ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

米国はパリ協定離脱宣言を撤回すべし5

2017-07-01 08:47:32 | 地球環境
●「トランプの科学」のからくり

 日本経済新聞社シリコンバレー支局の兼松雄一郎記者は、日経電子版2017年4月7日付に、興味深い記事を書いた。
http://college.nikkei.co.jp/article/96391414.html
 その大要は次の通りである。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 トランプ政権は、主要な科学者やメディアの発する情報は嘘なのではないか、との疑いを繰り返しばらまいている。だが、決して科学に対して無知なのではない。科学者の主張を理解した上で、あえて疑いをばらまくのが「トランプの科学」。エリートである科学者たちを否定する階級闘争の『物語』によって大衆を魅了し、意識的に人気取りに利用する。たばこやエネルギー業界のロビイストが使ってきた手法を大衆の娯楽にする政治手法へと昇華させたのが、「トランプの科学」の神髄だ。
 米アリゾナ州トゥーソンの北東の荒野に、アリゾナ大学の研究施設「バイオスフィア2」がある。地球の小型模型として気候変動の影響などが研究されており、宇宙への移住を想定し、閉鎖環境での長期生活実験をしていた。1990年代半ばにコストカッターとしてここに呼ばれたのが、スティーブン・バノン氏だった。「科学者たちの多くはここで観測できる現象が地球でも起きると考えている」と同氏が語る当時のインタビュー動画が残っている。少なくともバノン氏は当時から科学者の多くが温暖化を認めていることを認識していた。ところが、今や、同氏はトランプ政権の首席戦略官となり、政権の温暖化否定政策に大きな影響をふるっている。バノン氏は無知なのではない。科学的な確からしさよりも大衆に受けるメッセージを政治的にあえて選んでいるのだ。
 科学史家のハーバード大教授ナオミ・オレスケス氏は、著書『世界を騙しつづける科学者たち』という本で、次のようなからくりを指摘している。「たばこや温暖化の問題で、権威のある科学者が自分の専門外の分野で疑いをばらまく。少しでも疑う科学者がいれば、主要メディアが両論併記するため、科学的に結論が出ていないということになる。疑いをばらまくことをなりわいとする科学者を業界が支援し、それによって規制を遅らせる。それによって業界が既存の利益構造をできるだけ延命させる」と。
 トランプ政権の態度は「科学の否定」ではない。むしろ前提を疑うという一見科学的な態度を取り、畑違いの科学者の権威に頼り、科学的知見を部分的に引用して主張の中に取り込んでいる。同時に近代科学を近代科学たらしめている事実検証の手続きに対しては、驚くほど不誠実だ。再現可能な形で証拠を示し、相互に検証し合い、共同体として同意した事実を積み上げていく。近代の科学者の共同体が作り上げて来た体系に敬意を払わない。そうした知的に不誠実な振る舞いをしてもトランプ政権が一定の支持を集めるのは、米国において科学者共同体と教育水準が相対的に低い大衆との間に絶望的な知識の断絶があるからだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

●米国をはじめとする各国で科学者が行動を起こしている

 トランプ政権に抗議する科学者は、大規模な行動を起こした。2017年4月22日、科学者のデモ行進「マーチ・フォー・サイエンス」が、米ワシントンをはじめ世界各地で開かれた。「地球の日(Earth Day)」に合わせて、展開されたものである。科学者有志がインターネットで呼びかけ、「米科学振興協会(AAAS)」などが支援した。AAASは、世界最大級の学術団体であり、学協会単位の加入もあり、会員総数は12万人を超える。世界で最も権威のある三大学術誌の一つ「Science」を発行していることで知られる。
 行進の当日、ワシントンでは1万人以上(米メディア推計)が参加した。科学者らは、ホワイトハウス前で「温暖化は事実だ」「温暖化は“フェイクニュース”(偽のニュース)じゃない」「科学を黙らせることはできない」「米国に賢さを取り戻せ」などのプラカードを掲げ、連邦議会へ行進した。参加者は、トランプ大統領による地球温暖化の否定やトランプ政権が計画する温暖化対策をはじめ環境関連の研究費カット、環境保護庁や米宇宙局(NASA)などでの科学者の解雇・リストラなどの動きを強く批判し、科学に基づかない政策の後退について反対を表明した。
 主催者発表によると、科学者らによるデモ行進は、世界の600カ所以上で実施され、数十万人が参加した。ロンドンで開かれた集会には、数千人の科学者や市民が参加し、「地球温暖化は現実だ」などと書かれたプラカードを掲げて市内を行進し、トランプ政権に抗議するアメリカの科学者たちに連帯を示そうと訴えた。日本では、東京や茨城県つくば市で集会が行われた。北極にいる探検家もツイッターで参加表明したと伝えられる。
 この日、トランプ米大統領は、「経済成長と環境保護」の両立をめざす現政権にとって「厳密な科学は非常に重要な意味を持つ」とする声明を発表した。トランプ氏は声明で「環境やそのリスクへの理解を深める科学研究の発展に、我が政権は全力で取り組む」「厳密な科学はイデオロギーでなく、誠実な研究と妥協のない議論にかかっていることを心に留めるべきだ」と強調した。ところが、その同じ日に、ツイッターでは「雇用が重要だ」「経済成長が環境保護を強化する」とも発言し、経済重視の立場を改めて表明し、「米国の労働者を傷付けずに環境を守ることは可能だし、そうしなければならない」と訴えた。明らかに本音は、ツイッターの方にある。

 次回に続く。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« ユダヤ69~幕末・維新期の... | トップ | ユダヤ70~ロシア皇帝と巨... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL