ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

中国経済に全面衰退の兆候~石平氏

2012-08-14 08:49:51 | 国際関係
 シナ系評論家の石平氏は、政治・経済・社会・文化のあらゆる面から中国事情を分析・予測する現代日本最高のチャイナ・ウォッチャーである。シナ生まれで北京大学卒の英才である石氏の強みは、中国語の文献・資料をおそらく日本人研究者の何倍もの量と速度で読みこなすところにあるだろう。経済記事の場合は、各種機関が発表したデータや中国語圏の各国の新聞記事等をもとに、中国経済の実態に迫っている。
 石平氏は、昨23年(2011)を「中国神話の崩壊の年」と呼ぶ。経済バブルの崩壊に伴って「中国高度成長」の神話が崩壊し、それてともに「世界をリードする超大国の中国」の神話も一気に崩れ始めたと見ている。
 石氏が昨年末から最近まで中国経済について述べてきたことは、大意次のようである。--近年中国経済は、通貨・元の乱発で高い投資率を維持して高度成長を牽引してきたが、このようなゆがんだ成長戦略が生んだのはインフレの高進と不動産バブルの膨張だった。22年(2010)年から政府がインフレ抑制のために金融引き締め政策を実施した。その結果、中小企業は深刻な経営難に陥り、企業の倒産ラッシュが起きた。同時に不動産市場が急速に冷え込み、昨年秋頃から不動産価格が急落している。昨年11月中国物流購入連合会が発表した製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月比1.4ポイント低下して、好不況を判断する境目の50を下回る49となり、中国経済全体の減速傾向が鮮明となった。石氏は「今後、不動産バブルの本格的崩壊に伴って経済の減速はよりいっそう進むだろうと思われる」「今後長期間における中国経済の衰退は確実な趨勢(すうせい)であろう」と予測する。
 さて、石氏は、7月5日の産経新聞「石平のChina Watch」で、各種ソースをもとに、中国経済が「全面衰退の兆候」を示していると書いている。
 6月21日、英系金融機関のHSBCが発表した6月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、48.1と昨年11月以来の低い水準だった。8カ月連続で50を下回っている。また6月29日、中国国家統計局が発表した今年1月から5月までの全国一定規模以上の工業企業の利益は、前年比2・4%減と連続4カ月のマイナス成長となった。
 石氏は、これらに加えて電力消費量が大幅に低減していることや、海外での中国人観光客による高級品の消費ブームが下火となったことなどを、中国経済の全面的衰退の兆候とする。衰退の主な原因は、「これまで中国経済は主に、対外輸出の拡大と国内固定資産投資の拡大という『2台の馬車』で高度成長を引っ張ってきたが、この成長戦略が今や限界にぶつかっていること」にある、と石氏は指摘する。
 連続30年以上の高度成長を続けてきた中国経済は、昨23年(2011)終に終焉を迎えた。中国がいま直面しているのは、3~5年程度の「厳冬期」なのか、10~20年程度の「減速期」なのか、それとももっと長期的な「衰退期」なのか、石氏は予測を述べるに慎重な姿勢である。私自身は、中国は典型的な外需依存型経済であること、リベラル・デモクラシーによる国民経済の形成ができていないこと、一人っ子政策により今後急速に高齢化が進むこと、人口変動に対応する社会保障政策ができていないこと、環境保全に配慮しない経済成長のため水・土壌・大気等の汚染がはなはだしいこと等により、中国経済は一度、衰退に転じると、現在の共産党支配体制では容易に反転できず、もっと長期間にわたって衰退を続けるだろうと予想する。衰退期に移りつつある中国は、国内的には政府批判と民主化の要求を抑圧して共産党の支配体制を維持するために専制化を強める動きが出る可能性がある。対外的には資源と利権を確保するために覇権主義的な行動を展開するに違いない。また日本を含む海外各国に人口の拡散を促進し、人口の圧力を利用するだろう。
 以下、石平氏の記事の全文を転載する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●産経新聞 平成24年7月5日

http://sankei.jp.msn.com/world/news/120705/chn12070511040002-n1.htm
【石平のChina Watch】
経済全面衰退の兆候
2012.7.5 11:04

 去る6月、中国の国内外から伝わった経済ニュースの多くは、この国の経済衰退を如実に示している。
 まずは6月21日、英系金融機関のHSBCが中国の6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)を発表したが、それは前月比0・3ポイント低い48・1だった。景気の良しあしの分かれ目となる同指数が50を下回るのは8カ月連続で、指数としては昨年11月以来の低い水準となったという。
 そして29日、今度は国家統計局の発表によって、今年1月から5月までの全国一定規模以上の工業企業の利益が前年比2・4%減と連続4カ月のマイナス成長となったことが判明したのである。
 産業の景況悪化は別の情報によっても裏付けられる。電力消費量の大幅な低減である。国家統計局が発表した今年4月の全国の発電量は前年比0・7%増だが、それは1月の9・7%増から大幅に落ちた。英字紙ヘラルド・トリビューン紙は6月25日付の紙面で、基幹産業が集中する有数の工業ベルト地帯である江蘇省と山東省の電力消費量が前年比10%以上も激減したと報じている。
 筆頭副首相の李克強氏はかつて、中国の経済動向を見るのに電力消費量の変化が最重要な指標であると語っているから、彼の見方からすれば中国経済が衰退していることは確実である。
 経済衰退の兆候は別の方面でも表れている。シンガポールの聯合早報が、中国本土からの観光客がシンガポールや香港でブランド品や高級住宅、美術品などを買いあさるといった高級品の消費ブームが下火となったと報じたのは5月31日のことだ。
 6月23日のマカオ政府の発表によると、5月に中国本土からマカオを訪れた人は前年同月比4・2%減で、約3年ぶりに前年同月を下回ったという。経済の衰退に伴って、「金持ちの中国人観光客」というのは徐々に過去のものとなりつつある。
 これまで中国経済は主に、対外輸出の拡大と国内固定資産投資の拡大という「2台の馬車」で高度成長を引っ張ってきたが、この成長戦略が今や限界にぶつかっていることが経済衰退の主因であろう。
例年25%以上の驚異的な伸び率で拡大してきた対外輸出の場合、今年1月から5月までの伸び率が8・7%増に止(とど)まり、過去のような急成長はもはや望めない。
 一方の固定資産投資の拡大に関して言えば、6月28日、経済参考報という経済紙が「資金不足ゆえに複数の国家的事業としての鉄道建設プロジェクトが中止・延期されたまま」と報じている。「ハコモノ造り」で成長を維持していくという戦略自体がすでに限界を迎えていることがよく分かる。
 こうした中で、中国経済の全面衰退は明確な趨勢(すうせい)となってきている。6月25日、中国の各メディアが伝えたある政府高官の発言は実に興味深い。全国の国有企業を監督する立場にある国有資産管理局の副主任にあたるこの人物は最近、国有大企業の経営者たちに向かってこう語ったという。
 曰(いわ)く、連続30年以上の高度成長を続けてきたわが国の経済は今、長期的な「緊縮期」に入ろうとしている。国有大企業は今後、「3年から5年間の厳冬期」に備えなければならない、という。
 おそらく国有企業だけでなく、中国経済全体がこれから「厳冬期」を迎えることになるだろう。ただしそれは果たして「3年から5年」の短期間で終わるものであるかどうか、それこそ問題なのである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 8・15野田首相は靖国参拝を | トップ | 8・15靖国神社の集会報告1 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL