しつこいですが、またまた坂木司さんの本の紹介です。
<『ワーキング・ホリデー』 坂木司 著 文春文庫 刊 >
元ヤンでホストをしていた主人公「沖田大和」の元にいきなり息子と名乗る小学生がやってきます。
子どもと夏休みを過ごすためにホストの仕事を辞めて、宅配便の配達員になる主人公。
最初は仕事も嫌々でしたが、父親らしくなっていくに連れて仕事もきちんとやる様に・・・・。
周りの登場人物もとても温かい人ばかり、たくさんの人に支えられ助けられて成長していく主人公。
最後には立派に親の気持ちを表現していて、思わず泣けてしまいました。
こちらは、あまり推理らしい推理が出てきません。
(「推理」らしい推理が入っていたのは、日に何度も集荷を依頼する謎の女性の話くらいです)
それでも十分普通の小説として楽しめる素敵な作品です。
こういうのも何だかいいなぁ・・・と思いました。
実は『先生と僕』の最後に意味不明な短編小説が載っていたのです。
その題名は『ホリデーとホテルと僕』
私は、最初に最新作である『先生と僕』を読んでいたので、意味不明だったのですが、『ホテルジューシー』とこの『ワーキング・ホリデー』も読んだら分りました。
全てがつながっていたのです。
最初に大学に沖縄土産の宅配便を届けるのが、この『ワーキング・ホリデー』の主人公で、その後も子どもとの交流があることを物語っています。
次は、『ホテル・ジューシー』の主人公「ヒロちゃん」がアルバイト先から送ったお土産が大学の研究室に届けられると言うもの。
オーナー代理やお掃除担当の双子のおばあちゃんも少しだけ登場します。
最後が、『ホテル・ジューシー』の主人公と同じ大学に通っているという設定になった『先生と僕』の主人公。
推理小説研究会の先輩から「ヒロちゃん」のお土産の一つだった藁で出来たハブのおもちゃをもらう・・・というもの。
全ての小説を読んだ人だけが分るというお楽しみ

これが、読者にはちょっと嬉しい贈り物です。
他にもこの小説の中にクリーニング屋の名前入りタオルが出てくるのですが、それが『切れない糸』の主人公の店、「アライクリーニング店」なのです。
坂木さんの作品を読んでいないとわからない。
けれど、それを見つけることが出来ると、ちょっと得した気分になれますよ。