ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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中国で沖縄工作が公言~石平氏

2012-10-03 10:03:17 | 国際関係
 シナ系評論家の石平氏は、9月13日産経新聞に、「尖閣問題で日中関係がぎくしゃくしている中、中国の一部の軍人や学者が突如、「沖縄は実は中国領だ」という奇妙なことを言い出した」と書いている。人民解放軍の現役少将で国防大学戦略研究所の金一南所長、復旦大学日本研究センター副主任の胡令遠教授、中国対外経済貿易大学国際関係学院の王海浜副教授らが、「琉球は中国領だが、日本がそれを不法占領している」と説いているという。
 石平氏は、中国国内から「琉球が中国領だ」という暴論が展開されたのは初めてのことだというが、私は、すでに平成22年の初めには、中国でそういう主張広がっているという情報を得ていたので、今回が「初めて」とはいえない。「初めて」と言えるのは、軍の高官や大学教授という高いレベルの人間が言い出したことだろう。
 石氏は、「本来なら関係性の薄い解放軍の現役軍人と大学の教授がほぼ同じ時期に同じ主張を展開し始めたことの背後には、中国共産党政権の影が感じられる。解放軍将校と大学の教授の両方に影響力を行使し彼らに同じことを言わせることができるのは、当の共産党政権以外にはないはずだ」と言う。この点はそうに違いないだろう。
 石氏は言う。「中国が欲しがっているのは、決して尖閣諸島だけではないことは明々白々だ。彼らはすでに、日本の沖縄に対する野望をむき出しにしている。おそらく中国からすれば、沖縄を名実ともに『中国の属地』にしてしまえば、中国の海洋制覇戦略の最大の妨げとなっている米軍基地をかの地から追い出すこともできるし、日本本土を完全に中国の軍事力の脅威下に置くこともできよう。そうすると、『琉球の中国属地化』の次にやってくるのは、すなわち『日本の中国属国化』なのである」と。そして、次のように主張している。「われわれはまさにこのような意味合いにおいて中国の考える『沖縄工作』の真意と狙いを理解しておかなければならない。このような国家存亡の危機にどう対処するのかが、まさにわれわれにとっての重要課題となるのである」
 もし尖閣が中国に略取されたら、中国は次に沖縄を狙ってくる。沖縄を略取したら、さらに日本全体を狙ってくる。だから、尖閣を守ることは、沖縄を、そして日本を守ることになる。
 中国は、これまでチベットや新疆ウイグルを併呑し、自治区としている。わが国が将来、中国の属国化されていった場合、日本全体が中国の実質的な自治区にされてしまう恐れがある。チベット、ウイグルでは、固有の文化を破壊し、宗教を弾圧し、虐殺・虐待を行い、民族的にも弱小化する政策を強行している。日本は、その二の舞にならないように、中国からの日本防衛を真剣に推し進めなければならない。
 平成19年末から翌年にかけて、中国で作られたという2050年の東アジアを予想する地図が話題になった。その地図には、日本の西半分(愛知県・岐阜県・石川県より西)は「東海省」、東半分は「日本自治区」と書かれている。



 地図の出所については、国際政治経済学者の浜田和幸氏が当時、雑誌「SAPIO」に次のように書いた。
 「私が初めてこの手の地図を目にしたのは、騒ぎになるよりも前、今から2年ほど前である。中国に駐在していた経産省の知り合いの官僚が帰国したので、久しぶりに会って話をしたのだが、『中国外務省の役人からこんなものを渡された』と見せられた地図に込められた禍々しい野心に、強い衝撃と怒りを感じたことを今もよく覚えている」
 浜田氏の解説によると、出生率の低下で日本の人口はどんどん減少する。そこで、列島の西半分に溢れ出た中国人を1億人単位で移住させ、「東海省」として中国の一部とする。少数民族となった日本人を、東半分に強制移住させ、「日本自治区」として、これも中国の版図に組み込む、というのである。この地図が中国外務省の作成したものか、他に作成者がいるのかは不明だが、アジアの覇権を目指す中国共産党の戦略が背景にあるものだろうと思う。
 日本を東海省と自治区に分けるのは、民族を分断し、対立させて統治する伝統的な手法である。その前に、民族統合の象徴である皇室をなくそうとするだろう。中国による属国化、分断統治を避けるには、日本人は日本精神を取り戻し、皇室を中心に団結しなければならない。
 ところで、私は、拙稿「トッドの移民論と日本の移民問題」に、中国人移民受け入れによる日本のシナ化を警告した。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion09i.htm
 尖閣そして沖縄の略取と移民の送り込みは、別個に行われるものではなく、一個の目的のもとに有機的に推進される計画と考えたほうがよい。軍事力と人口力を組み合わせて、ある地域を支配する仕方は、チベットでもウイグルでも実施している方法である。
 領土問題と移民問題を同時に意識したうえで、領土防衛を考える必要がある。繰り返しになるが、もし尖閣が中国に略取されたら、中国は次に沖縄を狙ってくる。沖縄を略取したら、さらに日本全体を狙ってくる。だから、尖閣を守ることは、沖縄を、そして日本を守ることになる。日本国内に中国人移民が増えていればいるほど、彼らは、本国が動くとき、それに呼応した動きを日本国内と行うと想定しておかねばならない。



 以下は関連する報道記事。

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●産経新聞 平成24年9月13日

http://sankei.jp.msn.com/world/news/120913/chn12091311090001-n1.htm
【石平のChina Watch】
中国の「沖縄工作」の狙い
2012.9.13 11:09

 「尖閣問題」で日中関係がぎくしゃくしている中、中国の一部の軍人や学者が突如、「沖縄は実は中国領だ」という奇妙なことを言い出した。
 たとえば解放軍の現役少将で国防大学戦略研究所の金一南所長は7月13日、中国広播網という官製メディアの取材記事において、歴史の経緯や戦略的重要性などの角度から「琉球の所属問題」について延々と論じた。その中で彼は、「琉球はもともと中国の属地。それが日本によって強奪された」と論じた上で、「われわれは今後(対日交渉において)、尖閣の領有権問題にとどまらず、琉球群島全体の帰属問題を持ち出すべきだ」と語った。
 金少将はさらに、「(中国の)学界や研究機関は今後、琉球の帰属問題について大いに議論すべきだ」とも提言した。
 この提言に応じたかのように、今度は『社会観察』という政論誌の8月号が、復旦大学日本研究センター副主任の胡令遠教授と中国対外経済貿易大学国際関係学院の王海浜副教授連名の「琉球問題論文」を掲載した。論文は直ちに人民日報系の環球時報が運営する「環球網」に転載され国内で大きな反響を呼んだ。
 論文はまず、前述の金少将と歩調を合わせて、いわば「歴史の経緯」から「琉球が中国領、日本がそれを不法占領」との珍説を展開した上で、「政府・学界・メディアは緊密に連携し、琉球群島の主権帰属問題に関する研究と宣伝を展開していくべきだ」と提言した。その「宣伝工作」の一環として、「国際社会に中国の主張を伝えること」の重要性を論じた。
 そして最後に論文は締めくくりの部分で「琉球人民の本土意識や帰属感を深く研究し、琉球人民に十分な民族自決権を行使させるべきだ」とも語った。
 以上は、最近になって中国国内で飛び出した「琉球帰属論」の2つの事例だが、日中国交回復以来40年間、中国国内から「琉球が中国領だ」というデタラメな暴論が展開されたのは初めてのことである。
しかも、本来なら関係性の薄い解放軍の現役軍人と大学の教授がほぼ同じ時期に同じ主張を展開し始めたことの背後には、中国共産党政権の影が感じられる。解放軍将校と大学の教授の両方に影響力を行使し彼らに同じことを言わせることができるのは、当の共産党政権以外にはないはずだ。
 そして政権の意向を受けた彼らは、「琉球が中国領」という論を単なる論として唱えるのではなく、「政府・学界・メディア」の「連携」による「沖縄工作」の展開を具体的に提案した。
 その中で、「琉球人民に十分な民族自決権を行使させよう」という、赤裸々な「沖縄県民離反工作」までが公然と語られているのである。
 つまり中国が欲しがっているのは、決して尖閣諸島だけではないことは明々白々だ。彼らはすでに、日本の沖縄に対する野望をむき出しにしている。おそらく中国からすれば、沖縄を名実ともに「中国の属地」にしてしまえば、中国の海洋制覇戦略の最大の妨げとなっている米軍基地をかの地から追い出すこともできるし、日本本土を完全に中国の軍事力の脅威下に置くこともできよう。
 そうすると、「琉球の中国属地化」の次にやってくるのは、すなわち「日本の中国属国化」なのである。
 われわれはまさにこのような意味合いにおいて中国の考える「沖縄工作」の真意と狙いを理解しておかなければならない。このような国家存亡の危機にどう対処するのかが、まさにわれわれにとっての重要課題となるのである。
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