中国は昨年、経済成長で壁にぶつかり、覇権外交でも壁にぶつかった。石平氏は、平成23年(2011)を『中国神話の崩壊の年』と位置付ける。本年、中国は欧州債務危機の影響で、経済が急減速する可能性が高い。また中長期的には、中国からの移民がわが国の国家と社会のあり方を、大きく左右する恐れがある。わが国は、中国に対し、政治・外交・安全保障・経済等、総合的な政策を策定して、国益の保持を図る必要がある。
平成24年(2012)1月、対中国政策として注目すべき提言が出された。公益財団法人日本国際フォーラムによるもので、「膨張する中国と日本の対応」と題され、野田相に提出された。また1月27日付けの産経新聞、朝日新聞、日経新聞、ジャパン・タイムズの各紙に「意見広告」として発表された。
内容は日本国際フォーラムのサイトに掲載されている。
http://www.jfir.or.jp/j/index.htm
私は以前、同フォーラムの「外国人受入れの展望と課題」という政策提言を、拙稿「トッドの移民論と日本の移民政策」で紹介した。このたびの提言も、政治・外交・安全保障・経済等の専門家が結集し、総合的な対中国政策を立案・提示しており、私は方向性において賛同する。そこで、ブログ・SNSを通じて紹介したいと思う。
政策提言「膨張する中国と日本の対応」の主旨は、次のようにまとめられよう。
――冷戦後の世界では、各国は狭義の国益を超えて、地球規模の課題に取り組むことを求められているが、その課題に正面から取り組む用意のある「ポストモダン」段階の諸国が「不戦共同体」諸国であるのに対し、必ずしもそのような用意のない「モダン」段階の諸国として中国やロシアなどが存在し、抵抗している。
グローバル化する世界経済のガバナンスの担い手がG8からG20に拡大したように、冷戦後の世界秩序を形成し、維持する「不戦共同体」の担い手のなかにも、中国やロシアを含む「モダン」段階の諸国を取り込んでゆく必要がある。それを「関与」政策と呼ぶ。「関与」こそは、日本あるいは「不戦共同体」の対中政策の大局的判断の基本でなければならない。「膨張する中国」の問題は、いまや日本一国の問題ではなく、米国はもとより、価値観を共有するその他の「同志国」と広く協調し、共同行動を取らなければならない問題である。「関与」政策は、その目的を達成するために、一連の整合的な政策体系をもつ必要がある。――
政策提言「膨張する中国と日本の対応」は、上記の主旨のもとに、具体的な政策を提示している。次の9項目である。
提言1 日本の領土、領海、主権、尊厳を守るための体制に万全を期せ
提言2 有事の自存自衛体制をハード、ソフト両面から見直せ
提言3 日米同盟の信頼性維持のために日頃から最善の努力をせよ
提言4 各般の分野で中国との「関与」関係をいっそう強化せよ
提言5 多国間対応を「不戦共同体」に発展させ、中国も参加させよ
提言6 「六者協議」、「日中韓首脳会議」に地域安全保障機構としての役割を持たせよ
提言7 中国に地球的規模の諸問題における国際貢献の強化を促せ
提言8 中国経済の活力を導入すると同時に、中国経済への過度の依存を避けよ
提言9 オピニオン・リーダー・レベルでの相互理解を深化させよ
私はこれら提言の多くに主旨賛同する。
●財団法人日本国際フォーラムとその提言
公益財団法人日本国際フォーラムは、「独立・民間・非営利の国際問題・外交政策の審議・研究・提言機関を日本にも設立する必要があるという認識に基づいて、昭和62年(1987)に大来佐武郎氏、服部一郎氏、伊藤憲一氏ほか60名の参加により、「会員制の政策志向のシンクタンク」として設立された。
同フォーラムは、国際政治・外交・安全保障・国際経済・環境・人口・エネルギー・食糧等、幅広い分野について、様々な政策提言をしてきた。その第35番目の政策提言が「膨張する中国と日本の対応」である。
この政策提言には、有識者68名が署名している。日本の国益を重視する国際派の保守ないし保守系のリベラルが多いようである。署名者のうち、私の目を引いた有識者を列記する。
政策委員長
伊藤憲一(日本国際フォーラム理事長)
政策委員
愛知和男(日本戦略研究フォーラム理事長)、安倍晋三(元 内閣総理大臣)、大宅映子(評論家)、神谷万丈(防衛大学校教授)、左近允尚敏(元海将)、島田晴雄(千葉商科大学学長)、田久保忠衛(杏林大学名誉教授)、袴田茂樹(青山学院大学教授)、本間正義(東京大学教授)、森本敏(拓殖大学海外事情研究所長)、屋山太郎(政治評論家)他
具体的な内容は次回から掲載する。
平成24年(2012)1月、対中国政策として注目すべき提言が出された。公益財団法人日本国際フォーラムによるもので、「膨張する中国と日本の対応」と題され、野田相に提出された。また1月27日付けの産経新聞、朝日新聞、日経新聞、ジャパン・タイムズの各紙に「意見広告」として発表された。
内容は日本国際フォーラムのサイトに掲載されている。
http://www.jfir.or.jp/j/index.htm
私は以前、同フォーラムの「外国人受入れの展望と課題」という政策提言を、拙稿「トッドの移民論と日本の移民政策」で紹介した。このたびの提言も、政治・外交・安全保障・経済等の専門家が結集し、総合的な対中国政策を立案・提示しており、私は方向性において賛同する。そこで、ブログ・SNSを通じて紹介したいと思う。
政策提言「膨張する中国と日本の対応」の主旨は、次のようにまとめられよう。
――冷戦後の世界では、各国は狭義の国益を超えて、地球規模の課題に取り組むことを求められているが、その課題に正面から取り組む用意のある「ポストモダン」段階の諸国が「不戦共同体」諸国であるのに対し、必ずしもそのような用意のない「モダン」段階の諸国として中国やロシアなどが存在し、抵抗している。
グローバル化する世界経済のガバナンスの担い手がG8からG20に拡大したように、冷戦後の世界秩序を形成し、維持する「不戦共同体」の担い手のなかにも、中国やロシアを含む「モダン」段階の諸国を取り込んでゆく必要がある。それを「関与」政策と呼ぶ。「関与」こそは、日本あるいは「不戦共同体」の対中政策の大局的判断の基本でなければならない。「膨張する中国」の問題は、いまや日本一国の問題ではなく、米国はもとより、価値観を共有するその他の「同志国」と広く協調し、共同行動を取らなければならない問題である。「関与」政策は、その目的を達成するために、一連の整合的な政策体系をもつ必要がある。――
政策提言「膨張する中国と日本の対応」は、上記の主旨のもとに、具体的な政策を提示している。次の9項目である。
提言1 日本の領土、領海、主権、尊厳を守るための体制に万全を期せ
提言2 有事の自存自衛体制をハード、ソフト両面から見直せ
提言3 日米同盟の信頼性維持のために日頃から最善の努力をせよ
提言4 各般の分野で中国との「関与」関係をいっそう強化せよ
提言5 多国間対応を「不戦共同体」に発展させ、中国も参加させよ
提言6 「六者協議」、「日中韓首脳会議」に地域安全保障機構としての役割を持たせよ
提言7 中国に地球的規模の諸問題における国際貢献の強化を促せ
提言8 中国経済の活力を導入すると同時に、中国経済への過度の依存を避けよ
提言9 オピニオン・リーダー・レベルでの相互理解を深化させよ
私はこれら提言の多くに主旨賛同する。
●財団法人日本国際フォーラムとその提言
公益財団法人日本国際フォーラムは、「独立・民間・非営利の国際問題・外交政策の審議・研究・提言機関を日本にも設立する必要があるという認識に基づいて、昭和62年(1987)に大来佐武郎氏、服部一郎氏、伊藤憲一氏ほか60名の参加により、「会員制の政策志向のシンクタンク」として設立された。
同フォーラムは、国際政治・外交・安全保障・国際経済・環境・人口・エネルギー・食糧等、幅広い分野について、様々な政策提言をしてきた。その第35番目の政策提言が「膨張する中国と日本の対応」である。
この政策提言には、有識者68名が署名している。日本の国益を重視する国際派の保守ないし保守系のリベラルが多いようである。署名者のうち、私の目を引いた有識者を列記する。
政策委員長
伊藤憲一(日本国際フォーラム理事長)
政策委員
愛知和男(日本戦略研究フォーラム理事長)、安倍晋三(元 内閣総理大臣)、大宅映子(評論家)、神谷万丈(防衛大学校教授)、左近允尚敏(元海将)、島田晴雄(千葉商科大学学長)、田久保忠衛(杏林大学名誉教授)、袴田茂樹(青山学院大学教授)、本間正義(東京大学教授)、森本敏(拓殖大学海外事情研究所長)、屋山太郎(政治評論家)他
具体的な内容は次回から掲載する。











