラムブレーキが使われている。
 自分がトランスポーターとして所有している中型トラックは、ドラムブレーキであり、その制動力は抜群である。



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10 コメント

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ブレーキについて (ポン)
2011-06-12 17:42:07
第一のフットブレーキや
第ニのエンジンブレーキの他に
第三のブレーキである排気ブレーキは
排気圧を利用するのではなく
排気ガスの通り道を
シャッターで絞ることによって
エンジンブレーキを強く効かせることが
出来る装置であります

第四のブレーキとして
圧縮開放ブレーキというものがあります
日野エンジンリターダ
ふそうパワータードブレーキ
日産EEブレーキなどがそうです

またその他に
流体式リターダ (ふそう)
電磁式リターダ(UDなど)
永久磁石式リターダ(ISUZUなど)
などがあります

電磁ブレーキというものは
存在しませんが電磁式リターダと
勘違いされているかもしれません?

なお今現在大型車の
パーキングブレーキは
スプリングブレーキという
ホイールパーク式駐車ブレーキの
搭載が義務付けられておりますし

フットブレーキに関しましては
以前良く採用されていた
空気油圧複合式廃止され
空気圧式になりました

空気圧式は
今でもトレーラーの台車などでは
Sカム式が主流ですが
トラックやトラクタなどは
ウェッジ式フルエアーになりました

以上補足でした…
追加です (ポン)
2011-06-12 17:48:34
ということで
豪華装備の?トラクタには
フットブレーキ(ウェッジ式フルエアー)
排気ブレーキ
圧縮開放ブレーキ
リターダ
トレーラーブレーキ(Sカム式)
駐車ブレーキ(ホイールパーク式)
合計6種類のブレーキが
搭載されております

追伸
以前のトラクタはマキシブレーキも
搭載しておりましたが
駐車ブレーキがホイールパーク式になり
廃止されたようです…
トレーラーだと… (ポン)
2011-06-12 17:55:11
ちなみにトラクタとトレーラーの間で
接続してあるコネクターについてですが

1ジャンパーケーブル(電装関係)
2エマージェンシーライン(常時供給)
3サービスライン(ブレーキ操作)
(2と3はエアーチューブです)
この3点は定番ですが車種によっては
この他に下記の4点の配線も加わります

4ABS
5リターダ
6アンチジャックナイフ(フルトレのみ)
7リターダ
8カメラ
ありがとう! (ki9)
2011-06-13 19:53:35
ポンさん>こんばんわ、補助ブレーキについてのご指摘、誠にありがとうございます。

 この記事には1996年発行書籍を参考にしたことから、今は使用されていないもや、私が書き違えているものがあったようですね。

 トラックは馴染みがなく、大変参考になりました。

 排気ブレーキは、間違っておりますね。私のキャンターにも付いており、常時ON、下り坂は勾配に応じてON-0FFしてエンジンブレーキ力を調整しながら走ってます。
どうも! (ポン)
2011-06-16 06:48:53
私は以前フルトレーラーとか
セミトレーラーに乗っていたのですが
SCANIAのセミトラクターは
すごかったですよ…
16速ATで排気ブレーキを含む
5段リターダー装備でしたから
レバーでガンガンシフトダウンしながら
リターダレバーを5段目にすると
フットブレーキ踏まないで
停止寸前まで追い込めますw
ほとんどブレーキ踏まないので
ライニングが減らなくていいですね
訂正 (ポン)
2011-06-20 22:31:40
間違えたので訂正…

1ジャンパーケーブル(電装関係)
2エマージェンシーライン(常時供給)
3サービスライン(ブレーキ操作)
(2と3はエアーチューブです)

最低この3つになりますが
車種によってはこの他に
下記の4点の配線も加わります

4ABS
5リターダ
6アンチジャックナイフ(フルトレのみ)
7ダンプロック
8カメラ
Unknown (ki9)
2011-06-21 00:32:23
ポンさん>丁寧にありがとうございます。
重量車両、特にトレーラとなればブレーキが最重要だから、色んな装置がついているんですね。
車といより、大型の機械装置のようですね。

それからすると、乗用車はなんと単純なブレーキ装置なんだなぁと思いました。
大変参考になりました。ありがとうございました。
ブレーキについて (ポン)
2011-06-25 14:28:50
重量級の大型車両の運動エネルギーを
熱エネルギーに変換して作用する
摩擦ブレーキだけで
減速したり停めるというのは
ライニングが減りまくるので
本来かなり不経済ですよね…

そこで今現在は合計5種類の
ブレーキを使用しておりますが…

フットブレーキ
エンジンブレーキ
排気ブレーキ
圧縮開放ブレーキ(エンジンリターダ)
リターダ

またSCANIAトラクタは
大型車両なのになんと
ライニングの押し付ける
面積が広いドラムブレーキと違い
パッドの押し付ける
面積が狭いディスクブレーキなので
かなり摩擦力のあるパッドで
相当な力でディスクを挟み込むため
すぐにパッドやローターが
磨耗してしまうため
リターダ使用が前提となっており
緊急時以外は停止寸前まで
リターダで減速し最後だけ
フットブレーキを使用して下さいと
説明書に記載してあります

でも本当の理想はハイブリッドですよね…
重量級の大型車両の運動エネルギーを
電気エネルギーに変換して
バッテリーに充電し発進時にモーターで
アシスするような形を取らないと
もったいないと思いますね…

それではまた!
ブレーキブースター (ポン)
2011-06-25 14:44:11
度々すみません…

今現在私が乗っております乗用車は
ディーゼルの為スロットルがないので
ブレーキブースターを搭載しておりますが

今の車はガソリン車でも
プリウスなどのハイブリッドカーや
バルブマチックエンジンを搭載した
ノア&ボクシーなどはスロットルがない為
ブレーキブースターを搭載しておりますね…

まあ厳密に言うとそれらの車も
スロットルは搭載していますけどね…

ただしフェールセーフ機能として
スロットルを搭載しているだけなので
通常は動かさず異常が起きたときのみ
暴走しないように作動させる
目的のスロットルということになりますね
Unknown (ki9)
2011-06-28 01:26:37
ポンさん>色んな情報提供ありがとうございます!
最近の大型車にはディスクブレーキがあると聞きましたが、やはりそんな問題があるんですね。

 おっしゃるとおり重量車のブレーキ損失エネルギーはもったいないですよね。近いうちにハイブリッドのような形になるんでしょうね。


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